時の砂/
憑り付かれし目をしたものは見られている
神秘とは必ずしも明るいものばかりではない
それは陰の色に現れるだろう
陽の光の届かぬところより
その手指の数は異なる進化を表すが
しかし決して隔てられている訳では無い
光の中に安息を感じることを疑うな
それは常に非常に近しくある
眼が物を見るのではなく
物がまずあるということでもある
鏡に映る己を知れ
まずはその目がどうであるかということを
夢の中でも目は見えている
最も迂遠であるということが
最も直接的であるということ
現れたものはなぜ現れたかを知らず
死者は二度死なない
何事も繰り返されはせず
それは一見長すぎる物の時間の中で
落ちる滴の一つ一つである
そして自覚のないやり取りの中で
大抵は薄っすらと
だが時には衝撃的に感じる何かとして
違和感を知るだろう
我らは一つ一つ小さな密室
そしてこの世もまた
つまりはその瞬間にどうであるか
過去は速やかに消える
連続しない今を連続させている接合点を
我らは時の砂と呼んでいる