榎戸 美兎ver.Ⅱ
「お前とこんな関係になるとは思わなかった。」
(私だけの美兎でいてね。)
「それは俺を誘っているのか?」
(そういうわけじゃないよ…。)
私はハッと気づいた。すっかり敬語がなくなってしまっていた。
いくら本人が良いと言っても、先輩であることに変わりはない。
(榎戸さん?)
ガタンッ。
急に私の肩が重くなってきた。
榎戸さんが眠り込んでしまったようだ。
☆私side☆
結局、榎戸さんに何も言えずにいる。お酒の勢いで、好きだって言っちゃったけど…。
とりあえず、手をつないでみよう。
とってもあったかい。
時々、むにゅむにゅ言ってるところがさらに可愛い。
お客さん、着きましたよ。
「ほら、瞳。着いたぞ。」
私もいつの間にか寝ていたようだ。
(ごめんなさい。)
エレベーターの中は人が多かった。
美兎さんに抱きかかえられるような姿勢になりながら、エレベーターに乗った。
「そんな上目遣いでこっちを見るな。興奮しちゃうだろ。」
私はもちろん意図的にやったつもりは無い。
むしろ、どうせならもっと興奮させてあられもない姿にさせたい、そんな変態要素を私は含んでいる。
(こんなに心臓がドクドク言ってるね。)
「ハヌッ。」
(どうしたの?もう興奮しちゃうの?まだ我慢してよ?)
人が多かったこともあって、こんな美兎のイヤラシイ声もかき消された。
「お前、そういう奴だったのか・・・ハァン・・・そこは・・・そこは・・・触るなぁ・・・ンァ・・・。」
私は美兎の下半身の出っ張りをズボンの上から擦っていた。
(もっと・・・もっと・・・やって欲しい?)
「やめろ・・・最近やってないから・・・すぐ出る!」
美兎の身体がブルっと揺れた。
どうやらもう出てしまったみたいだ。
(我慢できてないから、私、帰る!)
途中階で降りようとすると、
「俺に恥をかかせるな。」
と怒られた。
エレベーターの中はその匂いが充満していた。
やっと最上階に着いた時には、その匂いになれてしまっていた。
扉を閉じた、その瞬間、美兎はチノパンのチャックを開けた。
「俺に恥をかかせた罰だ。全部舐めろ。」
(我慢できてない、美兎が悪いんじゃん。)
「ん?もういっぺん、言ってみろよ?俺はお前の先輩だぞ?拒否権なんて無いんだよ。さぁ、食え。」
私は全て食べた。
「よしよし。じゃあ、風呂に入って来い。」
(先に入っていいの?)
「いいよ。先に入ってろ。
俺はベッド綺麗にしておくから。」
そう言って、そそくさと奥の寝室に消えて行った。
風呂場に入ると、アロマキャンドルや明らかに男もんとは言いにくいシャンプーなどの洗面用品が整理整頓された形できれいに置かれていた。
ここから綺麗にしておきたいという彼の性格が表れていた。でも、そういうところが私は好きだ。
私はありがたく彼の洗面用品を借りて、お風呂に浸かっていた。
すると、
「棚の上に着替え置いておくぞ。
俺のパジャマだけど、気にするなよ。」
(先輩・・・ありがたくお借りします。)
「ドライヤーも棚の上に置いてあるから、使って構わないからな。」
(何から何までありがとうございます。)
「気にするな…ちゃんと乾かせよ。」
(はい…)
なんかあんまり落ち着きがないようにも見えた。
さっさと髪を乾かせて、今日は寝よう。
何か、変な胸騒ぎがする。
「ちゃんと髪乾かしたか…まだ濡れてる。もう一回乾かせ!」
結局、もう一度お風呂場のドライヤーに逆戻り。
「お前。今日は寝かせねえぞ。ちゃんと乾かせ。風邪ひくぞ。」
続く