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業火剣乱の狂奏曲《コンチェルト》  作者: ムササ
第一章 機械の奏でる狂奏曲
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#4 同居人は幼馴染み

 帰りのSHR開始のチャイムが鳴り響く。


「よし、SHRを始めるぞ。全員静かにしろ」


 ガララッという音と共にフェルリア先生が教室へと入ってくる。


「それでは先刻のフリーダムナイツの起動試験の結果を返す、出席番号順に取りに来るように」


 もう終わったのか、どうやら俺たちが思っている以上に2237年のテクノロジーは発達しているらしい。


「朧火鋼夜」


 呼ばれて紙を取りに行くと、フェルリア先生がニヤッと笑った気がした。

 だけど次の瞬間には元に戻っており、気のせいだと思うことにした。


「よし、全員行き渡ったな。まあこのテストの結果はあまり気にしなくていい、これは相性テストの様なものだ。このテストはフリーダムナイツから送られる操縦者の個性や性格などを鑑みて、寮の部屋割りをするものだと思ってもらって結構だ」


 ああ、そういえば確かにまだ寮の部屋割り決まってなかったな、なるほどフリーダムナイツから送られる性格とかなら嘘はつけないし、大きな喧嘩をするリスクも無いって訳だ。

 凄いな2237年のテクノロジー。


「それでばSHRを終える、各自紙に書かれた部屋へ向かうこと、2人部屋だからな同居人とは仲良くする様に。では解散」


 〜〜〜〜〜〜〜


「あー、朧火君。ここにいたの」


 帰りの準備をしていたところに呼ばれて顔を上げると、副担任の多賀先生であった。


「同居人とはなかよくする様にねー」

「は、はあ」


 言うだけ言って多賀先生は帰ってしまった。

 一体何だったんだ?


「鋼夜ー、一緒に行こうぜ」


 今度はオルトか、ああそうだな迷うといけないし。


「おお、迷うといけないしな」

「鋼夜は部屋どこだ?」

「俺は1063番だな、オルトは?」

「俺は1064番だな、鋼夜の隣だな」


 どうやら前の出席番号順に振られたらしく、俺とオルトの部屋は隣であった。


「ルームメイトは誰だ?」

「いや、それはまだわからん。オルトは?」

「へっへー、私だよ!」


 一瞬女子⁉︎かと思ったが、そこにいたのはライラであった。


「おお、流石兄妹。仲良いな」

「まあ、他の女子となるよりは数百倍マシだな」


 そんな事が話しながら俺たちは寮へと向かう。

 途中で美月を探そうと思ったのだが、先に行ってしまったらしい、早いなあいつ。


「鋼夜と相性がいい奴ってどんなだろうな?」

「案外美月ちゃんじゃあないのー?」

「いや、それは無いだろうライラ。てゆうかお前らは良いとしてそれは流石にまずいだろ」

「いや?先輩方の中には男女で同じ部屋の人も居るらしいぞ?」

「まじか⁉︎」


 そんなこんなで寮へと着いた。


「お、ここだな」

「ここが鋼夜の部屋か、もう同居人は居るっぽいな」

「どんな人だろーねえねえ、見てっても良い?」

「おう、いいと思うぞ」


 ガチャ。

 小気味いい音を立てて、ドアが開く。


「れっつ、おーぷんせさみ!」


 うん、普通に開けゴマって言おうねライラ。

 部屋に入って最初に目に飛び込んでくるのはやっぱり大きめのベッドである。それが二つ寄り添って並んでおり、そこらの家のよりも断然凄い事は直ぐに見て取れる。


「おおー、意外に広いな」

「うわー!私達のもこんな感じかな!ねえ!」

「そうだろうな」


 いや、そうじゃなかったら苦情が来るだろ。


「誰かいるのか?ああ、ルームメイトになった人か」


 ドア越しに奥の方から声が聞こえた。あっちは洗面所かな?………………ん?なんか妙に声が高くないか?まるで女子の様な……


「私は、心音……み…つ…き」


 ガチャという音と共に奥から出てきたのは幼馴染みである。


「……………」

「……………」

「……………」

「……うわあ」



 俺、美月、オルト、ライラの順である。


「……此処を使うのはライラだよな……そうだよな?」

「ううん、鋼夜だよ」

「…………」

「…………」


 しばし固まった四人。

 最初に動いたのはオルトであった。


「じゃ、じゃあ俺たち隣の部屋に戻るから!んじゃ!」

「じゃあねー!」

「あっ、ちょっ、まっ……て」


 ドアは無情にも音を立てて閉まった。



 〜〜〜〜〜〜〜


「…………」

「…………」


 ただいまの状況、二人でベッドの上で正座。


 いや、今日はいろんな事があったよな、うん。

 入学式やって、自己紹介やって、フリーダムナイツ起動して、模擬戦やって、うん。色々あった。疲れてるんだろうな。これはゆめ、ユメ、夢………じゃ無いんだよなぁ。

 以上、何度目かも分からない自己分析、もとい現実逃避。


「あ、あの、鋼夜?」

「お、おう」

「なんで此処に?」

「いや、俺この部屋…」

「………」

「………」


 またも沈黙、かれこれ10分程この体勢である。


「鋼夜が、私の同居人?」

「お、おう。多分そうだ」

「ど、どういう事だ」

「さ、さあ?」

「私達は15歳の高校生だぞ、それが一つ屋根の下同居するだと⁉︎」


 そう言われても困る。

 俺もなりたくてなった訳ではない。


「まあ、相性テストの結果だからな。俺たちは悪くない」

「わ、私と、鋼夜が相性が良いとでも言うのか………」

「ん?何か言ったか?」

「い、いや!!何も言ってないぞ!!」


 おお、なんか強く否定された。


「もういい!しょうがないからこれで我慢してやる!これはあくまでもしょうがないからだぞ!決して、決して!!私は鋼夜と一緒に住みたいとは思ってないからな!!」

「お、おう」


 美月の剣幕に気圧されてろくに返事もできない。


「そ、それで、どうする」

「どうするとは?」

「そ、その、この部屋の決まりだ………私達が一緒に住む以上、いっ、一緒に住む………」


 ごにょごにょと最後の方はよく聞き取れなかった。

 うん?どうした美月、なんか顔赤いぞ。


「まあ、いいんじゃないか?なんとかなるさ」

「な、なんとかって………」

「取り敢えずそろそろ夕食の時間だろ準備しようぜ」

「あ、ああ。そうだな」


 そうして俺と美月の同居生活は幕を開けた。


「よっ!決まったか?…おっ!お楽しみだったか?」


 オルトが入って来る。…いやいやお楽しみって!ああ、ベッドに正座だからか。

 そんな事を思っていると美月がえらい勢いでオルトに突進する。そのまま立てかけてあった箒でオルトの頭を叩く。

 何を隠そうこの幼馴染み、剣道二段の腕前である。

 ドシーンという音と共にオルトは撃沈した。


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