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4-2 革命にふさわしいファンファーレ-1

 「―――こんな目に遭ったのもアンタのせいだリリィ!もう言いたいことあるんならさっさと言えやオラァッ」

 「……かも知れないけど。花ちゃんがあんな見えてる地雷踏みに行こう、なんて言わなければ良かったと思う。違う?」

 「あべし」


 なりふり構わず“蜜”の力を使い、メイドさん手作り(苦笑)もんじゃから逃れたアタシ達二人。行く場所のネタも無くなったアタシ達は結局馴染みのパン喫茶に行く事にした。リリィが来た日にも行っていた場所。この行動のバリエーションの無さ。いいトコ1つ見つけたらソコばっかり。何だかなぁー

 その席でアタシは直接リリィに問いただす。要は、「何でそんなシリアスなテンションなの」ってのをもう直球で。こういうのって自然な流れでさらっと聞いてあげるものかも知れない、がアタシにそんなの期待する方が悪い。アタシわるくないもん。


 「で、マジで何なのそのテンション?何なのそのカッコ?フツーだねぇ。でもなんかファッション雑誌で見れそう。何なの?ファッションってのは無難な程普通な程無個性な程オサレなもんなのそーなの?」

 「……まぁ全然サイズが合ってないブカブカなもの着るよりは」

 「クr・・・っ!アタシのことかっ!やかましいわい楽なんだよコレが!」


 字面だけ見ると普通に楽しく歓談できてるっぽいんだけどリリィの方は一言一言がため息の一緒に吐き出している感じで、表情も暗い。

 もう、いいから。何かあるんだったら早く言ってくれよぉ。次はエロい映画見に行こうぜ、とか言っちゃいそう。どんどん地雷を踏み抜きそう。



 「ハァー……あー……うん。そう、そうなのよ。花ちゃんに言わなきゃいけないことがあるのよ。“ゲーム”のことなんだけど」

 「知ってた」

 「……うん。まぁ、何て言うの?次の対戦相手、私になったから。よろしく」

 「……ゑ?」



 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」



 うーん。うん?どういうこっちゃコレ?リリィが次の対戦相手?どういうこと?


 「……日程は、まぁいつでも良いけど。花ちゃんが自由に決めて良いよ。あのテレパシーもどきで連絡してよ。で、そこで、私と花ちゃんは殺し合うワケね。ま、そういう事で。よろしく。うん、言いたい事言ったし、帰るわね」


 ヤベェ何か言うだけ言って帰りそうだぞコイツ!

 慌てて引き留める。まだいまいち言葉がまとまっていないのを承知で。


 「いや待て待て待て待て!どーいうことソレ!そだ、次の相手ってCランクでしょ?じゃあ相手はあのパクリごちゃ混ぜ侍っしょ?なんでアンタが出てくんのさ!」

 「終わらせたいから。飽きたから。ってことで良い?」

 「はぁ!?」

 「まぁー……アタシの提案した“ゲーム”っていうのはさ、人間の『真価』を見極める、って名目で行われてたのだけど。ちょっと冷静になったら、あの“ゲーム”を勝ち抜いたからナニ?『真価』なんてわかるのって感じだし。でも何か花ちゃん“ゲーム”クリアしちゃいそうだし?」

 「今更ナニって思われるかも知れないけど、“ゲーム”クリアしたら地球人絶滅させるのやめたげるーっての、気に食わなくなってきたんだよね。……まぁそれでも、せめてちゃんと花ちゃんの“ゲーム”をちゃんと終わらせてあげたいの。例え結果が花ちゃんが負けて死ぬ事でも……っていう私のせめてもの気遣いかなぁ」


 ……つまり全部無しにしたいけれど、“ゲーム”をきっちり地球人側の負けで終らせてやるぐらいは良いか、ってことだろうか。

 なんだこの急展開は。“ゲーム”が、終わる……?これかなりあり得ない展開じゃないか?だってマアリ側の方針とか基本テキトーで、クリアされようがされまいがどーだって良いはずだったのに。


 「それにこの“ゲーム”を勝ち残る程の者がいる事が証明できれば嬉しいってマアリ自身が言っていたぐらいよ。何かを『下らない』と判断することはその判断をした者自身にとっても悲しい事よ。それがひっくり返るのなら喜んで受け入れるでしょう」


 そう言ってたはずなのに。テキトーだったはずなのに。急に何なんだ、なぜ急に子供の駄々みたいな事を言い出す?それも何の遊びも無いブレの無さで。

 

 ……混乱しきった頭で口を動かす。リリィに疑問をぶつけまくる。リリィはそんなアタシを無感動で白けた目で見て何の反論もしなかった。


 やめろ。


 そんな目でアタシを見るな。


 せめて、何か言ってくれ……



 そんな思いが通じたのは、一通り私がまくし立てた後だった。静かに語り出す。


 「ついこの前知ったんだけど。地球人を絶滅させるのに反対していたマアリ側の生命体……私も含めてゼロになっちゃったのよ。みーんな地球人に愛想尽かしちゃったのよ。私みたいな元地球人達でさえね。だから、“ゲーム”もお終いにするの。残った地球人代表者を“ゲーム”関係無しに襲って皆殺しにして、“ゲーム”を無理やり終わらせて、地球人の絶滅させる計画を進める。まぁ、計画って言ってもテキトーに暴れるってだけ、だけどね」


 皆殺し……?“ゲーム”関係無しに襲って、だって?ソレはアタシも含まれてるのか?

 

 

 「そして、この一連の“ゲーム”を終わらせ、人類を絶滅させる計画を提案したのは、この私よ」



 その言葉を聞いた途端、突然地面に大穴が空いたような感覚に陥った。今まで自分がその足で立っていた認識がそのまますっぽり無くなってしまった。


 リリィが?よりにもよってリリィが?アタシを“ゲーム”を勝ち抜くための代表者として推薦し、背中を押しつつづけたリリィが?つーか“ゲーム”自体を提案したのアンタだった気がするんだけど?

 それがここまで180度違う事を言い出すのか。一体何がどうなってやがる。チクショウ、コンチクショウ……

 


 ワケがわからねぇ。アタシは誰彼かまわず当たり散らしたい衝動に駆られた。そして、その感情の恰好の標的は目の前にいたのであった。

 頭はグチャグチャ。口はマトモに回らない。それでも、それでも!

 テメェ、リリィ―――




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