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御札完成!



出来た!


「………できた!」


あれから早くも二週間。


その間、私は札の製造に専念していた。


さとりちゃん達にこの村で悲しい思いはさせたく一心で、ここまでがんばってきた。


「これを渡しに行かなくちゃ」


私が作ったのは、見た目はただの御札。


私の能力を少し宿すことで、能力を切り離すことができるようになり、その結果、能力が発動しなくなる、というものだ。


一応五つ作ったので、二人に二つずつ渡し、残りは私が保管するつもりだ。


「さとりちゃん!」


「春花さん?どうしたんですか?」


「これ……」


不思議そうな顔をするさとりちゃんに、札を渡す。


「これは……まさか、もうできたんですか?」


「あれから急いで作ったからね。あと、これはこいしちゃんの分」


私がこいしちゃんの分の札を渡すと、


「……ありがとうございます」


さとりちゃんが深く頭を下げる。


「別にいいんだって、頭を上げて」


「……わかりました」


「じゃあ、その札に触れながら、能力を切り離すイメージをして」


「こう……ですか?」


「で、そしたら私の心の中を読もうとしてみて」


「………っ!?」


しばらくこちらを見つめていたさとりちゃんが、突然驚いたような表情をとる。


「どう?」


「心が……心の中が読めません。こんなことは……初めてです」


「成功したみたいだね」


「本当に、ありがとうございます」


「いいんだって、困ったときはお互い助け合う、これがこの村の常識だから」


「早速こいしにも渡してきますね」


そう言ってさとりちゃんは走り去っていった。


「これで今日したいことも終わったし、少し村の外でも散歩しようかな?」


私達の名はここら一帯に広まっているので、ここや私達に手を出すようなバカな妖怪はいないから、最近は村人も普通に村の外を歩ける。


そんなわけで村を出ると、心地の良い風が私を迎えてくれる。


「いや~。今日は風が気持ちいいねぇ~」


しかも空は快晴、もうじき夜のため、綺麗な満月が空に映える。


「………か」


「ん?」


なんか下の方から声がするよ?


「誰……か……」


何かと思って下の方に行くと、妖怪が倒れてた。


「ちょっと!?大丈夫!?」


「……あ……痛っ……」


慌ててその妖怪に駆け寄ると、体中から血の匂いが漂っているのがわかった。


仰向けに寝かせると、一目で重傷だとわかる傷があった。


「とにかく、ひとまず家まで運ぶよ!」


私はその人と共に神社に転移した。


数時間後


慌てて神社に帰ってきた私に驚いた空達だったが、私の背中の上にいる怪我人を見てからの動きは早かった。


まずは布団の上に寝かせ、空が傷口の消毒と止血をした。


その間、私がしたことといえば、空に言われるままに道具を渡しただけだ。


正直私はなにもできなかった。


「で、空、具合はどんな感じ?」


「このまましばらく安静にしておけば、数日で目を覚ますでしょう」


「…良かったぁ」


私は安心してその場に座り込む。


「ともかく、目が覚めたら事情を聞かなくちゃね」




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