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黒木先輩が徳川先輩に断りを入れてステージ横に向かった。
ステージ脇に行く黒木先輩。
俺は、黒木先輩を目で追っかけていると隣にいた犬塚がしゃべり掛けてきた。
「なぁなぁ、確かあんた、瀬戸だったよな?」
俺はうなずく、
「そういう、あんたは、犬塚だったな。」
「ああそうだ。それにしても、あ〜もう!!たまんねー!!おれ!!あの人好きになっちまった。もう一目見ただけでビビッっとくるものがあったよ。もう最高!!たまらん!!あ!それからな!瀬戸!!黒木さんに惚れんなよ!俺だけの黒木さんなんだからな!!!」
ビシィと音がする勢いでこちらに指を向けてきた。
犬塚は俺に言い終えると、黒木先輩の居る方を見て、惚けていた。
俺は喋りまくり、黒木先輩の方を見て、惚けている犬塚を見て呆れていた。
俺は一応、忠告だけする。
「はぁ〜 お前わかってるのか?」
「? どういうことだ?」
「お前先輩と付き合うってことは黒木先輩のことが好きな人すべて敵に回すって事だぞ・・・・・」
「は!そんなもん!!どーって事ないさ!!なんたって俺には愛があるからな!!」
犬塚はそう宣言すると黒木先輩を見つめて、また惚けていた。
俺はそれを見て、呆れてものも言えなかった。
呆れていると、隣にいた朝比奈さんが話しかけてきた。
「あなたは、確か、瀬戸さんでしたよね?」
「へぇ・・、あ、はい」
突然話しかけられびっくりした俺。
「よろしくお願いします。 私は・・・・・・・・・って自己紹介はしましたね。ウフフ。 ところで私まだ入ったばっかりでお友達がいませんの・・・・・・、よければお友達になっていただけませんか?」
突然の申し出に俺はキョトンとする。すると何かを勘違いしたのか暗い顔になって言った。
「そうですよね。私ではだめですよね・・・・・・・
「いえ!! 違いますよ。 ただいきなりだったんでビックリしてしまっただけですよ。友達なんてこっちからお願いしますよ!!」
俺は朝比奈さんが喋っている途中でさえぎって話した。
朝比奈さんはビックリした顔をしたが、すぐに笑顔になった。
「フフフ ありがとうございます。でわ、これからよろしくお願いしますね」
朝比奈さんはスッと手を出してきた。俺はなんだろうと思ったがすぐに握手だとわかり俺も手を出して握手した。
「こっちこそ、これからよろしく」
しばらく朝比奈さんと話しているといろいろ朝比奈さんのことがわかった。
たとえば朝比奈財閥のご令嬢だとか、習い事でピアノと書道と護身術などを習っているとか、
好きな食べ物はいちごとかキライな物は虫とか、色々と話してくれた。
そしてしばらく朝比奈さんと喋っていると、スピーカーから声が聞こえてきた。