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第十二話:放課後の静寂の中で

拙い文章ですが暇つぶしに貢献できたら幸い。

 「コウ、コウ……? 起きて下さい……」


 始業式から一週間たった〔月の日〕の放課後。2-Aの教室では約一週間の間、毎日繰り返される光景があった。


 「うーん、起きてくれませんね……」


 それはホームルーム中、ミシェルの刺し抉るような視線の中を寝続けたコウを起こすリーネの姿だった。


 「起きてください~。起きないと……、えっと………、そうだ! 耳たぶをふにふにしますよ~?」


 リーネが脅しにもならないことを言うが、それでもコウはピクリとも動かない。

 本日の授業が終わり放課後になってから時間が少ししか経っていないにも関わらず教室に他の生徒の姿はない。

 リーネが教室に残る事を知っている生徒達は放課後になると直ぐに出て行ったのだ。

 そのことを考えると悲しい気持ちに心が支配されてしまうので、リーネは深く考えないようにしている。


 「………起きてくれない。こんな時、ロンさんはどうしてるのかな?」


 答えは『放置しておく』なのだが、それを答えるはずのロンは教室にいない。放課後になると同時にアヤに言い寄ってきて、少々を“おいた”をしてアヤを怒らせ現在逃亡中である。アヤも顔を真っ赤にして追いかけていった。

 リーネは詳しく二人の間で何があったかは分からないが、とりあえずロンが何かしてしまいアヤを怒らせた事しか分からなかった。


 「でも、アヤが私から離れるなんて本当に久しぶり……」


 コウの顔を除ける隣の席に腰を下ろしながらリーネは呟く。リーネが狙われるようになってからアヤは付きっきりで行動を共にするようになった。

 何度も学園内だから心配無用だと話したのだが、それでもアヤがリーネの側を離れることはなかった。


 「やっと味方ができたから少しは安心できたのかな……?」


 別にアヤが付きっきりで側にいた事を窮屈に感じた事はなかったが、いつもピリピリと周りを警戒していたアヤ自身が疲れを溜める一方だったのだ。しかし、コウの魔物達に戦闘の様子を詳しく話したり、コウならば信頼できると何度も話をしたら渋々ながら納得し、こうして付きっきりの護衛はやらないこととなった。

 

 「でも、アヤは心の何処かで信頼できていないのかもしれませんね」


 その呟きは隣にいるコウに語りかけているようであり、ただ独り言を言っているようでもあった。


 「アヤは私の意志を第一にと尊重してくれる……。でも、それは自分が思うことを押し殺して従うと言うこと……」


 側から離れていると言ってもアヤは直ぐに戻ってくるだろう。アヤはコウを完全には信頼できていないとリーネは感づいていた。

 表向きはコウ達と行動を共にすることができるのを喜んでいるようではあるが、それはリーネの気持ちに合わせているから。現に、コウが密偵かどうかの話になった時に過敏に反応していた。


 リーネにとってアヤは自分に仕える従者であり、姉のような存在であり、妹のような存在でもあり、そして親友であった。

 リーネとしては友達感覚で接して欲しいのだが、アヤが『公私混同は駄目です』と言って中々普通の接してくれないのだった。

 そして、リーネのことを優先とするあまり、自分の考えを隠してしまうことがあるのだ。


 「でも、コウならきっと大丈夫だよね。だってコウは凄い人だから……」


 ふぁ、とリーネが欠伸をする。コウの寝顔を見ていたら、眠気が移ってきたようだ。眠たげに目を擦りながら夢心地と言った風なリーネの呟きは続く。


 「コウと出会うまで、こんなにも心が安らぐ日が来るとは思わなかった………。アヤが元気な姿を見せてくれる日が来るとは思わなかった……」


 机の上で腕を組んで枕にするようにコウを真似るように腕を組み、顔を高さを同じにして寝顔を見るリーネ。


 「確実に絶望へと向かっていた私たちにとって、あなたは希望になる存在なのかも…しれません……ね」


 そして、ついには寝てしまった。教室に僅かな間、静寂が訪れる。


 「……………」


 おもむろにコウが顔を上げる。そして、隣にいるリーネを確認すると寝顔を見ながら溜め息を吐く。


 「何で出会って間もないのに、こんなにも信頼してくれてるのかね?」


 今度はコウが独り言とも、語りかけの言葉とも取れる言葉を漏らし始める。何度も起こしても起きなかったコウであったが、それもそのはず、実は最初から起きていたのだ。正確には学園で寝ている時はいつも半寝半起き状態なので、リーネが近づいてきた時点で意識は完全に覚醒していた。故にリーネの呟きもバッチリと聞いていたのだ。


 「俺が実はお前を狙う一味だったりしたらどうするんだっての……」


 もちろん、そのような事実はないがそれでもリーネのコウへの評価は高かった。

 コウが呟いていると、リーネが眠ったばかりのせいで眠りが浅いのか、コウの言葉に反応するように身じろぎをする。

 その様子を見ながらコウは少し考える。


 (……それほどにギリギリな状態だったって事か?)


 ギリギリ……、それこそ藁だって掴みたいような気持ちで毎日を過ごしていたのなら、コウのような存在が輝かしく見えたのかもしれない。


 (って事は、リーネは俺の実力だけが目当てという考え方もできる)


 口に出してから、それは無いと自ら否定する。

 普通の奴に対する推論ならば、その答えで良いのだがコウにはロンという前提があった。あの男はコウという存在が面白いから共にいると自ら言っているような奴だし、その言葉に嘘がないとコウも判断している。そう言う人間もいると言うことを理解しているのだ。

 そして、リーネがそんな打算的な考えを持って人に近づくとは到底思えなかった。それこそ、会って間もないのに何を根拠に結論したのかは自分でも説明できなかったが、それでもそれは絶対にないと断言できた。


 (むぅ……。考えれば考えるほど訳が分からなくなってきたな)


 客観的な考え方だけでは理解できないことが多いこの世の中だ。無理に考え込んで結論を急ぐこともないのかも知しれない。そういう風に考えることができるコウは、柔軟な思考を持っていると言えるのかもしれない。


 (リーネはいいとして、やっぱアヤは問題ありだったか……)

  

 喫茶店で話をした時から流されやすい性格なのだろうかと懸念していたが、どうやらリーネの意見限定だが考えが流されてしまうらしい。


 (そう言うタイプはその場は納得しているけど後々意見を変えてくることがあるからな…)


 絶対にそうであると断言はしないが、コウの経験上そのような人物が多かったのだ。

 

 (………これは一悶着あるかな?)


 面倒だな、と考えながら何気なしにリーネの綺麗な髪を梳くように撫でるコウ。その手使いはリーネを起こさないようにゆっくりとした優しい動きだった。


 「お前はいろんなもんを背負ってるのかもしれないな……」


 「ん………」


 思わず呟いた言葉にリーネが反応したので、起こしてしまったかと思ったがリーネが起きた気配はなかった。それを確認してから気を取り直して髪を手櫛で梳いていく。

 その感触が気持ちいいのか、寝ながら微笑むように笑うリーネを見てコウもまた微笑む。

 

 「ある意味大物なのかもな、お前は」


 そう呟いたコウの言葉を気持ちよさそうに眠っているリーネが知ることはなかった。


 


 二人の穏やかな放課後は息を切らせながらロンを引きずって戻ってきたアヤが、コウがやっていることを見て吹き出すまで続いたという事だった。




 ※筆者が後書きを愚痴を書くところみたいな認識を持っているので暇な方だけ見ることをお勧めします。




 今回は結構早い次話になりました。

 ………内容少ないですね。


 別に、前話の量が多かった反動という訳ではないです。

 ……ホントウデスヨー。

 それで、何でかというと日常の一コマ的なのを書きたいなぁーと思って書いたら余り量が多くなかったというオチ……。

 ……あれ、しょうもないですね。


 実はリーネとコウの話の前にロンとアヤの追いかけっこ?のシーンがあったのですが、最近調子に乗ってギャグシーンを書きまくっていたし、その上、読者様が面白く思ってない可能性を考えてたら無意識の内に消してました。

 面白いかも分からないギャグを乱発してるのは自覚してます。えぇ…


 最近色々な方の物語りや書く方法見て、本当に勉強になるなぁーと思う反面、自分の文章の拙さがハッキリしてきて、凹んでいる うましか でした。


 なるべく次話を早く書くように頑張ります…… 

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