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1-1 She was beautiful

 まるで神託でも探してるみたいだな、なんて思うと笑えてくる。

 このあたりでは一番デカい本屋。

 アタシは大量に並べられたそれらの中から、本日の“買い”を躍起になって探す。どこまでも並ぶ背表紙を睨み続けていると、目が痛くなってきそうだ。


 いつもは探している内に疲れて適当に平積みの本をテキトーに買ってしまう。

 が、今日は元旦、一年の始まり、んでもってアタシの誕生日である。

 気合いれて……ということでもないが、テキトーに選ぶのはなんだかシックリこない。


 しっかし、この本屋も年の初めからごくろうさんって感じだ。

 元旦くらいみんな休めばいいのにな。



 しばらくして、なんとか一冊の本を選び出した。表紙の絵と裏表紙のあらすじみてビビっと、ってほどでもないけど何か気になった。


 てゆーか「見た瞬間にビビっときた」なんて言うがあれ本当だろーか。

 読んで良かったから後からテキトー言ってんじゃないの?少なくともアタシにはそんな経験は無い。

 ……そんな出会いがあればアタシの人生も変わったりすんのかなー。



 次は馴染みのパン喫茶で昼食。パンはいつもより高めのやつ2つ、と飲み物はいつも通りブレンドコーヒー……じゃないやつにしようか。いつもはここで一番安い、ということでブレンドコーヒーにしちゃうんだよな。

 

 そんな事を考えながらレジへ。

 「お持ち帰りですか?」と聞かれ正月から仕事ってかったるそうだなあとか思いながら「いえ中で食べますー」と返す。

「お飲物はご注文されますか?」と聞かれ「ブレンドでー」と言ってしまった。ブレンドにしないんじゃなかったのか、アタシ。

 あーあ。条件反射ってやつだろうか。さながらパブロフの犬?なんか違うか?実はよく知らん。

 


 この喫茶店のいいところは店が広くて大概どっか席が空いてて待たずに入れるところ。あと長居しても咎められない。

 悪いところはうっさいところ。まあ大勢人いるし、仕方ないけど。

 今日も確保した席の隣にいるババ……もといマダムの皆様が猛烈な勢いと声量でトークしていらっしゃる。

 まあ周りもうっさいし声でっかくないと聞こえない、とはいえデカ過ぎるわ。やっぱ迷惑にならん程度にってのがマナーだとアタシは思う。

 


 こうもやかましいと「動物園」と呼ばれた素晴らしき高校時代の麗しき我がクラスを思い出すなぁ。

 授業中だろうがなんだろうがやかましく喋りまくり。

 「ガキだなお前らは!大人はそんな事しないぞ!」と先生がよくブチ切れてたなー。

 んで、その先生と真面目なクラス委員長が中心になってさ、「授業中は静かにしよう」ってことを徹底するために時間をとってみんなで意見を出し合って……なんかマヌケな話だよね。

 小学生かよって。でもまーみんなその時は真面目にすんだよね。まあ次の日には平常運転だったんだけど。

 その頃は小学生以下かよ、なんて思ったが、今になればわかる。

 

 大人も大して変わらんのだ。

 「成長」なんて年食った大人たちの都合のいい妄想だ。幻想だ。

 あるいは先にこの世に産まれたのをいいことに、後続に対して有利な立ち位置を確保したいが為の勝手に作った浅はかな常識。

 そして、みんな実は生まれてから一歩も前に進めてなんかいない、という事実から目を逸らしたいが為の現実逃避用のみっともない概念。

 ……なんちて。何考えてんだアタシは?もう自分でもよくわかんねーな。



 話が逸れた。

 壁際で一番端というアタシにとっては一番落ち着く席を確保できたのは良かった。

 となりのマダム共は我慢しよう。「うるせぇぞオラァン!」とか絡んでしまっては反撃でボコボコにされるだろう。なんせ相手は集団だ。一人より多数。数さえ大ききればこの世は何をやっても許されるようにできているのだ。タブン。

 パンをガツガツ食らう。ブレンドをゴクゴク飲む。やっと一息ついた。

 ポケットからウォークマンを引っ張り出し、イヤホンを耳に入れる。こういうクソうるさい所では必需品だ。

 耳栓でもいいんじゃないかと思うけどあからさまだしなぁ。


 ――さあ、この本はアタシの人生を変えてくれるだろうか。まぁ無理だろうけど。



 ……ページ数の少ない薄い本とはいえ1時間で読み終わるとは思わなかった。

 まあアタシは元々読むの早いけど。……誰かと比べたこともないけど、多分早い。

 なんつーか、アツい本だった。ヘンテコなお祭りの中で起こる騒動を描いた作品。

 主人公が走り回り、叫び、その中で再会した昔好きだった人にもう一度惹かれていき、ボロボロになりながらもその想いを伝える……まあザックリと言えば、そんな感じ。ザックリし過ぎか。

 ワケわかんないけど、何か胸が熱くなって、どんどん読み進めた。

 途中から飲むのを忘れて冷め切ってしまったブレンドの残りを飲み干しながら久々にアタリだったなあ、と思った。



 ――だけど、アタシときたら、そんな感動もすぐ忘れてしまうようなヤツなのだ。

 燃え上がれるのは読んでる時だけ、観てる時だけ、聴いてる時だけ。

 終われば、すぐに纏わりつくような現実にぼやかされ、流され、忘れさせられ……。




 家に帰る頃には予想通り「なんかかったりー」とか思っているアタシがいた。

 元旦およびアタシの誕生日を良い一日にしよう……とは考えたが、あんまり上手くいかなかった。

 でもじゃあどーすりゃ良かったのか?なんて考え付かない。

 まー100点満点中63点、みたいな。いつもと大して変わらなかった気がする。




 だけどまさか、この一日がこの辺りから「アタシの今までの人生史上一番キナクサイ日」になっちまうとは。

 っていうとベタベタだけど。ベタだからクールにやれます、ってワケにもいかないのが悩ましい。




 庭付き一軒家の素晴らしき我が家。その玄関前だ。

 この季節にはあり得ない怪物がアタシの行く手を塞いでいた。



 ――蜂がブゥン、ブーン……と羽音を立てて飛び回っている。



 「う、うぁ、うあぁぁぁぁぁぁぁぁ……」

 

 「怪物」なんて大げさな……とか思われるかも知れないが、アタシは蜂が無茶苦茶苦手である。

 一度デコを思いっきりぶっ刺されたときから。

 刺される直前に至近距離で見た、あのヤバげなフォルム!カラーリング!ヤヴァイって。

 個人的にゃゴキブリなんて目じゃねえって。あのスピードにあの攻撃力だよ?

 もうブーンっていうあの羽音が聞こえた時点でアウトだ。足がすくむ。動けん。

 

 つーか何でいるよ。今日元旦。モロ冬。

 ついに地球温暖化の影響は冬に蜂を飛び回らせるに至ったか。もっとエコになれよ人類。いっそ人類をジェノサイドしちゃえば自然は甦るかしら。

 それか熱血元男子プロテニス選手あたりがこの付近にいるとか。もっと熱くなれよ人類。恐怖で思考がおかしくなったかしら。

 

 パニック状態になっているとブンブン飛び回っていた蜂がピタリ、と動きを止めた……と思った次の瞬間アタシに向かって弾丸のように突っ込んできた。

 ぶっ刺される!と思うぐらい顔面ギリギリのコースで。もう悲鳴も上げられない。これにはちびりそうだった。

 さらにアタシの顔のすぐ近くをブンブン飛び回る大サービス。しかも1分くらいそのまんま。これにはちょっとちびった。

 スピードの緩急をつけたりちょっと止まってみたり微妙に離れたり急に距離をつめたり、といった玄人好みなこだわりが目を瞑っていても羽音の聞こえ方で感じられる。

 恐怖で目を瞑った分耳が鋭敏になっているんだろうか。誰か耳栓くれ。



 この蜂、時期もそうだが動きも不自然だ、なんて考えられたのは後からの話。



 やっと飛び去ってくれたあとには涙やら鼻水やら涎やらでぐちゃぐちゃな顔面のアタシらしき何かが直立不動で突っ立ていた。

 脳みそも機能停止しているに違いない。もはや生きていない。もはやオブジェ。さぞ見るに堪えないオブジェだろう。


 オブジェになっていると玄関の扉が開き、声をかけられた。アタシの母だ。


 「あら?花ちゃん、何してるの?」 

 「・・・・・・・・・」


 オブジェしてます。撤去プリーズ。家の中に。


 「なんか大変そうねえ……ほら、こっち来なさい。どうしちゃったのよ?」

 「蜂……蜂飛んでた……蜂……」

 「今冬よ花ちゃん。蜂なんている訳ないわ。ああもう……」


 手を引かれながらアタシは何とか家に入ることができた。


 「いい年して情けないわよお……花ちゃん」



 自己紹介が遅れてしまった。

 「花ちゃん」と母から呼ばれているのはアタシの名前が「花子」だから。安直。

 春野花子。それがアタシの名前。

 今日誕生日を迎えて齢33。

 確かに、世間一般的に見て「いい年」であり、蜂に怯えて動けなくなって「おがあざーん」とか喚きながら母に手を引かれる光景は年相応とは言えないかも知れない。が、怖いったら怖いんだってば。



 家の中に入れたお陰で落ち着いた。落ち着くと、休みの日はいつも居間でグータラしてる父がいないことに気付いた。


 「あー、さっき本屋行ってくるーだってさ」と母。

 「急だねえ。正月は家でゆっくりグータラと一家団欒でしょ」

 「や、花ちゃんも出かけてたでしょ」

 「うはは。そういやそうだ」

 「何かいいことあった?」


 出かけて、帰ってくるといつもされる質問だ。答えはいつも決まってる。


 「んー……いやぁ特に何も」

 「……そう?」

 「うん」


 母はなんか外でいい出会いでもあることを期待しているんだと思う。いまのアタシは……何というか、煮詰まってるし。


 「そっかあ……あ、花ちゃん、今日はこれ見よ」と言ってテレビのリモコンを操作し始める。今日はアニメか。


 「何か話題らしくて。一昨日くらいだったかな?ビデオ録っといたのよ。」

 「ほほう」




 4年前。アタシが29才の頃、大学を卒業してからずっと勤めてきた喫茶店の仕事を辞めた。

 それ以来アタシはずっと無職。

 

 まあ煮詰まっているというか何というか・・・そんな、落ち込んでるとか引きこもってるとかご飯は部屋の前に置いてもらってるとかジャ○プ買ってこいやババアーなんて言ってるとかそーいう話では無いけれど、ぱっとしない日々を送っている。

 部屋で何度も読んだ漫画や小説を読み漁ったり、同じゲームを何回もしたり、時に何もしないで数時間過ごしたり、嫌になって出かけて、10回中9回は「何で外になんか出たのだろう」と後悔して帰ってくる。

 

 その頃から母は今日みたいにアニメだったり映画だったり音楽だったり漫画だったりゲームだったりを調達してきてアタシに勧めてくるようになった。


 「私はこの漫画に生きる気力を貰ったのよ!」


 そんな事を言っていた母は、こういう芸術というかエンターテイメントの力、みたいなのを信じていて、いつかアタシの気力を奮い立たせるような作品を見つければ、アタシが今の状況から脱出することができる、と考えているらしい。

 

 全く、素晴らしい母ではないだろうか。33の独身無職のダメ娘にゃ過ぎたる愛。応えられないのがツライ。

 

 今回は人気漫画が原作のアニメだ。

 第一話から完全アニメオリジナル展開という挑戦的な試みをしているらしい。

 原作の漫画は前に母に同じように勧められて読んだ。結構好きだったな。

 だからオリジナル展開ってちょいイヤーな予感……個人的にはそういうのって大概アレなんだけど……さてこれはどうなんだ?


 オープニングが始まる。世間で「最後のロックスター」とか呼ばれている人がボーカルをやってる、今勢いのある……てかいまや敵無しってくらいのロックバンドの新曲だ。


 「この人らアニソンもやってるの?」

 「このアニメが初だって。監督がアニメの脚本持ってバンドに直談判したんだって」


 そしたらその脚本に感動したバンド側が、「ギャラはいらねえ」とか言いながらオープニングとエンディング、それどころか劇中音楽全部を作ってしまった……というのが母の説明。どこまでホントなんだか……でもこの曲は素人のアタシでも気合入ってるってわかるぞ。これは期待してもいいのか?




 原作の漫画の終盤で明かされる伏線が第1話でいきなり判明し、なだれ込むような勢いで物語が展開していく。

 これが第1話?すげえ。年末の特番枠でこの第1話は1時間あった。そんなスペシャルな感じに相応しい出来。


 「放送後はネットで大絶賛だったみたい」


 だろうなあ。もう原作通りにしてくれ、なんて言えない。


 「どうよ今回は?」

 「今までの中では一番良かったかなー」

 「よしよし」


 母が嬉しそうに微笑んだ。いい親過ぎる。

 その後もアニメの感想を二人でしばらく語り合っていた。

 いつもは大体、悪くはないけど感想は「良かった」ぐらいしか思いつかないのが多いから珍しい。

 まあアタシがボキャ貧(死語)なのも大きいと思うけど。

 

 この習慣が始まって以来の作品に話を弾ませていると、

 「あっ……そういえば……」唐突に母が何かを思い出したように立ち上がった。


 「年賀状出すの忘れてた」だそうだ。


 「あーもしやこっちが書いてない人から来ちゃった的な?」

 「そうそう。お返し……今から行ったら回収時間ギリギリ間に合うかしら……ちょっと行ってくるわね」


 ちなみにここから一番近いポストは駅前にあるやつで、自転車で坂道を30分走ったあたり。

 今午後3時半ぐらいでー……ってなると回収は4時だから急いだらギリいけるか。

 アタシが代わりに行った方がいいかなあ、でも今朝も同じように駅までひいひい言いながら自転車漕いでた訳で……1日に2回もそんなんだるいなーでもやっぱ、とかなんとか考えてると「じゃ、行ってくる!」と言って母が相棒のママチャリで飛び出して行ってしまった。

 


 ……うう。大丈夫かなあ……

 それこそいい年なんだしあんな急いだら危ないんじゃないかなぁ。

 だるいとか思ってないでアタシが代わったら良かったんだ。こんな時ぐらい親孝行でもすりゃいいのに。後悔が頭をぐるぐる。


 「うぅー……ダメだダメだぁ……」


 最近はもうこれぐらいの事でも自己嫌悪で落ち着かなくなってきた。さっきのちょっと幸せな気分もザラザラと零れ落ちていく。



 ――「心に穴が開いた」という表現って誰が最初に考え付いたのか。上手いよなあ、これ。

 今のアタシそんな感じだわ。

 どこかで聞いた話だけど、心ってのは理屈でいやあ脳にあるんだとか。まあわからんでもない。人間脳で色々考えているんだし。

 

 それでもアタシはたまに、というか今みたいに「心に穴が開いた」時、心は鳩尾のあたりにある、と思う。

 それはもう、確信的に。

 そこに深い深い、暗い暗い穴が開いているイメージ。

 不思議な話だけど、こんな風に心が調子悪くしている時に限ってアタシは深く「心がどこにあるのか」を理解している。


 ……とまあ、こんな時は何かおセンチ(死語)な事ばかり考えてしまう。

 あー新年早々何やってんだ?いやこの「新年早々」ってのもダメなんだ。

 なんか気負っちゃって空回りしまくる。

 しかも毎年アタシの場合誕生日な訳で。余計気負う。

 全ての行為に「新年最初の」ってのがくっついてる気がする。

 結果、アタシは楽しい元旦もとい誕生日を迎えたことは無い。……いや待て、流石に子供の頃は楽しめてた気がする。

 うーむ、ベタで頭悪そうってのは重々承知だけど「昔は良かった」なんて考えちまうな、ってやっぱおセンチなこと考えてるよヤメヤメ。


 こういう時昔は誰かとテキトーにくっちゃべってたらどーにかなったけど。今は父も母も出かけてるし、兄弟姉妹は元からいない。一人っ子。


 友達は……今はいない。交通事故で死んだ。


 ……またおセンチで暗い感じに。悪循環だねこりゃ。

 部屋でボケーっとゲームでもやるか。頭空っぽにすんのには丁度良いだろう。

 家族がみんな帰ってきたあたりで夕食の時間だろう。

 元旦だし、アタシの誕生日だし、で母は毎年この日はいつもより力の入った料理を作ってくれる。



 それ食ってー


 お風呂入ってー


 寝る。



 ……うん。もう今日はそれで良い。

 何もいらない。

 節目っぽい日だろうが構わない。

 33才無職独身のこの状況を打破するきっかけなど望まない。

 望んだ結果がコレだ。毎年同じように無駄に気負っちゃってこのザマだ。

 いやそう悲観することもないじゃないか。

 少なくとも、あと数時間したら美味しいものが食べられる。

 明日以降もうじうじと仕事もせずに暮らす日々だろうが、それを追い出そうともせず温かく見守ってくれてさえいる両親がいる。ほら幸せ。素晴らしい。

 生きているだけで人生丸儲けーってな。


 ……そりゃアタシだってたまにはどっか遠くの非現実な世界に行きたいなんて漠然とした妄想もするさ。

 だけど、実際問題、現実にはそんなメルヒェンでファンタジーな要素はほぼ無い。

 せいぜい、それこそさっきみたいに冬に飛び回る蜂、みたいなだからどーしたよ?ってぐらいのものだ。

 そういうのだってちゃんと調べればファンタジーな話じゃなく、普通にあり得る話だってわかるはずだ。きっと。メンドイから調べないけど。

 さっきちびったりオブジェになったりするくらいにビビッてたけど色々考えてたらすっかり忘れてたわ。

 感動も恐怖もちょっとしたらどんどん薄れて消えてくなぁ。もしや年?やーね。現実というか認識というか、そういうものにどんどん押し流されるイメージ。


 まあいいさ。

 これからもテキトーに生きてりゃ良い。

 働かなきゃどーにもならんってなったらアタシも動くだろ。というかそんな日が来なくてもそのうちケロッと働けるようになるかも。

 まあ無理だったら死ねば良い。なんで投げやりすぎるか?でもまあ死ぬまで「生きてるだけ」でもう、いいよ……幸せ幸せ。



 そう、アタシは幸せだ。

 だから断じて、今日が「アタシの今までの人生史上一番キナクサイ日」になることなんか望んじゃいなかった。

 確かにファンタジーかもしれない。

 だけど何というか……全体的にもっと「きっちり」して欲しい。

 こんな理不尽でデタラメで「ノーコメント」という感想しか出てこない展開なんていらないのだ。



 2階の自分の部屋のドア。

 それを開いた時に、動き出したのだ。

 さっきも言ったけど、家にはアタシ一人。

 なんつーかこの状況もまたベタでわざとらしくて嫌な感じ。誰か神様みたいなヤツに全部仕組まれてんじゃないの?コレ―――   


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