2話 べ、別にツンデレなんかじゃないんだからっ!
やっと俺は病院から退院と言う名の自由への開放を許され、久々のシャバの空気を堪能していた。
はぁああああ!とどこぞのサイヤ人張りに声を張り上げながら深呼吸
何故病院に居たかって?それは後々説明しよう!
入学式から居なかった俺は、クラスで不良扱いとなっていた。
中学校の時一人も友達居なかったけど
元々目付きが悪く、誤解される事がしばしばあった。
だがそこで挫けないのが神崎クオリティ
華麗な手さばき、見惚れる程の脚の動き
そして何と言っても誠意のこもった謝罪
そう、土下座だ。
とかなんとか考えてる内に自分の教室1年2組に到着した。
――ガラッ
扉を開けると、一瞬教室全体が静かになり、ザワザワと騒ぎ出す。
会話の内容を聞きとるのは容易いが、大方"退学じゃなかったんだ"程度の噂話に過ぎない
自分の指定された窓側の前からも後ろからも中間の席へ座る。
そして鐘がなり、授業が始まる。
誰からも話しかけられる事もなく
誰に話しかける事もなく
そう、中学校からこんな感じだ。
俺は"ぼっち"だ。
別に独りが寂しいんじゃない!好きなんだ!
一人で野球やるの楽しいぞ!
疲れるけど
頭の中ではそうふざけて居ても、2ヶ月のブランクは高校生からすれば重大な欠点だ。
そう、全く授業が解らない
まずなんだ?先生は古代語で喋っているんだろうか
はぁ、となんとなく黒板の文字を白い紙に綴る。
「――・・・これでテストの範囲は取り敢えず抑えたな!・・・ん?神崎、来てたのか?」
「あ、はい」
「なんだ、来てるなら来てるって言いに来い」
別に来ても来てなくても変わらないでしょ、空気同様なんだから!
「すいません」
「まぁいい、丁度授業も区切りが良いし、自己紹介でもするか」
"自己紹介"
別名:公開処刑
何人ものクラスメイトが見ている中で一人席を立ち、その場で自分の個人情報を阿保かと言う程露出する行為だ。
極めて俺はそれを嫌っている。
「神崎 愛です。好きとか嫌いとか特に無く、世界平和とか日々考えてますよろしく」
フッ、決まった・・・!
と、思ったのは俺だけだった。
シンと静まり返る教室の中、一人ポツンと孤立したように立っている俺を、嘲笑うかの如く見下すクラスメイト達
「あー・・・じゃあ、なんだ、"強いて言えば"好きなモノとか・・・」
先生が気を利かせて質問をする。
「戦隊モノの悪役かな、強いし」
我ながらあっぱれな程に気持ちが悪い
「じゃあ、嫌いなモノは・・・」
「さっき言ったモノの反対ですよ」
短くそう言うが、先生は理解力が乏しいらしい
「なんですか、そんな理解力でよく公務員になれましたね、尊敬します」
精一杯の絶賛だったが、生憎俺は放課後呼び出しを喰らうハメになった。
言葉って、難しいね!