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業火剣乱の狂奏曲《コンチェルト》  作者: ムササ
第一章 機械の奏でる狂奏曲
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#6 フラグ建築

 第一訓練場に現れた大きな人混み、俺と美月は二人でそこへ向かうことにしたのだった。


「ん?やってるのは模擬戦か?」

「どうやらそのようだな」


 少し隙間のあるところを探し、俺たちも人混みに加わる。

 暫く見ていると何故人混みが出来ていたのかその理由が分かった。

 そこでは女子と男子が模擬戦をしていた、そして強いのだ圧倒的にその女子が。

 そしてその後直ぐに決着はついた、その女子の勝利である。


「強いな」


 その美月の言葉に俺も賛同する、単純な剣術だけなら俺も勝てるか怪しいところだ。


「確か、ミーシャ・アルキオスと言ったっけか、アルキオスと言えば確かイギリスの騎士の家系の名家だったな」

「よく知っているな」

「いや、師匠がそういうのに詳しくてな」


 俺の頭には育ての親でもあり、武術の師匠でもあるガタイのいい中年のオヤジの顔が思い浮かぶ。まあ中年というと怒るのだが。


(元気かなぁ、ジジイ)


 ジジイとはミーディア学園に入学した時から会っていない、というより絶賛行方不明中である。

 まあ、心配などするだけ無駄なのだが。


「ほう、鋼夜の師匠か。ならばその人も朧火の継承者か?」


 俺の顔が少し曇った事で美月がしまったという顔をする。


「いや、いいんだ。お前にも嫌な事思い出させたな」

「……すまん」

「いや、良いんだって。さっきの質問の答えだけどな、まあ半分正解だ。何せ俺の親父の師匠でもあるからな」


 そこまで話したところでさっきまで模擬戦をしていた女子、ミーシャがこちらへと歩いて来るのを見て俺と美月は会話を止めた。


「君たちは確か……鋼夜と美月だったな。私はミーシャ。ミーシャ・アルキオスだ」


 そう言って、ブロンドヘアの美少女がこちらへと挨拶をする。

 背は美月と同じくらいだろうか、ショートのブロンドヘアでとても鍛えられている事がすぐ分かる。


「お前は強いな、アルキオス」

「ミーシャでいい」

「そうか、それなら俺も鋼夜と呼んでくれ」

「ああ、そうするとしよう鋼夜。君たちも中々の腕前だったぞ。失礼だとは思いながら横から観戦させてもらっていた」

「そうだったのか、改めて見られていたと思うと恥ずかしいな」


 そう言って俺は美月の方を見る。


「デレデレしよって……」


 ん?なんで睨まれてるんですかね?俺。


「貴女が美月ですね、よろしく」

「ああ、よろしく」


 ミーシャはそんな事を気にもせず美月と握手を交わす。


「そう言えば君たちはルームメイトだったな」

「「うっ…」」


 その直球すぎる言葉に俺と美月は少しばかりたじろぐ。

 見ると他のクラスメイト達も聞き耳を立てており、幾つかの女子からは質問が飛んできた。


「そうそう!どうだったのよ!同じ部屋で寝たんでしょう⁉︎」

「美月ちゃんは綺麗だし、鋼夜君はかっこいいし!」

「しかも幼馴染みなんでしょう⁉︎」

「これはフラグね!鋼鉄のフラグ此処に建築よ!」


 おいおい、勘弁してくれ此処まで早いとは聞いてないぞ。女子特有の情報網とは俺の思っている以上に早いらしい。

 それを聞いて慌てたのは男子である。

 美月は幼馴染みという贔屓目を抜いて見てもかなりの美人であり、狙っていた男子も多いのだろう、なんか色々嫉妬やら恨みやらの視線が飛んでくるのをひしひしと感じる。


「良かったら一緒にお昼でもどうだ?」


 そんな針のむしろから俺たちを救ってくれたのはミーシャであった。

 ああ、貴女は女神様ですか!


「ありがとう、お言葉に甘えさせてもらうよ」

「では、私のルームメイトも一緒で良いかな?」

「うん、構わないよ」

「ありがとう、それじゃあまた後で」


 そう言ってミーシャは歩き去っていく、その凛とした姿にみんなが見惚れてしまう。

 そう、授業終了のチャイムも分からない程に。

 ベシッ!


「貴様ら早く片付けろ」


 ベシッ!

 フェルリア先生のありがた〜い空手チョップを頂いてしまった。


 〜〜〜〜〜〜〜


「で、なんでお前達も居るんだ?」

「うーん、面白そうだったから?」

「だったから?じゃねえよ!ミーシャが困ってるだろ!」


 今このテーブルにいるのは俺と美月、ミーシャとそのルームメイトまでは良いのだが、何故かライラとオルトの姿もあった。


「まあまあ、良いじゃないか。ライラと言ったかよろしくな。私はミーシャだ」

「うん!よろしくねミーシャ!」


 このライラの直ぐに誰とでも打ち解けられる能力は素晴らしいな、今度教えてもらおう。


「俺はオルトだ。よろしくな、一応こいつの双子の兄だ」

「ああ、よろしくな」


 このオルトの誰とでも冷静に話せるのも立派な能力だよな。


「それで、こちらが私のルームメイトのポーラだ」


 ミーシャに紹介された女子がビクッと肩を震わせる。


「ど、どうも…ポーラ・バリトレオです……よろしくお願いします……」

「よろしく、ポーラ」


 俺が手を差し出すとポーラはビクビクしながらも握手をしてくれた。

 うーん、人見知りなのかな?

 ふと、ポーラの食べているものに目を向ける。

 ポーラ、ビーフシチュー。俺、クリームシチュー。

 …なんか仲良くなれそうな気がする。

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