4-10 《!太陽!》
「花ちゃん」
「何」
「負けるの、私」
「殺されるんだよ」
「そっか」
「…………」
「私、『無限』の力持ってたのに。強かったのに」
「強けりゃ勝てるとも限らない」
「なにそれ」
「リリィがどんだけ強くても、アタシは生きる」
「はぁ」
「だから、何としてでも、ソレを邪魔するモノをアタシは」
「……殺さなきゃいけない、と」
「まぁそんな感じ」
「でたらめよ」
「しょうがないでしょ。リリィも大概だったじゃん。ソレをどーにかしよーってなったら、こーなんの」
「ひどいなあ。色々と。」
「……もっかい聞くけど」
「うん」
「なんでアンタそーなっちゃったの」
それは。
答えてたまるか。
これから死ぬとしてもだ。
アタシはマアリに屈した。
だけどそれ、ただ単に力だけでってワケでもないから。
そのマアリの為に、そのことについてだけは。
……まぁ、それがどれだけマアリの為になるのかは、知らないけど―――
「やーだ。答えてあげない、花ちゃん。ただじゃ殺されてあげないんだから」
目の前の死神に二ヤリと笑って見せる。
「はーぁ……そーかい。残念」
死神は、そうあまり残念じゃなさそうに答えた。
「あら、随分素っ気無い。悔しがらせてやろうと思ったのに」
「・・・・・・・・・・・・」
黒い太陽がゆっくりと堕ちてきた。丁度、アタシ達の真上から。
ここに、堕ちてくる。
「花ちゃん、その位置じゃあそっちも巻き添えよ?」
「いや、アタシは大丈夫。そーゆー風になってるの」
「……わっけわかんない」
「アタシも。まぁわかんないのはそれだけじゃない」
「なんでこんな格好になっちまったのか、とか」
「なんでリリィがそんな強かったのか、とか」
「何でそんなリリィに勝っちまったのか、とか」
「……実はなーんにもわかってないんだ」
「……しょうがないよ。“蜜”の話だもの。超ご都合主義だもの。バトル漫画みたいに解説なんてしてくれないの」
「……現実ってのはままならんねぇ。いや“蜜”がアレなのか」
「そうそう、まさに『アレ』って感じ」
「はぁ……考えるだけ無駄か」
「まぁ、花ちゃんの『思い通り』になった結果ってことよ」
「何で『思い通り』になったのかが知りたいんだ、アタシは」
「……本当にそうかな」
「……いややっぱいいや。メンドイ」
「ふふっ……」
ああ、黒い太陽がもう目の前だ。もう切り刻まれそうで、焼き尽くされそうだ。
「あーあ、なんてゆーかさ。花ちゃんとは腐れ縁ってくらい長い付き合いだったのに、花ちゃんのこと全然わかんなかった気がするー」
なんだか一気に脱力して独り言の様な言葉を吐き出す。
「そりゃ、お互い様だ」
それに応えてくれる花ちゃんは……やっぱり、アタシの……
「……そして、それも『青春』ってやつだ、リリィ。多分なー」
「ぶぶっ」
吹き出してしまった。アンタが「青春」なんて今更になって言うんだ、花ちゃん。
―――切り刻まれた。燃やし尽くされた。
そして、戦いが終わった。




