旧友と新友
親じゃないよ。
新だよ。
「あら、春花じゃない」
唐突に背後から聞こえる懐かしい声。
「その声は……」
振り向くと、そこにいたのは…
「はぁ~い。元気にしてた?」
「紫!久しぶり!」
見知った旧友の顔に、思わず抱きつく春花。
「うぷ、ちょ、ちょっと。いきなり抱きついてきたら苦しいじゃない」
紫の苦しそうな声を聞き、慌てて紫を離す春花。
「あ、ごめん!久し振りに会ったから、つい嬉しくて」
「そういうところ、貴女らしいわ」
そんな他愛も無い話をして笑いあう二人。
「えへへ。あ、ところで、紫は夢、どう?」
春花がそう紫に質問をすると、紫が真面目な顔をする。
「そうそう、それについて貴女に話があるの」
「話?」
春花が続きを促そうとすると、紫は笑みを浮かべて春花の手を取った。
「それよりも、まずは中に入らない?私の親友を紹介するわ」
そのまま春花は紫に手を引かれ、白玉楼の中へと足を踏み入れた。
「あ、その前に」
「どうしたの?」
春花は一度妖忌のところへ戻り、妖忌を担いだ。
「律儀なことね」
「いや、事故とはいえ、私にも責任はあるからね」
「貴女がそういうのなら良いけど。さあ、行きましょうか」
移動中~
「幽々子~」
紫が誰かの名前を呼ぶと、部屋から返事が帰ってくる。
「あら、紫。……貴女は?」
部屋から出てきたのは、水色の衣装を着ている、桜色の髪の少女だった。
その姿は美しく、咲き誇る桜のようだった。
しかし、それは例えるなら散る寸前の桜。
最期に死力を振り絞って必死に咲き誇っているかのような、儚さも持ち合わせた美しさ。
儚くも美しい、それが彼女を表すのにふさわしかった。
「彼女は、鈴風春花。前に話した、私の親友であり、狐の神様よ」
「鈴風春花だよ。神様とか何でも屋とかやってるよ。よろしくね」
春花が前に出て簡潔に自己紹介をする。
「そう。私は西行寺幽々子。あなたが春花ね。紫から話はいろいろ聞いてるわよ。いろいろと、ね」
幽々子の意味深な言い方に、紫が慌てる。
「ち、ちょっと!幽々子」
「…………紫?今からちょっと話があるから」
「……春花?これは違うのよ?ちゃんとした理由があるのよ?だからね、その刀を閉まってちょうだい?ね?お願いだから今度は弓とか取り出さないで」
紫の前に並べられていく凶器に、紫は顔を青ざめる。
「まあまあ、そこら辺で許して上げて」
「幽々子~。ありがとう。やっぱり持つべきものは親友ね」
二人の間に入った幽々子に半泣きで抱きつく紫。
その様子を見て、春花も武器をしまう。
「……とりあえず、まずは妖忌を寝かせましょうか?」
「…忘れてた」
幽々子が廊下に倒れている妖忌を指さしながらそういうと、春花が再び妖忌を抱える。
「そこの部屋にあるものを使ってちょうだい。生憎と、この体ではあまり動けないのよ」
「わかった」
そうして、妖忌を寝かせた後、三人は幽々子の部屋に行き、談笑をした。
この日だけで春花と幽々子はかなり仲が良くなったのであった。
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