四二 ヴィルト大森林
アングライフェン大帝国領北部には、鬱蒼とした原生林が広がっている。そう、今や人間にとって世界有数の危険地帯の一つ、“ヴィルト大森林”だ。
その深部には、霞がかった古塔が薄ぼんやりと天に伸びており、周りには無数の黒い影――――飛竜が悠々と空を舞っている。耳を澄ませば、ギャアギャアと彼らの鳴き声が聞こえるだろう。原初の姿を残す密林に、恐竜のような天翼達……まるでここだけ太古の時代に巻き戻ったかのようだ。もしくは、魔境か。
帝都から平原を突っ切って北に向かう街道は、その大森林を大きく迂回するように続いている。今や魔王軍幹部の一人、“龍巫女”の監視下に置かれた危険地帯に足を踏み入れるような輩は居ないからだ。それでもヴィルト大森林に向かう者は、真性の阿呆か、もしくは大森林に住まう亜人が目当ての不届き者と相場が決まっている。
で、その街道を当然の如く逸れて疾走しているのが……宗介達の乗るスーパーカーだ。
宗介達は現在、何故か大量に残っている馬車の轍――どうも、真性の阿呆か不届き者が実際に現れたらしい――を頼りに、件の魔境を前方に見据えて進んでいた。
「帝都……一目見てみたかったなぁ」
「止めておけ。あそこには屑しか居ない、時間の無駄だ」
「……お前の帝国に対する風当たりの強さは常軌を逸してる気がするんだが」
「ん、そうか?」
「無自覚かよ……」
白銀に煌めくスーパーカー、Lancerを駆る宗介は、ミラーの彼方で豆粒のようになってしまったアングライフェン大帝国帝都を、何とも名残惜しそうに見つめる。
と言うのも、聖ルミナス王国王都を出発し東の国境を越えた彼らは、以降、どこの街にも寄ること無く真っ直ぐここまで駆け抜けて来たのだ。
宗介としては、人間界における二大都市の一つである帝都、一度は訪れてみたかったのだが、時間的都合やフォルテの強い要望により泣く泣く断念することになったのである。ちなみにフォルテ曰く、「帝都の見所は奴隷商や地下闘技場なんかの悪趣味なモノしか無いから、わざわざ時間を割く価値など無い」らしい。
「まぁ、奴隷云々は俺も良い気はしないが……。それはそうと、森の中での案内役は任せても良いんだろうな?」
帝国の奴隷社会に思うところありつつ、そう確認をとる宗介。
ヴィルト大森林の中には、亜人族のナワバリ及び集落が点在している。ちなみにこれは、森全体が魔王軍幹部“龍巫女”の監視下に置かれる前からのモノだ。魔王軍の支配地域に住み続けるなど危険ではないのか? という疑問はあるだろうが、これに関しては問題ない。龍巫女配下の魔物達……飛竜は森の中に降り立つことが出来ないからだ。勿論、森の中に住む小型の魔物達も居るが、こちらはさしたる脅威ではない。
そんな訳で、亜人達の目下の脅威と言えば、奴隷を入手する為にやって来る帝国軍。ひいては、人間族である。
そんな目の敵である人間が、もしもナワバリや集落に近付いて来たら……結果は火を見るより明らかだろう。
実際のところ宗介達なら、排除しようと亜人族が襲いかかって来たところで殺られはしないが、無闇に敵対するのも得策ではない。そこでフォルテの案内が必要となる訳だ。
「実はあまり自信が無いが……大丈夫だ。きっと何とかなる、任せておけ」
「なんで自信が無いんだよ。この森は亜人族にとって庭みたいなモンじゃないのか?」
「そう言われてもな……。この森で過ごした期間より人里で過ごした期間のほうが圧倒的に長いのだから、仕方なかろう」
「何だよそれ……」
微妙に頼りない金狼族のハーフ騎士に、呆れたような溜息を零す宗介。
とは言え彼女にも色々と事情があるのだろう。そう判断して、仕方なしにアクセルペダルを踏んでいると、普段の定位置でジ~っと前方を見つめていたエリスが不意に宗介の顔を見上げ、声をかけてきた。
「……そろそろ、“ミラ”の領域。飛竜達もエンジン音に気付く頃合。……徒歩に変えるべき」
「“龍巫女ミラ・ウィード・アルサーフィ”か……。あぁ、クソ。面倒くせぇが仕方無えか、降りるぞ」
ランサーが鳴らす音はけたたましいことこの上ない。そんな爆音を鳴らしながら大森森に近付いては、上空を巡回する飛竜達が文字通り飛んで来て、それはそれは厄介なことになるだろう。
やって来た側から全滅させても良いが、流石にそれは時間の無駄。そう判断した宗介は、大人しくランサーを停めて回収し、えっちらおっちら、前方に広がる原生林へと向かった。
◆
ヴィルト大森林の中は、とにかく暗い。生い茂る木々が完全に太陽を隠してしまっているのだ。
加えて視界も非常に悪い。蔦を纏った大樹や、高く伸びたシダ植物などのせいで、数メートル先も見通すことが出来ない程だ。方角など分かる筈も無い。
そんな薄暗い森……もはや樹海と言うべきその場所を迷い無く歩くフォルテと、後に追随する宗介達。フォルテ自慢の【直感】は絶好調なようだ。道無き道もなんのその、と言った具合である。
「一応言っておくが、森の中では炎の魔法は厳禁だぞ? 私の故郷を灰にされてはたまらんからな」
「……言われなくても、わかってる」
「婿殿も、轟音を鳴らすのは止めてくれ。降りてはこれないとは言え飛竜達や他の魔物が集まってくるだろうし、他の亜人族達に届けば無闇に警戒させてしまう」
「わーってるよ」
時折、後ろを振り返って宗介達が着いて来ているかを確認しつつ、森の中での注意事項を念押ししてくるフォルテに、宗介はヒラヒラと両手を挙げて了解の意を示す。
当然ながら宗介の武器は、発砲音やエンジン音など、静かな森の中ではよく目立つ。それを聞いた外敵共に寄ってたかってこられては、流石に面倒だ。
それをキッチリと理解している宗介は、右の義手をガシャガシャと動かし、不備が無いか簡単に確認する。
エリスの方は……問題あるまい。爆発を起こす火属性魔法ならまだしも、地属性の魔法は基本的に静かなものである。
さて、そんな具合で、暫くの間獣道とも言えない不可視の道を歩いていると、不意にフォルテが腰の剣に手を当て、辺りを警戒しだした。魔物だ。当然、宗介達も察知している。
自ずと三人は、背中合わせになって構える。フォルテは腰の直剣を抜いて、宗介とエリスは無手だ。
「囲まれたか」
「この森の魔物は気配を消すのが上手い奴らばかりだからな。注意していてもこうだ」
「……雑魚は雑魚。それ以上でも以下でも、ない」
「全く、だっ!」
姿こそ見えないものの辺りを取り囲む魔物達に、軽口を叩いていたその時。不意に宗介の右腕が跳ね上がった。同時に装甲が展開して姿を現した連射式ボウガンが、バシュシュシュッ! と細い矢を放つ。
刹那、幾つかの鈍い音と小さな断末魔が聞こえ、木々の上から何かが落ちてきた。猿型の魔物だ。全員、喉元を矢が貫通しており、ビクビクと痙攣している。絶命は確実だろう。
「キキィッッ!!」
仲間が殺られたことに焦ったのか、他の猿達が猛然と飛び出して来た。数は十を超えている。ギラリと怪しく輝く爪は、見るからに危険な代物だ。
だが……
「逃げるべきだったな」
そんなもの、完全な不意打ちでなければ通用しない。
宗介は薙ぐようにボウガンを連射し、自らに向かって来た猿達の脳天を射抜いて絶命させる。静音性に優れたボウガンの一撃故、ほぼ無音だ。木霊するのは魔物の断末魔のみ。
しかし、惜しむらくはその連射性の低さだろう。銃の連射力には遠く及ばない。結果、狩り切れなかった一匹が彼に肉薄する。
何処か嗤ったように見えたのは、きっと見間違いではないだろう。どうやら知能はかなり高いらしい。
……しかし、嗤ったのは宗介も同じ。
「甘ぇよ」
鋭い凶爪を義手の装甲で容易く弾くと、その猿の顔面を鷲掴みにした。
「ギ、イィイッッ!?」
万力の如き握力に、猿の魔物は頭蓋骨の悲鳴と共に苦悶の声を上げて暴れ出した。爪で引っ掻き、殴り、蹴る。
哀れ、アダマンタイトの装甲には傷一つ付かない。
「鬱陶しい、暴れんな」
無慈悲に吐き捨てた宗介は、手首部分に内蔵したアサシンブレードを突き出し、猿の首を突き穿つ。猿の頚椎は一瞬で分断され、ビクリと痙攣した後に動かなくなった。
フン、と魔物達の他愛無さを鼻で笑いつつ、手に持った肉を放り投げる宗介。首筋から血を撒き散らして飛んで行ったそれは、一瞬の後、ザシュッ!! と何かに切り裂かれて地に落ちた。
まるで見えない剣による斬撃を受けたような、不可解極まりない光景である。
その正体はこの猿達の攻撃……風の斬撃だ。彼らは、風を操り不可視の刃を飛ばしてくる魔物だったのだ。
宗介はそのことを、聖王国での情報収集によって把握していた。なので、フォルテに向けて死角から放たれたそれを防いでやる為に死体を投げたのである。
「流石は婿殿だ、信じていたよっ」
あっけらかんと言ってのけ、目の前の猿を一太刀の下に斬り捨てるフォルテ。どうやら宗介が助けてくれるということを、【直感】で察していたらしい。
「そりゃどうも。しかし不可視の攻撃とは厄介なもんだ」
見えないという風の特性に毒を吐きつつ、宗介は、未だ木の上に隠れている猿達を射ち落としていく。今し方フォルテに風の刃を放ったのも、この猿達だ。
一応、“龍脈眼”ならば風の魔力を黄緑色にハイライトしてくれるので、本気の戦闘時ならば問題はない。が、今はいつどこで亜人族と遭遇するか分からないので使えなかった。
ならば先手必勝、不可視の攻撃をされる前に仕留めるまで。
無音のままにボウガンを放ち、一匹一匹仕留めていく。エリスもお得意の杭を突き出す魔法で、フォルテは剣で、確実に堅実に。思いの外、猿達は隠れたまま残っていたようで、ボトボトと幾つもの死体が積み上がっていく。
やがて、未だに生き残っている猿達も「流石にヤバイ!」と思ったのか、一斉に背を向けて蜘蛛の子を散らすように逃げ出した。勝ち目など元より存在しないのだから、妥当な判断だと言えるだろう。
勿論、宗介達が逃がす訳も無く、その背中を射抜いて行くが、如何せん義手内蔵ボウガン一挺では絶対的に手数が足りない。
宗介は舌打ち一発。木の上を跳ねて逃げて行く者を優先的に狙い射ちながら、エリスに指示を飛ばす。
「森の中でなけりゃ全員狙い撃ちなんだがなぁ……エリス、頼んだ」
チラリと視線を寄越し小さく頷いたエリスは、スッと手を掲げ……宣言するように詠唱を紡いだ。
「《鮮血の極刑》」
その瞬間、彼女が誇る膨大な魔力の一端が解き放たれ、周囲一帯に無数の杭が乱立する。鬱蒼とした森の一部を、石杭の森で上書きするかのように。
「ギィッ!?」
「のわっ!?」
現代アートのような杭は無数の悲鳴を響かせ、そして無数の華を咲かせた。魔物の血肉で彩られた華を……。
木々の隙間から姿を覗かせる紅色に、宗介は感心したように息を吐く。
「やっぱ頼りになるわ」
「……んっ、ソウスケの隣に立つなら、これくらい当然」
ふんすっと、得意気な顔をするエリス。これは「褒めて」の合図だ。頭を撫でてやれば、僅かに頬を緩ませた。
それを見てぐぬぬ……と悔しそうに唸るのが、四方から杭の射出を受けて身動きが取れなくなったフォルテだ。【直感】に任せて回避したようだが、避けきれずに奇怪なポーズで硬直している。どうやら、杭の側面が研ぎ澄まされた刃になっているらしい。動いたら即座に四肢が飛ぶという寸法だ。
「くっ……不覚……! 巻き込んでくるとは思っていたが、まさか四方向から来るとは……っ」
「……チッ」
仕留めきれなかったからか、エリスは小さく舌打ちする。
――――宗介の隣を賭けた仁義なき戦いは、未だ続いているのだ。つまり彼女ら二人の間では、いつでもどこでも戦場となり得る。決着が付くまでこの争いは終わらない。
今回はどうやら、猿型の魔物を全滅させるのと同時に、フォルテにも攻撃したようだ。地味にやることがえげつない。
「お前らな……。早く折り合いを付けてくれよ」
義手のボウガンを格納しつつ、呆れたように溜息を吐く宗介。
「うむ。婿殿の言うとおり、早い内に決着を付けねばなるまいか……。とりあえずこの拘束を解いてくれないか?」
「……次は叩き潰してあげる」
エリスが、ふんと鼻を鳴らして指を振るえば、突き出していた杭達が全て土くれに逆戻りしていく。フォルテの周りでギラリと煌めいていた杭も、離れた所で紅い華を咲かせていた杭もだ。
ついでと言わんばかりに指が振るわれれば、地に落ちた肉塊達は余すこと無く地面の中に呑み込まれて行った。インスタント土葬である。恐らく、地面の底では火葬も施されていることだろう。
「しかし、便利なモノだな」
「……お邪魔虫には、使えない。……私だけの特権」
単純に感嘆の声を漏らすフォルテに、エリスは「ふ、勝った……」と見下ろすように胸を張る。
亜人族は、その殆どが魔法を使えない。エルフなどの魔法特化の進化をした一族以外、魔法に対する適性や内なる魔力を操る回路、そしてそもそもの源となる魔力を持たないからだ。
代わりに身体能力がズバ抜けており、人を超えて獣のそれに匹敵するのだが……それでもやはり、魔法が使えないというデメリットは大きい。身体能力に優れる亜人族が帝国人の奴隷となっている事実からも、察する事が出来る。
亜人族の血を引くフォルテも、基本的に魔法を使うことは出来ない。父方から継いだ人間の血のおかげで、辛うじて大気中に漂う無属性の魔力を操ることができる程度だ。一応、亜人族としては異例の存在ではあるのだが……そんな彼女からすれば、確かに魔法とは便利なモノに映ることだろう。
つまり魔法勝負では、どう足掻いてもエリス側に軍配が上がると言う訳である。
「ふ、ふんっ! 魔法が使えなくとも死にはしない、私には剣と直感があるからなっ」
「……哀れな負け惜しみ」
「う、うるさいっ! 血の臭いに別の魔物が誘われて来ても事だ、先を急ぐぞっ」
負けを認めたくないのか、フォルテはズカズカと急ぎ気味に歩いて行く。その後ろ姿に宗介は呆れたように肩を竦め、「やれやれ」と苦笑いを浮かべた。
ともあれ、急ぐのには賛成だ。森の中ではフォルテの案内が頼りなので、大人しくその後ろに着いて行く。
いや、着いて行こうとした……その時。
「シッ!!」
鋭い呼気と共に一つの人影が飛び出して来た。
魔物の群れを倒し気を抜いた瞬間を突いた、背後からの不意打ち。狙いは最後尾を気だるそうに歩く宗介の首。
突如現れた襲撃者の気配にフォルテとエリスは顔を青ざめて振り向くが、もう遅い。疾風迅雷の一撃は察知する暇も与えず、握ったナイフが対象の首を斬り飛ばす――――
筈だった。
そう。本来ならば宗介の首が宙を舞う筈だったのに、その時宙を舞ったのは、襲撃者の身体だった。フワリと弧を描くように反転し、背中から鈍い音を立てて地面に叩きつけられる。
「か、はっ……!」
「はい残念。俺を狙ったのが間違いだったな」
何が起こったのか分からないと言ったように目を白黒させる襲撃者の胸元を踏み付け、顔面にボウガンを向ける宗介。
彼は、奇襲を受ける前から襲撃者の存在に気付いていた。故に飛びかかって来た瞬間、見もしないまま翼手で胸ぐらを掴み、背負い投げてやっだけのこと。
フォルテやエリスも気付かない内に存在を把握していたのは、ひとえに“弓師”である遠野を相手にした特訓のお陰だろう。
姿を消し、気配も完全に遮断して忍び寄って来る彼を捉える為に、宗介は新たな力を手に入れたのだ。
簡単に言えば、義体に施した【感覚共有】の強化……いや、“重ね掛け”である。同じ触覚や温痛覚を幾重にも重複させることで、全身の感覚をより過敏にしたのだ。これによって宗介は、僅かな風の流れや温度の変化を、全身で察知出来るようになった。要は身体中に超高性能な各種センサーを搭載したようなものである。
更に、鉛色の髪の毛で隠れてはいるが、耳の裏にも専用の集音用小型ゴーレムを装備しており、これにも【感覚共有】を重ね掛けすることでどんな微細な物音すらも鮮明に捉えることが可能となっている。
それこそ――――今なお隠れ潜んでいる輩が息を飲む音や、焦りを隠せていない鼓動の音すらも。
「……で? おいフォルテ、ここは何かの亜人族のナワバリなのか?」
哀れな襲撃者を睥睨する宗介は、その姿にピクリと眉を顰める。
胸元を踏みつけられて苦しそうにしている襲撃者の顔は、オオカミのものだった。何と言うか、人間味のあるオオカミの顔だ。頭部には三角形の耳が二つ生えているし、鼻頭から大きく裂けた口には鋭い牙が覗いている。
そのくせ身体は見るからに二足歩行生物のそれで、やたらと毛深い筋肉質の男が服を着たような具合だ。モフモフ尻尾のオマケまで付いている。
例えるならば……そう、“獣人”。
そんな言葉がよく似合う姿だった。
「いや、ここはまだ何処の一族のナワバリでもない筈だが……」
「じゃあこいつと、今まさに周りを取り囲んでる奴らは何なんだよ」
「……何か、面倒事?」
「かもな」
宗介はジロリと、隻眼を細めて辺りを見回す。どうやら周りで息を潜めている奴らは、こちらの出方を伺っているらしい。
仕方なく宗介は、狼男の胸ぐらから足を持ち上げると……内蔵パイルバンカーを踵から撃ち出す。
盛大な炸裂音と共に勢い良く飛び出した尖杭の先端が、狼男の胸元を掠めた。
顔から色を失い、盛大に脂汗を流してそれを見つめる狼男。周りからは慌てふためく声が聞こえる。それらを確認した宗介は、パイルバンカーを収納して再び男の胸元を踏み付けると、周りの潜伏者達に届くように冷たく宣言した。
「さっさと出てこなきゃ、今のでコイツの心臓をブチ抜く事になるぞ」
その脅しに、木々の向こうで話し合うような声が聞こえ、暫くしてからのそりと姿を現したのは……
「おのれ卑怯者共め、性懲りも無く……! 我らは絶対に屈さぬぞっ」
筋骨隆々な白虎の獣人だった。




