3話 世界に一つだけの花ってあるけど、希少種だね
それから数日が過ぎ、今俺の隣に座っている柳に話しかけられ、今に至る。
「それにしても暇やなぁ」
「そうだな」
昼休み、と言うのはぼっちには過酷な40分間だ。
誰にも話しかけられずに、ただひたすら食して寝る振りをする40分間だ。
「そういえばさ、例の部活、どうなってんの?」
「あぁ、順調やけど、人数おらへんから進んでないで」
「なんだ、進んでないのかよ。見た目とは裏腹にお前って無能だな」
「うっさいわ阿保・・・ぼっちにだけは言われたないわ」
トゲの有る言い方しやがって、人が気にしてる事を・・・!
「部活動成立の条件って何だっけ」
「ん?あれや、部活名と内容が明確に記載されていて、人数が3人以上が絶対条件やで」
「後一人じゃん、お前のお得意の情報網で引っかかった奴入れれば解決じゃん」
「せやから言うたやろ?人数おらへんって」
はぁ、と溜め息を漏らす柳を横目に、グラウンドを眺めた。
活発な男子高校生がサッカーをしているのが見える。
「そうか、2ヶ月も経ってりゃみんな部活入ってんのか」
「そう言う事や、どっかの運動部から引っ張り抜こ言うてもこの学校部活は1つまでやろ?」
はぁ、と今度は俺が溜め息を吐いた。
「どっかに居ないもんかねぇ、手頃な部員」
「自分、なんで目の前で俺が3台も携帯いじくっとる思ってるん?阿保ちゃうか?」
そういえば、柳は屋上に来てからずっと携帯をいじっている。
今時珍しい・・・世に言うガラケーと言う奴か
スマートフォンが流行っている中でなぜガラケーを駆使しているんだコイツは・・・。
「見つかりそう?」
「いいや、なかなかおらへんわ・・・どっかのぼっちでも引き抜いてくるか?」
「おいおい、俺にそんなコミュ力ねーよ」
「ええやん、ぼっち同士って以心伝心できそうやん」
だからぼっちぼっちうるせえ!
「大体、俺はぼっちじゃない!」
「へぇ、友達の人数は?」
「ZEROだ!」
胸を張ってドン!と答えた。
「胸張って言う事ちゃうでそれ」
「それもそうだな」
また、屋上から見える景色をまんべんなく眺める。
グラウンド、体育館、テニスコート
ここから見える景色と言えばそれぐらいだ。
ふと、体育館を眺めていると、体育館の裏から一人の女子生徒が歩いて行くのが見えた。
「あ、居た」
「はぁ?」
「あれ、絶対体育館裏で飯食ってたわ、可哀想に」
「憶測でモノ言う時は言葉に気ィ付けぇよ?」
はぁ、とまた大きな溜め息が聞こえた。