幻の薔薇園
薔薇園を散歩
少し疲れ気味だけど無数の薔薇が咲いていた
ヴィーナスの像があり
噴水広場もある
西洋作りのお庭には
赤 白 黄色 桃色などの色とりどりの薔薇
なんだか童話の世界にでも迷い込んだ気分になり
かつて、この薔薇園を訪れたであろう恋人たちの
それぞれの恋物語なんかをイメージしたり
もしも私が物語の主人公で
この薔薇園が私のお庭だったら…?
そしたら私は、どんな主人公になりたいのかしら?
なんて
想像とゆうアイデアや
書いて欲しがっている幻想の欠片の声が
次々と頭に浮かんできては
この薔薇園でイメージされる
様々な場面やロマンス
西洋人形のような
金色の髪のドレス姿の可憐な少女や
恋をするであろう いつか素敵な王子様になる少年…
現実では実在しない登場人物たちが
真夏の薔薇園で私を待っているような…
そんな不思議な気持ちがして
途中 白い動物のお尻だけを見かけるも
丁度するりと薔薇園から抜け出してしまったようだ
白猫だったのかな?
それとも白うさぎだったのかな?
どこからか迷い込んで人の気配に逃げてしまったんだろう…
童話の世界であれば あの動物は
私を案内しに戻って来たりして…なんて
やはり戻ってはこなかったものの…(当たり前かぁ)
私は薔薇の匂いを確かめて
綺麗に咲いた一輪の薔薇にうっとりとした
来年の春…今度はもっと綺麗に咲いた
今日よりも満開で美しい
この薔薇園を是非また見たいものです。
もしも
それが妄想の一場面であれ
私が薔薇園を見て創りだした幻想の中の登場人物は
永遠に書いてもらえなかったのであれば
彼女や彼らは 一体どこへ向かうのでしょうか?
きっと 永久に幻想世界の お墓の中で
いつか…とうとう自分を現実世界へ書きだしてくれなかったと
私のことを憎んだり恨み続けたりするのでしょうか?
想像する者には 絶対的な主導権と実体がありますが
彼女や彼らには主導権も実体もないのです。
そして いつか 文章として自分が描かれるのを
幻想世界の中にある真っ白なベンチなんかに優雅に腰掛けながら
想像をした主である私が生きている限り
ずっとずっと待ち続けるのかもしれません。
それぞれ登場の順番待ちをしているのかもしれません。
仮に忘れられたとしても
再度、その一場面の幻を思い出してもらえるのを
幻想世界でずっと彼女や彼らは祈り続けてるのかもしれません。
来年の春も この薔薇園に来る為に
これからも生きましょう…と誰かが私に囁いた気さえしました。