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業火剣乱の狂奏曲《コンチェルト》  作者: ムササ
第一章 機械の奏でる狂奏曲
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#3 人類の切り札はブレスレット

 昼食を取り終わり、俺たちはそのまま自分達の教室へと向かう。

 だけどその間美月が終始無言で赤くなりながらこっちを睨んでくるのはなんでなんだ?



「よし、席につけ。これより授業を始める」


 3時間目開始のチャイムが鳴ると共に俺たちの担任であり、イージスのエースでもあるフェルリア先生が教室へと入ってくる。


「すみません、遅れました…」


 そう言いながら二人の女子生徒が教室へと入ってくる。

 ああ、あれだな。食堂混んでたもんな俺たちも危うく遅刻しかけた。

 ゴンッ!!

 洒落にならない音が響く。よく見るとフェルリア先生がその女子生徒二人を手に持っていたファイルで頭を叩いた音であった。

 あのー、フェルリア先生。どう力を入れたらファイルで叩いた部分がたんこぶになるのでしょうか?


「今回は初回だからこれで見逃してやるが、次やったら承知しないからな。他の者も同様だ」


 クラス全員の顔が引きつるのが目に見える様だ。


「では授業を始める。この時間は第一訓練室へ移動してフリーダムナイツの起動テストだ。このテストの結果で色々決まるものがあるので各自全力を尽くすように」


 フェルリアの後に続き俺たちも移動を始める。

 ちなみにこのミーディア学園には一学年八つのクラスがあり、それぞれに一つ訓練室が割り振られている。

 流石国営機関の学校、羽振りがいい。

 それとは別に全体が使える訓練室が三つ、模擬戦などもできるアリーナが三つ、ミーティングなどが出来る会議室が五つ、そして集会などが行われる大講堂が一つなどかなりの敷地面積を誇る。

 だが、基本的に校内でのフリーダムナイツの無断運用は禁止なので、何をするのにも許可が必要である。

 まあ、一年生はまだフリーダムナイツを支給されていないので今から起動テストと言っていたし、これから貰えるのだろう。


「此処が諸君らが使える訓練室、第一訓練室だ」


 第一訓練室に着いた。おお、思っていたより広いなこれならクラスメイト全員使えるだろう。


「それでは、フリーダムナイツの支給を行う。いいか、これは一機で小さな国ならば滅せる程の力を持つ、それを自覚しておけ」


 途端にみんなの顔が引き締まる。

 そうである、俺たちは今も人類の存亡をかけた戦争の最中であり、その切り札を今から渡されるのである。


「いい顔だ。それでは出席番号順に取りに来い」


 フェルリア先生から渡されたのだブレスレットである。

 これは戦闘中以外にもフリーダムナイツは携帯していないと意味がないのでフリーダムナイツは戦闘時以外はブレスレットの形態となり、常に肌身離さず携帯する事が義務付けられている。


「全員行き渡ったな?それではフリーダムナイツの起動条件と性質について説明しろ」


 フェルリア先生がさっき遅刻した女子生徒に向かってそういった。


「はい、フリーダムナイツとはアウターの放つグリモアに対し、人類が作り上げた唯一グリモアに対抗できる搭乗型の戦闘兵器です。『ジュエル』と呼ばれるある一部の人間のみが持つ体内器官が無いとフリーダムナイツは起動せず、その為戦闘員はジュエルの有無を確認されます。フリーダムナイツは操縦者の『宝力』と呼ばれるジュエルによって作り出されるエネルギーを燃料とします。またフリーダムナイツは自己進化機能が設定されており、ある一定の戦闘経験と操縦者の感情によって進化する事が発見されており、今確認されている最高の世代は第七世代です」

「フリーダムナイツは第三世代まで自己進化を完了すると、その機体の固有能力(オーバー・ド・スキル)と呼ばれる仕様が追加されます。フリーダムナイツの武装は大きく分けて実弾型と光線型の2つがあり、用途によって使い分けられます。ブレスレットの状態のフリーダムナイツに操縦者が呼びかけを行う事で光の粒子となったフリーダムナイツが全身を覆い、操縦者の体全体に纏います。普通のフリーダムナイツは『イグナイト』と呼ばれる第一世代の量産機で自己進化を果たす事でその操縦者専用機となります」


 二人が持てる限りの知識を披露してくれる。


「よし、合格だ。戻ってよし」


 ほっと二人が安堵の表情を浮かべる。

 まあ、もう一個たんこぶを作られたらたまったものじゃないしな。


「聞いた通りだ。では各自イグナイトを起動させる前に私が見本を見せようか」


 おおっ、というざわめきが聞こえる。

 世界を守るイージスのエースのフリーダムナイツ、まさかこんな近くで見れるとは。


「出番だ、イフリート」


 フェルリアが右腕のブレスレットに手を当て、そう言うと瞬く間に光の粒子が体を包みフリーダムナイツを構成する。

 全身を赤で覆われた機体は炎を彷彿とさせ、手には二丁のマシンガンが握られている。


「出来れば一秒以内で行うのがベストだ。まあ最初ならば三秒だな。よし、開始だ出席番号順に始めろ」


 前のクラスメイトたちが、次々とフリーダムナイツを起動させていく。

 そして俺の番となった。


「次は朧火くーん、君だよー」


 多賀先生にそう促される。

 俺は右腕にはめられたブレスレットに呼びかける。


「行くぞ、イグナイト」


 そうすると光の粒子が体を包み量産型フリーダムナイツ、イグナイトが構成されていく。

 それを見た多賀先生が驚きの声を上げる。


「おおー、凄いねー朧火君」


 何でも初めてで一回で成功するのは中々に凄いらしい。


「君は宝力が強いのかもねー。じゃあそのままフリーダムナイツを起動させたままあっちで待機ねー」


 クラス半分の生徒が多賀先生、もう半分がフェルリア先生が監督である。

 ちなみにもう一方の監督の方からはさっきから「遅い!」という声が聞こえてきており、本当にこっちでよかったと思った。

 しばらくして全員終わったらしく、イグナイトを着込んだなんとも珍妙な集団が第一訓練室に現れた。


「それてばこれよりテストを始める、諸君らは中学の頃より武術の訓練を受けていると思う、今からその確認を兼ねて動作テストを受けてもらう。まあ、平たく言えば模擬戦だな、先刻も言った通り、これからのことに関わるので全力を尽くすように。では開始!」


 出席番号の隣同士でペアを組み、模擬戦を何回か行い、3時間目終了のチャイムが鳴った。


「それまで!終了だ。それでは各自イグナイトをブレスレットに戻し、整列」


 フェルリア先生がそう告げる。

 俺はそれまで手合わせしていた男子生徒との模擬戦を終えるとイグナイトをブレスレットに戻す。


「戻れ、イグナイト」


 そう言うと、イグナイトが光の粒子に戻り右腕のブレスレットに戻った。

 その時手合わせをしていた男子がこちらに近づいてくる。


「いやー、君強いな。全然歯が立たなかったよ。俺も少し武術を習っていたんだけどな」

「いやいや、君も強かったよ」

「ありがとうな、また手合わせ頼むよ」


 俺はある理由(・・・・)で武術の心得があり、常人よりは多少強いと自負している。


「SHRが始まるぞ、早くしろ」


 幼馴染みにそう促され、俺は急いで教室へと戻るのだった。

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