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夢のまた夢  作者: 砂糖人形
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夢のなかでまた会いましょう。

「今日はなんの夢をみようかなー」

私はそう呟き、頭の中で妄想する。

「そうだ!」と学校帰りにふと思ったことを思い出し、その事について考えながら今日も眠りについた。





…夢……………………………………………………

ふと目を覚ますとその手にはあれが入った袋を手にしていた。


「今日、帰りにお金足んなくてたい焼き食べ損ねたんだよね〜」そう言って一口食べる。

「あー、やっぱりたい焼き美味し〜」そう言ってまた一つ、また一つと袋に入っているたい焼きを平らげていく。

全部で五つのたい焼きを頬張り満足気に

「やっぱりたい焼きはこし餡だよな〜」と呟いた。

「あっ、そろそろ時間だな。」





…現実…………………………………………………


ふと目を覚ますと自分の部屋の天井が広がっていた。時刻は午前7時。

「今日もいい夢だったなぁ〜」

そう言って私は学校へ行く支度を始める。

朝食を食べて家を出る。玄関先には変わらず親友の宮本えりかがいる。

「おはよ、ゆい、さぁ行きましょ。」

「あ、待ってよ〜」

そう言って私とえりかは学校に向かう。

えりかは私の家の近くに住んでいて小学校からの友達だ。

「ところで今日は何の夢をみたの?」とえりかは尋ねた。

「今日はね〜、昨日の帰りに食べ損ねたたい焼きを食べた夢〜」と私が答えるとえりかは

「またそんな夢かよ。まあ、私もたい焼きは好きだけどね。けど、夢の使い方についてもっと考えたら?」

えりかはいつもこんな感じで私の夢について思った事を言ってくれる。


「えりか!」と私はえりかに迫った。

えりかは驚いたように目を見開いて私を見つめる。

「お、おい、なんだよ急に大声出して。びっくりしただろ。」

そして私は…


「えりかはこし餡と粒餡どっち派⁈」


全くもってどうでもいいとこである。

が、えりかはどんなに下らない事にでも答えてくれる。

「そんな事かよ、驚かせやがって…。私はどっちかと言うとこし餡だな」

「だよね〜、やっぱりこし餡が最強だよね〜」


「はっ、何言ってんだよ、ゆい。最強は粒餡にきまってんだろ!」と突然後ろから声がした。

声の主は河原木シンだ。河原木シンも小学校からの友達で根は悪くないのだが、よく私と言い合いになる。俗に言う、喧嘩するほど仲がいいと言った関係である。(ちなみにサッカー部のエースでかなりモテる。)


「何言ってんのよ、シン。こし餡が最強に決まってるもん!」と私は反論するが、シンは

「粒餡の方が美味しいに決まってる!だから粒餡の方が最強!」とシンも負けじと反論してくる。

私とシンが言い合ってるのに見兼ねてえりかは

「なら、多数決にしましょ。ちなみに私はこし餡派よ。」そう言うと、私は胸をはりシンに勝ち誇っていたが、シンは

「そっちがそうなら、こっちだって策はある!カリヤが粒餡派なら引き分けだ!」

「そうね、カリヤだけを仲間外れにするのは可哀想だしね。」

「え〜」

私は折角、勝利を勝ち取ったと思ったのにシンの提案にえりかが賛成してしまったせいで決着はお預けになってしまった。



クラスは私たちの学年には二つあって、私とシンは同じクラスだが青柳カリヤくんとえりかは別のクラスだ。青柳カリヤくんはいつも私たち三人よりも早く学校にいる。それは彼が生徒会長であるからもあるが、実際は真面目過ぎるだけである。


そんなカリヤくんの事が私は好きだった。

カリヤくんは中学校からの友達で、去年は同じクラスだった。とても優しい彼は誰とでも平等に接し、内気な私とも友達になってくれた。

カリヤくんとの出会いが私の内気を解消するキッカケになってくれたのだ。


そんな事を思い出していると学校が見えてきた。

私たち三人は学校に着くとすぐにカバンを置いてカリヤくんの元へ向かった。


そして「「こし餡と粒餡どっち派?」」と私とシンは異口同音だった。

突然の質問にカリヤくんはえりかに助け舟を出していたがえりかはそれを面白そうに眺めているだけだった。

私とシンの質問があまりにも真に迫るものだったためカリヤくんは正直に答えた。


「僕は…粒餡かな」


これで勝負は引き分けになってしまった。

私とシンが一喜一憂している時、チャイムが鳴った。朝のHRの時間だ。

私とシンは急いで自分のクラスへ戻り自分たちの席に着いた。



担任から今日は転校生がやってきたらしく見知らぬ制服を着た女子生徒が私のクラスに入ってきた。

一目見た時、私は「美人さんだなぁ」と思った。

周りを見れば男子の目は釘付けだった。他の女子も転校生の美貌に見惚れていた。

長くて綺麗なストレートの黒髪をなびかせて自分の名前を黒板に書いていく。


「土屋めい」


私は何故か見覚えのある名前だなと黒板に書かれた名前を見つめていた。

視線を彼女に戻した時、私と目が合った。しかし、私はつい目を逸らしてしまった。

「やっちゃった〜」と私は先の行為を反省した。

そのあと、彼女は自分が東京から田舎になってきたなどの簡単な自己紹介を終え、私の後ろの席に座るように担任は指示をした。

そして私の横を通り過ぎる時、彼女はそっとこう呟いた。



「夢のなかでまた会いましょう。」


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