宵闇
リクエストがあったから書いてみた。
「う~。暇だ」
私と妹紅ちゃんが術を覚えたので、藍とは分かれちゃったし、これでまた二人か………。
最近は三人で旅してたから少し物足りないな。
本人はまだこの近くを旅するといってたから、いつかまた会えるといいな。
そんなことを考えながら焚き火用の薪を集める私。
「ねぇ」
「いっそのこと誰か一人旅に誘おうかなぁ」
「ねぇってば」
「いや、それよりもこの機会に妹紅ちゃんと親睦を深めようか?」
「ねぇってば!聞いてるの!?」
「もう、うるさいな。いったい何なのよ」
声がした方を見ると、そこには一人の女性が……。
「ようやく気がついたの。愚鈍なことね」
なんだこいつ。
喧嘩を売ってんの?
その女性をよく見ると、なかなかに整った容姿をしている。
身長は180cm近くあって、髪は金髪のストレート。
黒を基調とした服を着ていて、背中には人の背丈はありそうな大剣を背負っている。
…………ていうかこの人妖怪じゃん。
普通の人間はあんなでかい剣を持てないし、何より体中から妖力がだだ漏れだ。
「で、私に何の用?ていうかあなた誰?」
私が訪ねると彼女は少し怒ったような顔をし、
「普通人の名前を聞くときは自分から名乗るものでしょう。まあいいわ。私はルーミア。宵闇の妖怪、ルーミアよ」
とルーミアは自信満々に胸を張って名乗る。
……ちっ。
でかい胸持ちやがって。
「今すぐ無くなればいいのに」
「ちょっと、心の声漏れてるわよ」
「で、その宵闇の妖怪様が何の用ですか?」
「あっさりスルーしやがった。まあ、いいわ。そんなことより、あなた、私に食べられてくれない?」
「それは物理的にって意味?」
「他にどんな意味があるのよ」
「そりゃあ、せi「言わせないわよ?」冗談よ、冗談」
「で、私におとなしく食べられてくれるの?」
「もちろん断るよ。こっちはまだうら若き乙女なんだから」
そういい放つとルーミアは笑い、
「あなたみたいな若い娘だからいいのよ。あなたぐらいの年齢が一番美味しいのよ」
そこで彼女は、「もちろん、反抗はできるなら(・・・・・)してもいいのよ?」と言い放つ。
「なら、お言葉に甘えて、存分に反抗させてもらうよ」
そこで足に力を込めようとしたその時、
周囲が闇に包まれた。
「っ!これは!」
私の驚いた声を聞いたルーミアは満足そうな声で、
「これが私の能力、「闇を操る程度の能力」よ。さあ、存分に反抗してご覧なさい」
どうやらルーミアは私を人間だと思ってるようね。
まあ、最近は霊力をほんの少しだけしか外に出してないからね。
「(……どうする?普通に戦ってもいいけど、相手の実力は未知数)」
確かに妖力だけ見たら私とは比べものにならないくらい弱い。
……でも、勝敗を決するのはそれだけじゃない。
おそらく隠し玉の一つや二つは持っていることだろう。
「(………なら、やっぱりこれか)」
「どうしたの?あれだけ威勢のいいことを言って、いざとなったら何もできないの?」
「別に、お先にどうぞって言ってるだけよ」
そう言うと、闇の先から怒りの感情が伝わる。
「……いいわ。そこまで言うのなら、…………死になさい」
そして私の首を大剣が貫いた。
――――sideルーミア――――
「思った以上に呆気ないわね」
周りの闇を解除し、先ほどまで人間だったものから剣を抜き、私はそう呟く。
面白そうな人間を見つけたから、声をかけるまでは良かった。
そこでの会話もまあまあ楽しめた。
でも、何かが足りない。
「やっぱ戦うなら強い奴相手じゃないと退屈なのかしらね」
そう結論づけ、人間だったものに背を向け次の獲物を探そうとしたその時、
「だったらもう一度闘う?」
後ろから聞こえるはずがない声を聞いた。
慌てて後ろを振り向くと、そこには先ほど死んだはずの人間が無傷で立っていた。
その純白の着物には血など一滴もついていない。
「……なんで……生きてるの」
「そうは言っても実際に生きてるんだからねぇ」
「そんなバカな、さっき私は間違い無くあなたの首を貫いたわよ?それとも、まさかあなたは不老不死だとでも言うの?」
「まさか、私は妹紅ちゃんじゃないからね」
「その妹紅ちゃんというのが誰か知らないけど、なら、何故あなたは生きてるのよ」
私がそう言うと、目の前の人間は少し笑い、
「そもそもあなたは本当に私を殺したの?」
「何を…言ってるの?」
この女から発せられる謎のプレッシャーに背筋が寒くなる。
「もしかしたら、あなた、狐に化かされてたのかもね(・・・・・・・・・・・・)」
……そういうことか。
「あなた、人間じゃなかったのね」
「別に騙したつもりはないよ」
そっちが勝手に勘違いしただけだからね、と女は笑う。
「そういえば、あなた、名前は?」
「まだ言ってなかったっけ。私は鈴風春花、九尾だよ」
そう言って春花は尻尾と耳を出す。
「そう、春花ね。ねぇ、春花。少しおもしろいことを思いついたのだけれど」
「なぁに?」
「この闘い、勝った方が負けた方を式にするってのはどう?」
「………おもしろそうだね。いいよ、その話、乗った」
「せいぜい今の決定を後悔しないことね!」
その言葉と同時に切りかかる。
先ほどの反応から見て、恐らく闇はあまり意味がないだろう。
「(なら、小細工なしで叩き斬る!)」
しかし、
「遅いよ!」
渾身の力を込めて振り下ろした剣は、春花がだした刀で防がれる。
さらに、
「………痛っ!」
刀と剣が打ち合った瞬間、手に衝撃が走り思わず剣を落とす。
「…そこっ!」
さらに自分に襲いかかってくる刀を避けるため、一瞬だけ春花の目の前に闇の壁を張る。
その間に後ろへ回り込んだ………はずだった。
「これで私の勝ち」
私の後ろには刀があり、その切っ先は私の首に向けられていた。
「……なんで後ろにいるのよ」
私が悔しそうに聞くと、
「さっきのは幻術だよ。刀をぶつけた後に本当の私は後ろに下がってたの」
「………そういうことか。負けちゃった」
「じゃあ、私の式になってもらえる?」
「いいわよ。元はといえば自分から言い出したことだからね。それに、あなたといた方が楽しそうだしね」
「じゃあ、早速失礼して、」
私の頭に春花の手がのび、頭に何かを着ける。
「これは………リボン?」
「そう。最近作ったんだ」
「新種の札の制作までするなんて……とことん恐ろしいわね」
「じゃあ、札を起動するよ」
「えぇ。これからよろしくね。春花」
「こちらこそ、よろしく。ルーミア」
そして私は意識を手放した。
―――――side春花―――――
これであとはルーミアが目を覚ますのを待つだけ。
しかし、その瞬間ルーミアが光り出す。
「な、何が起きてるの!?」
その光が収まった後、そこにはルーミアを幼くしたような幼女がいた。
「………ハッ!」
「目が覚めた?」
「………」
「どうしたの?」
「ここはどこなのかー?」
「えっ?」
「そしておまえは誰なのかー?」
「……ちょっと待って。まず自分の名前は分かる?」
「私はルーミアなのだー」
そのあとも、いくつか質問をしてみた。
……やられた。
まだ試作段階の札だったから、どうやら記憶が飛んでいるみたいね。
とりあえず、事情を説明しよう。
「ええとね。まず、あなたは今日から私の式になったの。それで、これから私達は一緒に行動するんだよ」
「つまり、今の私は春花の式なのかー?」
「そういうこと。だから、これからよろしくね」
「よろしくなのだー」
そう言いながらルーミアが私の尻尾の一本に抱きつく。
「ひゃっ!?」
モフモフ
「柔らかいのだー。モフモフなのだー」
「あ、ちょっ、」
モフモフ
「気持ちがいいのだー」
「あぅ、ち、力が抜ける」
モフモフ
モフモフ
モフモフ
「あぅー。そ、それ以上はー」
モフモフ
「ひゃん!?」
モフモフ
モフモフ
モフモフ
「も、もう駄目。ち、力が入らない」
モフモフ
「はぅ!」
バタリ。
数時間後
「ふぅー。気持ちよかったのだー。あれ?春花?どうしたのだー?」
「うぅ。もうお嫁にいけない」
次回も、ゆっくりしていってね♪




