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第十四話:中途半端な学生と揺れる騎士と その2

※少し全体的にタイトルを弄りましたが、内容が変わったわけではありません(違いに気づいてもらえるかな?)


それでは、


拙い文章ですが暇つぶしに貢献できたら幸い

 コウが編入して少し経ち、成績含めてコウが魔法戦士を目指しているのではという噂が流れ始めると、とある男が絡んでくるようになった。


 「やぁ、クラーシス。ご機嫌いかがかな?」


放課後の教室で男の声だけが響く。

 他にも生徒はいるのだが、この男が教室に現れてから話をしていた生徒達は口を閉ざしてしまったのだ。

 

 「また嫌な奴が来たぜ」


 小声だが聞こえないように言った訳ではなく、思わず口から出てきたかのようにロンが言葉を漏らす。

 この男の名前はクレイスト・マグナージと言い、ガルバシア王国で有数の貴族である父親を持っていた。

 身長は180㎝くらいで、男なのに少々長いが手入れの行き届いた柔らかそうな銀髪を綺麗に整えており、背格好もしっかりとしており、気品というものが見られた。

 しかし、何処か人を馬鹿にしたような態度や目つきが残念と言えるだろう。

 現に、コウ達を見るその目はすでに見下していて、性格が悪そうなのはこの時点で窺えた。


 「う~ん? 変わり者のスティニアもいたのか。 君たちはいつも一緒だねぇ、まるで強者に怯えて群れることしか出来ない弱者のようだなぁ」


 「……なんだとコラ?」


 ちなみに、生徒もまばらな教室だ。入り口に立った時点でコウの周りに誰がいるかは一目瞭然である。

 

 教室にいた他の生徒達が黙ったのはこれのせいだ。

 この男、幼い頃より周りから甘やかされて育ったのか性格がすこぶる悪い。しかも、家の格式の高さを考えれば、逆らったり楯突いたりすれば何をされるか分からないと、質の悪いことこの上ないのだ。

 故にクレイスト・マグナージの前に立った生徒は二つの選択をしなければならない。

 

 一つは、愛想笑いを浮かべご機嫌取りをして無難に受け流す。

 一つは、クレイストの家柄を恐れずに楯突く。


 クレイストの家は貴族の中で最上位と言っても過言ではないので、大多数の生徒は前者を選択する。


 「お前だっていつも取り巻きと一緒に行動してるじゃないか」


 確かに、クレイストの後ろには二人の取り巻きがいた。と言っても、この二人は本当の意味で取り巻きなのでコウとロンは二人の名前を知らないし、二人もクレイストのご機嫌取りをするのに精一杯でそのことは意識的に構わないことにしているようだ。


 「この二人は素晴らしい僕の近くで多くの事を学ぼうとしているだけだし、僕は弱者じゃないからね。 従えてるだけで群れている訳ではないさ」


 「……自信過剰な奴だな」


 「過剰じゃないさ。 分相応な自信だよ、僕の場合はね。 君が自信が無いだけじゃないかな? スティニア家の人間ならもっと自信を持って行動した方がいいよ」


 ロンがクレイストに楯突くことが出来るのは別に勇気があるわけではなかった。

 普段はコウと悪ふざけばかりしているロンであるが、実はロンの親はマグナージ家にも並ぶと言われている程の格式高い貴族であった。


 国の決めごとや方針を決める会議にも主席するような格式高い貴族の子供であるロン。

 しかし、コウと馬鹿な事ばかりを繰り返し楽しんでいる姿を見た者は決してロンの家柄を見抜くことは出来ないだろう。


 「家柄とかそんなの関係ないだろ」


 「あるさ! 人は生まれた時から価値が決まる。 そして僕たちは高い価値を持っている。 この国を動かしていくという価値がね! 君は友人にする人間は選んだ方がいいよ」

 

 コウを見ながらクレイストがニヤリと笑う。コウの身分が平民だという事で見下しているのだ。そして、友人にするなら自分のような格式高い者を選べと言う意味合いを含まれていた。

 その嫌な笑みにコウは僅かも気分を害することはなかったのだが、ロンはそれを許すことが出来なかった。


 「俺のダチを馬鹿にすんじゃねぇ! テメェにダチがいないからって羨ましいだけだろうが!!」


 「なっ!」


 クレイストが反論を述べようとしたがロンはその隙を与えない。


 「それになぁ、人の価値を家柄だとか身分だとか言ってる屑なんかとなんてな俺は絶対にダチになんかならねぇよ!」


 「君…! 僕を屑だと言うのかい!?」


 クレイストもまた、自分を馬鹿にされることが許せないようでかなり憤慨しているようだ。


 まさに一触即発といった空気が出来上がろうとしていた。


 「どうどう、落ち着けって」


 そこにコウが割って入っていった。


 「君、平民の分際で会話に入って来ないでくれるかな!?」


 「テメェ! 平民の分際とかそういうのをやめろってのがわからねぇのか?」

 

 クレイストが苛立ったようにコウに怒鳴りつける。その言葉にロンがまた食って掛かろうとする。

コウはその様子を見てまずロンから落ち着かせることにした。


 「ロンとりあえず落ち着けって、二人が驚いてる」


 その言葉でロンはハッとする。怒りでリーネとアヤがいた事が頭から抜けていたのだ。

 二人の様子を見るとリーネは怯えたように怒るロンを見ており、アヤは心底驚いたと言う風にロンを見つめていた。


 「マグナージもだ。 元々は俺に用があったんじゃないのか? それに高貴な貴族様はこうやって怒鳴り散らすのを皆に見られていいのか?」


 クレイストもコウの言葉で思い出したかのように慌てて周りを見回す。

 生徒達はバツが悪そうに眼を逸らす。

 突然のクレイストの登場で、いきなり教室を出たら失礼だと目をつけられるのを危惧して動向を見守っていた生徒達だが、騒ぎ出したクレイストとロンを見てどうしたらいいのか分からずその場から動けずにいたようだ。


 「それで? お前何しに来たの?」


 コウが聞くと、周りを見回していたクレイストが我に返ったように答える。


 「そ、そうだ。 コウ・クラーシス。君、どの授業を選択するのか決めたのかな?」


 冷静を装っているが、内心慌てているのが手に取るように分かる状態だった。


 「なんだ、そんな事を言うためにわざわざ違うクラスから聞きに来たのか……」


 呆れたように言いながら記入し終えたプリントをクレイストに見せる。

 コウの物言いにクレイストは眉を顰め何か言おうとしたが、プリントを見ると嫌みたっぷりな笑みを浮かべた。


 「なんだい君。やっぱり魔法戦士を目指しているのかい?」


 「さてな」


 コウがわざと、はぐらかすように答える。

 それにクレイストは我が意を得たりといった様子で口を開く。


 「ふふ~ん。 いいんだよ恥ずかしがらずに言えば。 まぁ君のような実力で言うのは確かに恥ずかしいかも知れないねぇ。 せめて僕の半分くらいの実力が君にもあれば良かったのにね」


 すっかり調子を戻したのか、得意げに、自慢げに語り出すクレイスト。

 

 「こんな事をわざわざ言いに来る奴に熱くなった俺って……」


 ロンが立ち上がり教室の入り口へと向かって行く。


 「何処行くんだ?」


 「……ちょっと、頭冷やしてくるわ」

 

 コウが声を掛けるが振り返ることなく手を振って教室から出て行ってしまった。


 「ふん、自分勝手な奴だねスティニアは」


 自分のことは棚に上げてロンの背に悪態をつくクレイスト。

 コウはそれ対して何か言うわけではなく黙っていた。


 それから長々と語り出すクレイストだったのだが、コウが適当に頷いたり相づちを打ったりして適当に会話に付き合ってやる。絡まれ始めた当初から繰り返される光景でもあった。

 その事務的な対応にクレイストは毎回気づかずに、いつも語れたことに満足して帰って行くのだ。

 この流れをすれば何も起こらずに終わることをロンにも説明しているのだが、どうにもロンにとってクレイストは相性が悪いらしく、一々気にくわないようなのだ。

 故に衝突することはそれほど珍しくなく、今回のようにコウが場を納めるのだった。




 それなりに自慢話を聞き一触即発な空気が大分薄れ、そろそろ満足して帰るかとコウが思った時、クレイストがまたニヤリと笑う。

 コウは瞬間的にまたろくでもない事を言うことを察したが、それを阻止する前に口を開かれてしまう。


 「ふむ、気分が良いから君に忠告してあげよう」


 「それは有り難いことだな」


 「君とスティニアはその女に誑かされてるよ?」


 「……今なんて?」


 見ればクレイストはリーネを見ながらニヤニヤと意地の悪い笑みを浮べていた。

 コウは完全に話を受け流しながら聞いていたので、急な会話の展開に一瞬ついて行けないでいた。


 「だからだね。君達はこの女、リーネ・ヴァルティウスに誑かされてるんだよ」


 今度は名指しでリーネを指さすクレイスト。見れば指さされたリーネはビクリと体を硬直させていた。アヤが気遣うように見やり、それからクレイストに今にも食らいつかんばかりの鋭い目を向ける。


 「別段、誑かされているつもりはないが?」


 人と対話する際に話の先を頭の中で推測しながら話す癖のあるコウであるが、クレイストの発言はあまりにも突拍子すぎて理解することができなかった。


 「いいや、誑かされてるよ。この女と共に行動している時点でそれは間違いないんだよ」


 妙に自信満々な様子で語るのを見てアヤの表情の険悪さが強まるのを感じた。

 それに気づいていないのか、それとも気づいていても無視しているのか。クレイストの口は止まらない。


 「この女はねぇ。男を利用するために近づいてくるんだ。そして用が済んだら捨てる。男を道具としか見ていないんだよ」


 「…………」


 『こいつはリーネの話をしているんだよな?』 そんな疑問が普通に浮かんできたのだが、どうやら間違いないらしく、クレイストの嫌らしい視線はリーネに定まっていた。


 「現にこの女に誑かされてしまった奴は結構いるんだよ。 まぁ、容姿だけは良いのは認めるけど。 とにかく最悪な女なんだよ」


 なぁ? と、後ろにいた取り巻き二人に同意を求める。取り巻きの一人の長身で細身の男が同意しながら笑い、二人目の低い体に太い体を持つボールのような男が懸命に首を縦に振っていた。


 「そこの二人まだ居たんだな」


 あまりにも存在が希薄だったので忘れていたのだ。

 ボソリと小声で言ったのでクレイストは気づかなかったのか、取り巻き二人から同意されたことで自分の言葉が正しいと得意げに語る。


 「この二人もこう言ってるし、それに他の奴に聞いても同じような答えなんじゃないかなぁ~」


 余裕ぶって周りを見渡すクレイストだったが、ロンが教室を出たのを好機だと思ったのか他の生徒も出て行ってしまい、コウ達以外に教室には誰もいなかった。

 

 「…………」


 コウが惜しむことなく哀れみと少しの同情を混ぜた目を向ける。


 「と、とにかく! その卑しい女とは早く縁を切った方がいいよ! 君も犠牲になる前にね」


 そう言ってこの場から退場しようとしたが、それを止める者がいた。


 「待て!」


 ついに我慢の限界を迎えたアヤだった。

 クレイストは面倒そうに振り返るが、その顔には何処か余裕そうな笑みが浮かんでいる。


 「おやおや、今日は静かだと思ったから僕に恐れを成したのかと思ったんだけどな?」


 『今日は』という言葉をコウは聞き逃さなかった。

 それから察するに、前々からリーネ達はこの男に絡まれていたようだ。

 

 コウ達に絡み、リーネ達にもちょっかいを出す……。

 クレイストは結構暇な奴なのかもしれなかった。


 「お嬢様があまり騒ぎにするのを嫌われるので我慢していたが限界だ!! お嬢様に謝罪しろ!!」


 「ア、アヤ……。いいから……」


 リーネがおどおどと止めようとするが、それを遮るようにクレイストが嘲笑うように反論する。


 「謝罪? なんでだい? 僕は事実しか言っていないんだけどねぇ」


 反省どころか悪いことをしたつもりは無いと、惚けたように主張するクレイストにアヤが怒鳴りつける。


 「事実だと? そんな根も葉もない噂に過ぎないだろうが!! そんな噂のせいで傷ついているお嬢様の気持ちを考えたことがあるのか貴様は!?」


 アヤの激しい反論に、いさめようとしたリーネが動きを止めてしまう。


 (そこでお前が動かないと本当に止まらなくなるぞ……)


 前にアヤが同じように暴走した時と同様にリーネが抑えると考えていたコウは苦笑してしまう。しかたなく、効果はあまりないと思いながら自分が止めに入ることにする。


 「アヤ、ちょっと熱くなりすぎだぞ」


 「コウ殿もコウ殿です!! 先ほどからこんな男の言葉に頷くばかりで、貴方のために激怒したロンが馬鹿にされても反論もしない!!」


 効果はあまりないだろうと思っていたが、まさか怒りの矛先がこちらに向くとは予想外だった。

アヤに怒鳴られながらもこの場をどうやって納めるか冷静に考え始めるコウなのだが、


 「ふ、ふん。むかつくことがあるからと言って八つ当たりをするなんて、やはり卑しい奴に付き従う奴は品性が感じられないな」


 ただでさえ面倒なほどに熱してあるのに、クレイストが薪をどんどん投げこむ。


 「貴様のような親の偉功の影に隠れないと何も出来ない奴がお嬢様を馬鹿にするな!!」


「……なんだと!? 僕が自分では何も出来ないと言うのか!!」


 そして、堪え性のないクレイストがアヤの挑発に簡単に乗ってしまう。


 (本日二回目……。 第二ラウンドってか……)


 「勘弁してくれよ……」


 軽いデジャブを覚える光景。目の前で一触即発な場面が展開された。

 ふと、リーネを見れば自分が火種で争い始めた二人を止めようとあたふたしているのが分かるが、あと一歩という勇気が沸かないようであった。


 今にも殴り合いに発展しそうな場であるのに関わらず、コウは流石に本日二度目となるので何処か気怠く、呆れた気持ちになり面倒だと思っていると、不意に近づいてくる人物を魔力の波長で感じ取る。


 「貴様ら! 何を騒いでいるんだ!!」


 教室の入り口から現れたのは2-A担任こと、ミシェル・フィナーレルだった。


「教員か…」


 流石に学園の教師の前で争うのは賢いことではないと思い至ったのか、クレイストが直ぐに引き下がる。その様子にアヤも何処か納得がいかなそうではあるが、一応むき出しだった敵意を抑える。


 「それで? なにがあったんだ?」


 ミシェルが近づいてきて事情の説明を求めてくる。

 その時、クレイストがこちらを見て意地の悪い笑みを浮かべたのをコウは見逃さなかった。


 「それが……」


 「マグナージ君に選択授業の内容をどうしたのか聞いてたんですよ」


 クレイストが何か言おうとした前に、コウが言葉を被せ遮る。

 驚いたようにクレイストがコウを見たがそれに構うことなくコウは続ける。


 「マグナージ君は優等生だし、何より家柄が素晴らし方ですからね。俺たちにとって重要になってくる選択授業について色々アドバイスを貰ってたんですよ」


 「い、いや、そうではなく」


 「いや~、本当に為になりましたよ。特に俺なんかはマグナージ君と同じような選択をする事になるので凄く参考になりました」


 そう、実はクレイストは学園の教師の間では優等生として通っており、成績もよく家柄もいいと評判になっているのだ。

 この男は相手が自分より立場が上だと猫かぶりをするのだ。

 そして、特に褒められていることが魔術、武術の授業のどちらもなかなか良い成績を収めているのだ。


 まさに、コウと対極の存在と言える事になっていた。

 周りから魔法戦士になれるのでは? と言われており、本人は表向きは謙遜して『難しい』等といっているが、内心では自分は特別だと思い、目指していることをコウは見抜いているのだが、それにクレイストは気づいていない。


 「そうか、確かにマグナージの話なら参考になるかもな」


 ミシェルが頷くと、それに畳みかけるようにコウが言葉をつなげる。


 「そうなんですよ。それで少し話に熱が入ってしまって騒いでしまったという訳なんですよ。 ……だよな?」


 「ぐ……。そう、です」

 

 最後の言葉はクレイストに向けられ、優等生という立場を利用してコウ達を陥れようとしていたのだが、流石にこの流れでは頷くしかなかったようだ。


 「……それじゃあ。僕は用があるから失礼します」


 流れを掴まれ分が悪いと感じたのか、クレイストは取り巻き二人を引き連れて教室から出て行った。


 「まぁ、余り熱を入れすぎないようにな」


 そう言って同じく教室から出て行こうするミシェルだが、思い出したかのように振り返るとコウにニヤリと笑いかける。


 「いつも強引な手で誤魔化せるとは思わないようにしておけよ?」


 「ご心配なく、力業が無理な時の手も考えてありますので」


 「……少しは気取られたことに慌てた方が、可愛げがあるぞ」


 そう言って苦笑すると担任はそのまま教室を出て行った。

 

「アンタみたいな人をアレで誤魔化せると思うほど世の中舐めてないっての」


 ボソリと呟くと、疲れ切ったように溜め息をつきアヤに向き合う。

 コウとミシェルのやり取りをただ見ているだけだった二人からは疲れている事が窺えた。


 「コウ……。その……」


 リーネが何処か怯えたように話しかけてくる。


 「あー。まぁ、なんだ。噂とかで距離なんか置かないって」


 「でも、内容が内容でしたし……」


 「そう言うことか。大丈夫、あんなの気にしないって」


 そう言って笑いかけると、やっと安堵したのか、リーネの暗い表情が和らぐ。


 「しかし、アレだな。話題が尽きないな、お前は」


 「あぅ……」


 素直な感想を述べるとリーネも申し訳なさそうにする。


 「まぁ、その件はとりあえず置いておこう……」


 先ほどからツンとして黙っている奴に話しかけることにする。


 「アヤ、お前さ」


 「さっき言ったこと」


 「あん?」


 「さっきコウ殿に言ったことは本心です。お嬢様から勇敢、勇猛と聞いていたのですが、正直がっかりでした」


 『さっき』とは、怒りの矛先がコウに向いた時の事だろう。

 そう思い立ったコウであるが、先に突っ込んでおくことにした。


 「リーネさ、お前は俺の事どんな風に話してんだ?」


 「あぅあぅ……」


 道理でコウに対するアヤの評価が初めから高い気がしていたのだ。

 リーネがコウの事を褒めまくるので、ちょっとした補正が掛かっていたようだ。

 人間第一印象でかなり評価基準が変わるものである。

 明るく笑っているものと、暗く何を考えているか分からない表情で挨拶されれば対応する態度も変わるというものだ。

 アヤの場合はリーネによって刷り込まれていたのだ。

 その刷り込まれた事と自分が感じたことの差異に違和感を覚え、落胆したのだろう。

 それがアヤのよく意見が“ぶれる”一因でもあったようだ。


 「まったく……。まぁ、俺が勇敢だとかはどうでもいい。さっきは熱くなりすぎだぞ」


 一応忠告のつもりだったのだが、コウに対する評価が悪くなったアヤは素直に聞かない。


 「先ほどのコウ殿は少し臆病すぎると思いましたが」


 アヤなりに嫌みを込めて言ったつもりだったのだが、コウは意にすることはなく受け入れてしまう。


 「そうだな、確かに受け身になりすぎたな。それでお前達が不快な思いをしたんだ。その点は駄目だったな」


 そして、唖然とするアヤに謝る。


 「悪かった」


 そのままリーネに向き直り、リーネが止めるまもなく謝った。


 「リーネも悪かったな。お前がクレイストを嫌そうにしてたのは気づいていたんだが…」


「い、いえいえ! こちらこそ、私の問題にコウを巻き込んで……」


 「そのことは良いんだ。お前達に関わっていくと決めてから覚悟してたし」


 そう言ってまた謝るコウをアヤが驚いたように見つめる。

 まさか、直ぐに非であると認め、謝ってくるとは思っていなかったのだ。


 「わ、わかってもらえたなら、良いです……」


 クレイストとぶつかる直前まで行き、煮えたぎっていた気持ちをどうすれば良いのか分からず、コウに当たってしまっているのは頭では理解しているのだ。

 そして、謝られたことで頭が冷えて、冷静になると居心地悪くなる。

 自分が悪いと理解すればするほど気まずくなってしまう。


 「そうか…。まぁ、あんまり熱くなりすぎないようにって事も覚えておいてくれれば嬉しい」


 「うっ……」


 「アヤ……。何か言うことがあるんじゃないですか?」


 言葉が詰まってしまったアヤにフォローしたつもりだったのだが、どうしたらいいのか分からず混乱気味だったアヤには逆効果だった。


 「と、とにかく! コウ殿に本当に実力があるのか私には疑問です! それでは失礼します!!」


 「アヤ!?」


 そう言うとリーネを置いて、自分の言葉に後悔しながら教室から飛び出してしまった。

 突然逃げ出したアヤに二人はしばらく呆然としていたが、アヤが申し訳なさそうに謝ってくる。


 「ごめんなさい! アヤったら失礼なことして!」


 まるで自分の子供が人様に迷惑をかけたときの母親のような反応であった。


 「……いや、いつも護衛としてリーネの側にいるのに、そのリーネを置いて言ったって事は少しは俺も信頼されてるって事だ。そう考えれば問題ない、気にするな」


 そう言って苦笑するコウは、少々変わっているが退屈することのない、本当におもしろいグループになりそうだと密かに笑うのであった。




※筆者が後書きを愚痴を書くところみたいな認識を持っているので暇な方だけ見ることをお勧めします。



 確か前話で更新ペース早くなりそうとか言ってる奴がいましたね。

 まったく、そういう思わせぶりなことを言って結局いつもより遅いだなんて最低ですよね。


 ……すみませんでした。


 ここまで来たら言い訳はしません。

 アルバイトを探していただとか、いろいろ忙しかったとか全然言いません。


 ……駄目人間ですね。




 さて、気を取り直しまして。

 前書きの部分に書きましたが、全話タイトルを少し弄りました。

 

 今までタイトルに「○○~で」とつけていたのですが、「~で」と縛ると、タイトルがかなり制限され、魅力的(笑)な名前をつけられないからです。


 絶対に制限した状態でタイトルを考えるのが面倒になった訳ではありません。


 ホントウデス。 ウソジャナイデス。


 最後になりましたが、話を更新する度に寒さを感じる今日この頃です。

 うがい、手洗いをするだけで大分違うようなので忘れずにやることをお勧めします。

 皆様の健康的な日々が続くことを祈っています。


 最近ドライバーを握って何かをバラバラにすることに密かにはまっている うましか でした。


 ……ちなみに、この話はその3に続きます。



 ※追記:2010年 2月10日

 この話は自分が納得できない点、脱字、おかしな点が多数あったので結構な箇所を弄りました。

 話の流れや意味合いが変わらないように努力したつもりですが、読み直した方が首を傾げてしまう事があるかもしれません。

 自分の勝手で迷惑をかけるかも知れませんが、自分なりに改善すべき点だと思い実行しました。

 もし、ご迷惑をかける結果になってしまったら謝罪させていただきます。

 今後もお付き合いいただければこの上ない幸いです。


 ……自分で誤字・脱字の多さに呆れる今日この頃な うましか でした。



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