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再会

「なんかおもしろいことないかな~」


「そだね…学校の男子と飲むのもいい加減飽きたね…」


「うん。彼氏できそうにないし…」


「そもそもみんなアヤちゃん狙いだし…私とか眼中ないし」


「なっちゃん、そんなこと言ったらダメだよ。アヤのせいではないよ」


いつものカフェで干からび気味の女3人。


季節はもうすぐ梅雨に入ろうとしていた。


「そもそも、アヤが釣ってくるから飲み会だってできるわけで」


「でも、つまんない~!!葵どっかで釣ってきてよ」


「それができたらやってるよ…はぁ…帰ろっか」


「そだね。んじゃまた明日ね」


アヤとなっちゃんは電車、私はバス通学だった。


ちょうどバスが停まっていたので急ぎ足で乗った。


このバス停から始発なので、いつも座れる。


私は後部座席に向かって歩いて行った。


そのときだった。


一番後ろに座って外を見ている客に釘付けになった。




「ノブ!!」




相手がゆっくり私の方を見て、一瞬驚いた表情になり、すぐに笑顔になった。



「葵?久しぶりだな」



私はノブの隣に座り、



「なんでいるの?」


興奮しながら聞いた。


「学校帰り。いつもこのバスだよ。葵は?」


「私も学校帰り。ここに大学あるから」


バスがゆっくりと出発した。


「ここの大学って、N大?あそこ短大あった?」


「四年制だよ。短大ないし」


「マジで?お前めっちゃ頭いいな」


「そんなことないよ。ノブは?」


「俺はここから電車。湘南の方に通ってる」


「そうなんだ?今まで会わなかったのが不思議だね。学校どう?」


「やっと慣れてきたよ。でも、工学部だから女いなくて微妙」


「彼女は?」


「とっくに別れたよ。マジ彼女欲しいし」


「そうなんだ?こっちは男子いるんだけど、出会いないよ~」


もっと話していたかったが、ノブの降りるバス停に着いてしまった。


「んじゃ葵、またな」


「うん。多分また会うね笑」



明日アヤたちに話すネタができたー


今すぐ学校に行きたい気分だった。




そして次の日、アヤとなっちゃんはもう学校にいた。


「葵、おはよ」


「あ、葵ちゃん、おはよう」


「ちょっとちょっと、昨日すごいことがあった!!」


「葵?どした?」


「ノブに会った!!ノブと帰り道一緒だった!!」


「ノブって…あの、片想いの?」


「そうそう!通学路一緒だったの!!」


「本当に?葵ちゃん、運命の再会じゃん!」


「そうなの~!超運命!!」


「それすごいね。葵の気持ちが届いたんだよ」


「そうかな?でも、うれしい~。ノブにまた会えたよ~」


「葵の五年越しの想い、叶うかな」


「叶わなくても、またノブに会えた。幸せ過ぎる~」


浮かれっぱなしの私の話をアヤもなっちゃんも笑いながら聞いていた。


「今日も会えるかな?毎日帰るのが楽しみだよ~」



でも、楽しみはこれだけで終わらなかった。



バスで遭遇した三日後の夜、電話がかかってきた。



「姉ちゃん、小杉って人から」



ノブ!?



「もしもし?ノブ?なんで電話番号知ってるの??」


「急にごめんな。卒業アルバムで調べた」


「ううん、私はめっちゃうれしいよ。どしたん?」


「いや…、いきなりだけど、お前彼氏いる?」


心臓がびくっと跳ねた。


「ううん、いないけど…」


「マジで?それならさ…」


「うん…」




「俺たちと合コンやらない?」



「えっ…」



「この前も言ったけど、うちの学校出会いなくてさ。いい男連れていくし。頼む!」



期待した言葉とはちょっと違うけど、ノブと飲めるなら…



「いいよ。何人呼べばいい?」



「やった!さんきゅな。合コンだから、3×3くらいでいいんじゃないか?」



「それならいつでもいいよ。でも、言っておくけど、うちらめちゃめちゃ飲むし、酔うし、酒癖悪いよ?」



「楽しく飲めるなら、いいんじゃね?なら日にち決めてまた連絡するよ」



「うん。楽しみにしてるよ」




早速次の日、アヤとなっちゃんに話した。


なっちゃんはあっさり頷いたが、アヤは複雑な顔をした。


「葵がいいならいいけど…、ノブくんて、葵の気持ちわかってるの?」


「さあ…、ノブにとってはもう過去の話かもしれない…

でもね、アヤには会って欲しいんだよ。ノブを見て欲しい」



「私だって葵の好きな人見たいけど…、

わかった、行くよ」


「二人とも、ありがとう!ノブの友だちだし、きっといい男くるから!」



ノブの方もメンツも日にちもあっさり決まったようだった。



そして当日、3人で待ち合わせ場所に向かった。


ノブたちはもう来ていた。




私たちの時間はこうして始まったー

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