二七 VS炎帝 前
『クク、クハハハッ! 久方振りに心踊るぞ、鮮血姫ッ!!』
「……黙れ」
マグマの壁からせり出す黒曜石の大剣が、一呼吸の間に両手両足では数え切れない程、機関砲の如く撃ち出される。
狙いは、火口の中頃で爛々と炎を散らしながら宙を舞うフェニックス……“炎帝”だ。
全方位からその霊鳥を狙う黒刃は、しかし周りでとぐろを巻くマグマの蛇竜によって絡め取られ、融解するかその顎門によって噛み砕かれる等して、炎帝の元には届かない。
エリスは、それがどうしたと言わんばかりに手を掲げる。途端に射出し失われた分の黒刃が……いや、それ以上の黒刃がマグマの壁から姿を表す。ここが“トリッド活火山”の火口である以上、その弾数は実質、無限に等しいのだ。
その新たな剣が、再度嵐のように放たれる。流石に“シュヴァルツェアレーゲン”のように毎分六千発の速度、かつ音速で撃ち出すことは不可能だが、一本一本がカノン砲の砲弾を優に超える質量であるそれは、総威力だけなら十分にタメを張れるだろう。
その絶大な暴虐の嵐を一身に受けたマグマ竜は、主を護る為に奮闘するも、瞬く間にその身が削られ四散していく。
マグマ竜の防壁を失った炎帝は、しかし歓喜の笑い声を上げたまま、ヒラリとヒラリと黒刃の連撃を躱した。
いや、躱しきれずにその炎の身体が掻き消されていく……が、大精霊である彼のコアである、“隷属の呪印”らしき紫の文様が刻まれた魔石には当たらない。
『幾らオレの身体を掻き消そうと、無意味だぞ?』
その魔石が無事である以上、炎帝の身体は即座に再生するのだ。流石、不朽不滅を謳う霊鳥フェニックスを模っているだけある。
だがエリスは、攻撃の手を止めない。
「……百も承知」
絶えず発射される黒曜石の大剣は、再生し始める身体の尽くをその質量砲による風圧で吹き飛ばしていく。
とにかく、再生する前に炎を掻き消すことだけを考え、魔石を掠めるように飛来する剣の群れに、炎帝は訝し気に声の調子を顰めた。
『……巫山戯ているのか? お前の力はその程度ではないだろう?』
本来、“鮮血姫”程の魔法使いなら、無数の黒刃を操って逃げ場を無くし、有無を言わさず魔石を破壊することだって可能なのだ。
勿論ヘリオスも、その状況になった所で簡単に魔石を破壊させるつもりはない。炎を解放し、迫る剣を全て蒸発でもさせてやれば十分に対処は可能である。
だとしてもやらないよりはマシだろう。しかし彼女は、魔石を狙って黒曜石の大剣を飛ばすことはしない。あくまでも炎を吹き飛ばすだけだ。
ともすれば、この全くもって無意味な行為の意図が不明であった。
「……確かに、それも可能。でもそれは――――」
思わせぶりに言葉尻を伸ばし、再度巨大な黒刃を放って、魔石の周りに集い始めた炎を掻き消すエリス。
やはりマトモに当てる気の無い攻撃を軽く避けたヘリオスは、『ほう』と感嘆の声を漏らした。
何故なら……
「――――俺の役目だ」
鋼の脚から轟音と白煙を撒き散らす、不敵な笑みを浮かべた灰髪の少年が、大剣の陰から飛び出して来たからである。
そう。彼は放たれる黒刃の嵐を隠れ蓑に、その大剣を巧みに足場に使いながら、宙を舞う炎帝に肉薄していたのだ。
『良い度胸をしているではないか!』
「そりゃ、どうもっ」
後方から飛んできた黒曜石の大剣を弾き落とす勢いで蹴り、空を駆ける宗介。
当然の如く迎撃の炎弾が飛んでくるが、冷静に“龍脈眼”で魔法核を捉え、左手に構えたクーゲルの早撃ちで霧散させる。それでも対処しきれないものは、彼の義手を覆うミスリル装甲と、耐火のマントが宿した加護の力に物を言わせて弾いていく。強大なヘリオスの力のせいか、加護が削られてヂリヂリと嫌な音を立てているが、まだ大丈夫だ。
そして宗介は、刹那の間に炎弾の迎撃網を突破し炎帝へと肉薄する!
「おおぉぉっ!!」
無意識に漏れた声は、“逃がさない”という意思の現れか。一、二度義手を握り締めて調子を確かめた彼は、そのまま無手の右腕を魔石に伸ばす。
理論上、握力に限りのないその手は、決して捉えたものを離すことはない。ならば、ヘリオスの魔石を捕まえさえすれば勝ちは揺るがない。握り潰すも、【刻印】を使用してゴーレムの核にするも、思いのままだ。
――――しかし、虚しくもその手は空を切った。
『ククッ。甘い、甘いぞ半魔の小僧!』
「……クソがっ!」
ゆらりと、陽炎の如く魔石の姿が揺らいだのだ。空気を極限まで熱して密度を変え、幻影を映し出す魔法だ。焦点をズラして投影している為、意識して本来の位置を探さねば龍脈眼でも見極めることは困難である。
黒曜石の大剣を蹴った勢いのまま幻影を素通りしてしまった宗介は、大きな舌打ちを一発。空中で器用に身体を反転させ、してやられた事への苛立ちに任せて陽炎をクーゲルで霧散させる。当然、無意味だ。
そんな彼を、新たに産まれ操られたマグマ竜が横合いから強襲する。
「チッ!」
ガバァッと顎門を開き、マグマの壁に橋を掛けるように弧を描いて飛び出してくる、触れれば即死の炎塊……火が弱点の吸血鬼なら、放つ熱波だけでも気分が悪くなるようなそれを、宗介は咄嗟に右脚のホルスターからシュトラーフェを引き抜き、空中で身体を捻りながら連射して迎撃した。
さらにそのハンドガンらしからぬ反動を、敢えて受け流さずに全て享受することで独楽のように回転しながら、半ば吹き飛ぶ形でその場を離脱。義足内蔵の小型パイルバンカーの激発も利用した急挙動により、頭から胴にかけて六つの風穴が空いたマグマ竜の突進を躱す。
『おっと、逃がさんよ。《ブレイズピラー》』
そこに、口の端を釣り上げたような嫌らしい声と共に降り注ぐのが、紅蓮に輝く炎槍の雨だ。
それこそ天を埋め尽くす程に生み出されたそれは、一本一本が尋常ではない量の魔力を有している。推測の範囲でも、着弾すれば大爆発を起こしナパーム弾のように炎をばら撒くだろう。
「っ! エリス、虎徹参式を出して魔法に集中! フォルテは、サポートするから騎士らしくエリスを護ってやってくれ!」
宗介は下の二人に向けて叫び、錐揉み回転しながら耐火のマントに身を包んだ。
「私が!? くっ、殆ど死刑宣告と同義じゃないか!?」
「……不本意だけど、任せる」
「創世期の大精霊の魔法だぞ!? ええい、やってやるっ!」
スッと目を閉じ、炎の槍達を墜とすべく魔法を構築し始めるエリスに、意を決したように直剣を構えるフォルテ。その横に、宗介の【遠隔操作】によって操られた“虎徹参式”が控え、背中に担いだ漆黒の三十ミリガトリング砲を唸らせる。
――――直後。
爆撃でも受けたような轟音が鳴り響き、“決戦場”の天蓋が紅蓮の輝きで埋め尽くされた。
無数の大剣と地面から剣山の如く伸びた尖杭、そして毎分六千の弾丸が炎槍の雨とせめぎ合った結果、炸裂したナパーム弾が炎を撒き散らしたのだ。
それはさながら超低空に生み出された太陽の如く。炎は、黒曜石の大剣や杭達すら融解、蒸発させる太陽核を中心に、空中の宗介を呑み込みつつ決戦場の地表まで膨れ上がり辺り一帯を火の海へと変える。
「くっ、舐めるなぁっ!」
フォルテは身体強化を全開に直剣を振るい、無属性の魔力を纏った剣圧で迫る炎を斬り拓き薙ぎ払う。それを更に、虎徹参式が背負ったガトリング砲のソニックブームが後押しし、炎の本流を凌ぎ切る!
「……中々やる」
「私は決して、魔人族を守護する為に騎士となった訳ではないのだがなっ! 全く、全く!!」
感心したように息づくエリスを尻目に、彼女の前に立つ女騎士。流石は、守護が本分だけあると言えるだろう。身に着ける耐火の加護を宿した指輪のお陰で、エリスは全くの無傷だ。フォルテ本人も薄く張った魔力の防壁によって、直接炎に焼かれることは防いでいるらしい。
ともすれば、問題は宗介だが……彼も無事だ。虎徹参式は未だ【遠隔操作】によって動かされている。炎の本流が止んだ途端、エンジン音の咆哮を上げて猛然と疾走しだしたのがその証拠だ。
そうして駆ける機械の虎が、背の銃座を動かしてガトリング砲を肩の横に退けると同時。
ボバッ! と、宙に浮かぶ太陽から薄く煙を上げる黒い塊が飛び出した。
「ぐ……っ、大分効いた……!」
無論、宗介だ。纏わり付く炎を払うように、身を包むマントを翻した彼は、仰向けに大の字になりながら重力に任せて落下する。
顔や左手等、素肌が露出している部分はジリジリと燻っており、羽織るマントも各所が少し焦げていた。はたして、彼の異様な耐久とマントの加護を貫く炎帝が凄いのか、それとも大精霊の炎に耐える彼が凄いのか……一応、致命傷ではないようだ。
『ク、クハハ……やるではないか!』
歓喜の声と共に、太陽の如き大火球がその身を収縮させていき“卵”か何かのようになるのを眺めながら、宗介はクルリと姿勢を変え、真下まで走らせていた虎徹参式の背中に飛び乗る。
そしておもむろに傍のガトリング砲を掴み取ると、虎徹参式をエリス達の元へ走らせつつ、その漆黒の雨を上空の卵に向けて解き放った。
放たれた暴虐の嵐は、その全てが炎の殻を突き破り天へと昇る。およそ牽制程度の攻撃だが、音速の弾丸は融解するよりも早く貫通し無数の孔を空ける。
『何度も言うが、痒くもなんともないぞ?』
ニヤリと嗤うような声を響かせる霊鳥の卵は、やはり即座に再生し、そして孵化するかのように砕け散った。
そこから現れるのは、やはり伝説の霊鳥フェニックス。翼を薙ぎ払い、無数の炎弾を展開する。
しかし宗介も、ニヤリと犬歯を晒して嗤う。
「百も承知だ――――エリス!」
「ん……耐えてみるといい。《圧殺する黒塊》」
宗介の合図と共に、エリスの小さな手が軽く振り下ろされた。
瞬間、マグマの壁から迫り出す剣の群れ。地面から伸びる杭の群れ。総数など数えるのが馬鹿らしくなる程だ。
しかし、真髄はそこではない。
『…………ほう、そう来たか』
魔法のメインは、決戦場の全てを黒い影で覆い隠し、天から堕ちてくる黒い塊である。
ゴゴゴゴ……とおどろおどろしい重音を響かせながら降ってくるそれは、“隕石”だ。
いや、正確には火口から噴き出したマグマが固まってできたものなので、火山弾に近い。しかし大きさは段違いであり、先程シュヴァルツェアレーゲンによって上空にばら撒かれた弾丸を使用することによって、表面が漆黒の輝きを放っている。
――――アダマンタイトでコーティングされた、最重最硬の溶岩塊。
少なくとも、見上げたフォルテが顔を青ざめ、同じく天を仰いだ炎帝が一瞬だけ思考を停止させるような代物である。
『天にも地にも逃げ場無し、か。流石だな鮮血姫! それでこそ心躍るというものよ!』
「……ほざく暇があるなら、足掻いてみるべき」
『クハッ、言われずとも!』
決戦場のマグマ壁から迫り出す大剣、地から突き出さんと構える尖杭、そして天より堕つ岩石塊。片腕片脚を喪っても諦めなかった宗介ですら、流石にこれにはお手上げだろう。逃げ場がなく、迎撃する手段が思いつかない。
しかしその中心に居るのは、世界最強がどうとか、そういう枠を超えた高みに位置する……ある種、神の一角とも言える存在。火の大精霊ヘリオス。
格が違うのだ。
『炎よ集え、我が元に。世界よ、破滅の焔を刮目するが良い』
詠唱と共に、フェニックスの身体がギュルリとうねり姿を変える。
出来たものは、剣だ。太陽のコロナのように白い輝きを放つ剣を中心に、九本の小さな炎剣が並んでいる。
大気をプラズマ化させる程の、膨大な熱量を誇るその剣。火の大精霊ヘリオスが誇る最大の魔法は……
『――――《レーヴァテイン》』
その銘と共に、総数十の炎剣達が解き放たれた!
“ビット”のように変幻自在に舞う九の炎剣が、魔石直撃コースにある黒曜石の大剣や杭を迎撃する。
白熱して輝く一際大きな炎剣が、大気をプラズマ化させながら天の隕石に向けて飛び出し、容易くアダマンタイトのコーティングを融解させて潜り込み内から気化させていく。
そして、岩石が気化して膨張したことによって起こる大破砕。降り注ぐ欠片も、魔石に直撃しそうなものだけ九本の剣達が打ち払う。
瞬く間に、エリス渾身の魔法達が破壊されてしまった。やはり本物の“大精霊”と、その大精霊と契約しただけの少女では相手にならなかった。
――――しかし。
「全部、想定通りだ」
獰猛に嗤う宗介は、炎帝の魔石に右手を伸ばす。
そう。先程と同じように、エリスの魔法を足場にして宙に浮かぶ炎帝に肉薄していたのだ。宗介は空を飛べない以上、どうしても天に昇るには似た方法を取らざるを得ないのだが……そんなこと今はどうだっていい。
当然、先程と同じ轍を踏むことはない。龍脈眼は間違いなく幻影ではない本物の魔石を捉えている。先程の魔法で全ての炎を使った、剥き出しの魔石だ。
そしてそれを捕まえれば、勝ち。
目前に迫った勝利に、宗介は頬を緩める。
『あぁ、全く――――オレをここまで追い詰めるとはなぁ』
「おう、痛くはしないから大人しくしてろよ」
『だが残念、却下だ』
コンマ数秒で勝負は決するだろう。もう少しで手が触れる。いや触れた。掴んだ。間違いなく。
だというのに。
「っ、何だと!?」
思わず彼は、我が目を疑った。
義手に包まれた筈の魔石が、忽然とその姿を消したのだ。
それもほんの一瞬で。文字通り瞬く間の出来事である。
『ククッ、すまぬな半魔の小僧。虎の子を使わせてもらった!』
「っ、空間転移か!!」
背後から響いた声に、空中で器用に振り向いた宗介は、苛立ちを隠すこともせずシュトラーフェを引き抜き連射する。更に下に居る虎徹参式のガトリング砲も使い、展開されていた炎弾を霧散させた。
……つまり、試練と称して宗介達を強制転移させた魔法を、自らに使用して逃げたのだろう。
見れば、もう既にフェニックスの身体を再構築し終えている。またも、してやられた。
「ソウスケっ」
「分かってる! 逃がすかよクソ大精霊!!」
宗介はマグマの壁から放たれた大剣を足蹴に、転移した炎帝を追う。
……しかし、彼は飛べない。あくまでも跳躍しているだけだ。故に動きはどうしても直線的になり、結果、容易く躱されてしまう。だからこそ彼は、二度とも不意を突いていたのだ。
「クソッ、ちょこまかと!」
宗介はぎりっと歯噛みし、ヒラリヒラリと彼の手から逃れる炎帝を……そのコア、紫の禍々しい紋様が刻まれた魔石を睨みつける。
「……鬱陶しいっ」
「全く、全く! これは不味いのではないか!?」
エリスも絶えず大剣や杭を飛ばし、フォルテも無属性を纏った剣により斬撃を飛ばすが、やはり炎の翼を捥ぐ程度の効果しかない。
いや、その程度の効果しか出せないのだ。
『クク、どうしてもオレの魔石に触れたいらしいな?』
「……あぁそうだよ! エリスの同僚のよしみで、殺さずに魔王の支配から解放してやるってんだ! 大人しく捕まりやがれ!」
全ては、“隷属の呪印”の為。
これを解除、もしくは上からゴーレムの起動式を刻み込み、宗介の支配下に置く……それが最高の勝利条件である以上、魔石を物理的に破壊することは出来ないのである。
『成る程、成る程。ならば少々、趣向を変えようか』
スゥ……と宙を舞い、炎帝は宗介から距離を取った。
そのまま流れるように、マグマの壁へと向かっていく。
「逃げてばっかりか、クソ!」
『馬鹿を言うな、第二ラウンドに移行しようと言うのだ』
ヘリオスはクツクツと嗤う。
『オレもお前達も、死力を尽くした。しかし、生憎とこのままでは決着が着かん。オレにお前達の攻撃は効かんからな』
「…………だろうよ」
『そしてオレは、勝負こそ好きだが一方的な蹂躙は好まなくてな? 故に、趣向を変えて第二ラウンドといこうじゃあないか』
話半分、宗介の必死の追跡は功を奏すことなく、ヘリオスの魔石が噴き上がるマグマの壁にズブリと沈み込んでしまった。
宗介はまんまと逃げられたことに大きく舌打ちし、義手のワイヤーアンカーをエリス達が居る辺りに飛ばす。
そしてそれを巻き取る瞬間。
「――――ッ!」
マグマの壁から大きな手が飛び出し、強襲した!
赤熱し融解した岩石の手。咄嗟に義手のエンジンを唸らせた宗介は、紙一重のところで握り拳の形をとったそれを躱す。
そのままワイヤーを巻き取り、エリス達の元へと退避し合流した。
「すまん、しくじった」
「……ん、仕方ない。それよりも……」
「また、あの巨人ではないか! くっ、どうする?」
「どうするもこうするも、ブチのめすしか無いだろ、クソッタレが……」
心の底から面倒臭そうな顔をした三人は、揃って“それ”を見上げる。
マグマの壁から身体を引き摺り出す巨人。その身体の内、大気に触れた部分が、瞬く間に黒い鎧に覆われていく。
やがて生まれるのは、焔を纏った二本の角に、ギラリと赤く輝きを放つ双眸。
赤熱した両の腕や、身体を支える脚は、大樹の如き太さを誇っている。
鎧の関節部にはマグマの流れが覗いており、胸の装甲は、その内側に埋め込まれた魔石を護るかのように重厚だ。
決戦場に来る前に、一度見たその姿……しかしその時とは打って変わり、全体的に刺々しくなり、一回り大きくなっている。左の掌には紅蓮の光を漏らす“砲口”らしき穴も空いていた。
その巨人から、ヘリオスの声が聞こえてくる。
『溶岩の巨人、《スルト》よ。オレの魔石に触れたいならば、此奴を突破してみるが良い。……あぁ、安心しろ。もう空間転移は出来んからな』
「…………つまり、その木偶人形を破壊したら俺達の勝ちって訳か?」
『そういうことだ。さあ、全身全霊でかかってくるが良い!』
第二ラウンドの内容を告げるや否や、巨人スルトが右手に握った巨大な鞭を振るった。




