5-4 Hammmmer-1
マアリは話しだした。
リリィを蘇生した後の話を。
リリィを蘇生させて、地球人の絶滅計画の続行を命じた瞬間、不意をついてマアリを攻撃してきたのだという。
しかし、マアリとリリィの力の差は大きく、リリィは返り討ちに遭って半殺しになった。
「春野花子。お前もリリィに見せられた筈だ。この惑星の全ての情報を、感じさせられただろう?」
確かに、リリィがアタシと戦うことを告げたあの喫茶店で、リリィはアタシに見せて、感じさせてくれた。
この惑星で、人々が、騙し、見下し、争い、殺し合っているところを。それこそ、地球人が生きている価値なんて無い、と思えるぐらいに。
確かに、リリィも語った通り、「もういい」のだ。地球人達は。滅ぼされても文句は言えないぐらいに。
「アタシは地球人を10年かけて調べてきた。滅ぼさなくても良い理由を探してきた。だけど、そんなもの無かった。『良い所』ってやつが全くないとまでは言わない。が、それは絶滅させるのをやめたくなるほどのことじゃない。それを圧倒して汚く汚く汚く生きているのが君達地球人だ。……それに、リリィは同意してくれたんだ!」
だからこそ、リリィは自分が中心になって地球人を絶滅させる計画を進め、実際に人を大勢殺したのか。
「それが何故か……春野花子、お前に敗れてからリリィは変わったんだ。生き返らせてやったっていうのに、そのアタシ自身を殺そうとしてきた!何なんだよ!何があったっていうんだ!……リリィはね、アタシの考えに同意して、自分から協力を申し出てくれた、アタシが信用して、頼りにしてきた人なんだ!それがどうしてこうなった!?」
……知らんし。
「あの戦いが原因としか考えられない……!前のリリィとお前の戦い……お前たち二人は何を感じていたんだ……?アタシには、リリィがお前に倒されただけにしか見えない!それだけで、それだけでアタシの信頼を裏切るのか!?リリィはそういう奴だったのか!?」
「……知らないよ。あたしには。リリィのことなんか何も知らないんじゃないかって今は思うくらい。――だけど、まぁ、なんつーか……アタシとリリィはあの場所で思いっきりぶつかり合った。それは、殺し、殺されるというだけの話じゃあ無かったような気がする。全てを賭けて戦ったんだ。……うーんと、それで……あの戦いには勝ち負け以外の意味があったんじゃないかリリィには。アタシにわかるのは、それぐらい」
「・・・・・・・・・・・・」
……まぁ、とりあえず。
塵は塵に、灰は灰に、土は土に。死人は死人に。みたいな?
――あるべき姿に戻そうじゃないか。
アタシは“蜜”の力を使って大きな針を出現させた。
丁度、リリィが使っていたようなモノと同じようなヤツを。
そして、アタシは手に持っていたリリィの体を……その針で思い切り突き貫いていた。
「なっ!?」
マアリが驚愕の声を上げていた。
「お、お前!何をやっている!」
んなもん決まっている。
「……コレをあるべきようにしているだけだよ?リリィはね、アタシが殺したんだ。あの戦いの末に。それが結果なんだ。だから、こうするのが自然なんだ」
「グ、ごぼッ!、ググぐ、ぐゥ、っは!……」
突き刺されたリリィが呻く。真っ黄色な蜜が噴き出して、アタシを濡らしていく。
そして突き刺したそのままの状態のまま、ぽいっとそこらに投げ捨てた。
――その時、一筋の光のように、アタシの頭である考えが浮かんできた。
コレは想像に過ぎない。しかし……
「――なぁ、マアリ。アタシ、分かるかもしれない」
「……はぁ?」
「リリィがアンタを裏切った理由だよ」
そう、ソレを今もう一度リリィを殺そうとして、閃いたのだ。
「――今から話すのは完全に推測、想像だ。だから、あんまアテにすんなよ?」
……そう、前置きはしておく。




