コイバナ
「なっちゃん、私たちバックレるけど、なっちゃんどうする?」
「うーん…、この講義終わったら行くよ」
「はーい。いつものカフェにいるから」
アヤと私、そしてなっちゃんー
入学して2ヶ月、私たちはいつの間にか3人でつるむようになっていた。
特にアヤと私は、最低限の講義しか出席せず、
同じクラスの学生とも挨拶する程度で、なんとなく浮いた存在だった。
でも、それは全然かまわなかった。
アヤと過ごす時間は本当に楽しかった。
タバコを吸ってみたり、記憶がなくなるまで飲んでみたり、
いろいろなことに好奇心を発揮して、少し大人になった気がした。
「葵は、彼氏いないの?」
「いないよ~。やっぱり彼氏欲しいよね。アヤは?」
「私もいないよ。高校卒業するときになんとなく別れた」
「そうなんだ?じゃあ…一通り経験アリ?」
「ないない!キスだけ。純情な交際だったよ」
「ふうん?でも、うらやましいなあ…私付き合ったことないし」
「好きな人はいなかったの?」
「いたよ、ってか、いるよ。中学三年からずっと片想い」
「中三?!長くない?同じ人?」
「うん。高二のときに告白したんだけどフラれて、でも、今でも好き笑」
「マジで?葵ってめっちゃ一途なんだね~。そんなにかっこいいの?」
「いやいや、かっこよくないよ。ただ、学校になじめなかった私を、おもしろい奴って言ってくれて…普通に接してくれたの。それだけで惚れた笑」
「葵は…おもしろいよ。わかってないのは周りだよ」
「別に変人扱いされるのは慣れてるから。でも、アヤみたいな奴に出会えて、今は毎日楽しいよ」
「その人には会ってないの?」
「うん。どこかで大学生になってるはずなんだけど、会ってない。彼女いたし。でも、好きなんだよね~。私バカだよね笑」
「…合コンやろうよ!私も彼氏欲しいし」
「合コンやりたいね。でも、私たちの場合、合コンじゃなくて飲み会になっちゃうんじゃない?」
「だからさ、飲んで酔っぱらっても許してくれる人たち探せばいいじゃん?」
「それはそうだけど…この学校にいる?」
「…いないよねえ…みんな可愛らしい女が好きだよね」
「アヤはおとなしくしてたら普通にモテるのに」
「はあ?疲れるだけじゃん、いい子にしてるなんて。無理無理」
「あはは笑」
二人で笑った。
こんな何気ない日常が楽しかった。