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逆襲



ギリギリセーフ!


………いや、内容の量はアウト?




みなさん、こんにちは。


鈴風春花です。


今私は、村へと向かう道を歩いています。


村の周りに強力な結界を張った結果、私自身も近くでは能力を使えなくなってしまったのです。


春花「みんな元気にしてるかな~」


だいたい一ヶ月くらいいなかったから、何か村にいい変化があるといいんだけどね。


そのとき、私の耳元で微かに鈴の音が聞こえた。


春花「っ!この音は!」


この音は私が澪達に渡した札からの緊急信号。


春花「場所は……村の中!?そんな…なんで?」


とりあえず全速力で村へと向かう。


――――side澪――――


澪「つ、強い」


?「なんだ?鬼の大将の力はこんなものか?」


既に村は半壊状態で、いくつかの建物が残っているだけ。


水花「澪!村人の避難終わったよ!空もじきにくるよ!」


澪「わかったよ!なら、ここでくい止めるよ!」


?「貴様に俺が止められるか?」


……正直言って、あたしではこの男にはかなわない。


あたしの体はいくつもの切り傷ができてボロボロだ。


対して相手は無傷。


神力と妖力の間の力らしきものもほとんど減っていない。


でも、既に札は使用してある。


春花なら、きっとこいつを倒してくれる。


そう信じて、今はただ時間を稼ぐ。


………それからどのくらい経っただろうか?


あたしは地に伏し、限界を迎えた体はもはや動かない。


?「やはり雑魚では歯応えがないな」


澪「くそ!」


このままじゃ、村人が危ない。


なのに指一本動かないような状態では、助けることはできない。


もはやこれまでと、あきらめかけたそのとき、


春花「治癒符「パーフェクトヒール」!」


春花の声が聞こえ、あたしの体中にあった傷が跡形もなく消え去った。


―――side春花――――


私が村に着くと、すでに人気は無く、建物も殆どが壊れていた。


澪から送られてきた信号を元に探していると、見覚えのある男と澪がいた。


春花「(澪がひどいけがを負っている)」


そう思った瞬間、体が勝手に動いていた。


春花「治癒符「パーフェクトヒール」!」


春花「澪!大丈夫!?」


澪「春花………。すまない。村を、守れなかった」


春花「そんなことはいい。みんなは無事?」


澪「全員山の方に避難させたよ」


春花「分かった。こいつは任せて」


澪「すまない」


そう言うと、澪は空達を探しに走り去った。


春花「……さて、久しぶりだね。素戔嗚」


素戔嗚「ようやくきたか。待ちくたびれたぞ。そこらの妖怪では弱すぎて暇つぶしにもならんな」


春花「悪いけど、ここまでされたら、さすがに許せない。ここであなたとの縁を切らせてもらうよ」


素戔嗚「ふん、返り討ちにしてくれる」


そう言うと、素戔嗚から異質な神力が解放される。


春花「その力は………、まさか!?」


素戔嗚「そのまさかだよ」


春花「仲間を喰ったの!?」


素戔嗚からは、複数の神の力が感じられる。


そのどれもが素戔嗚の取り巻きとしていた神達の力だ。


素戔嗚「力が欲しかったんだよ。幸い、そこら辺の神やら妖怪やらを喰っていたら、今までとは比べものにならないほどの力が手に入ったぞ」


春花「……この外道が」


私がそう吐き捨てると、


素戔嗚「全ては貴様に復讐するためだ。あのとき、貴様がいたせいで俺は月にも行けず、山との神々の元にも居れなくなった。貴様がいなければこうはなら無かった」


春花「そんなの自業自得じゃない。なんのために村を傷つけたの」


素戔嗚「貴様の絶望する顔が見たくてな。ここにいる奴らをいたぶるのは愉しかったぞ」


その言葉を聞いた瞬間、私の中の何かが外れた。


春花「………もういい。…………ここで完膚なきまでに叩きのめす」


私は白刀を持って切りかかった。


それを素戔嗚は新たな刀で迎え撃つ。


春花「その刀は!」


素戔嗚「こいつは草薙の剣、俺が作った邪刀だ」


春花「なら、それごと切る!」


白刀を持つ手に力を込め、そのまま押し切る。


素戔嗚「なに!?」


まさか自分の自慢の刀が切られるとは思ってなかったのか、硬直した素戔嗚の体に白刀が突き刺さる。


素戔嗚「ぐはっ!」

春花「ここまでだね。もう容赦はしないよ」


素戔嗚は胸の傷を押さえながらうずくまる。


とどめを刺そうとしたその時、素戔嗚を中心に神力が渦を巻く。


素戔嗚「………まだだ、まだ、俺の復讐は終わらない!」


素戔嗚がそう叫んだ途端、周りにあった神力が明確な形をとる。


素戔嗚から八本に分かれた神力はそれぞれ頭と首を形作る。


その姿は、まさしく、


春花「………八又の大蛇」


八つの首を持ち、暴虐の限りを尽くしたとされる邪蛇。


素戔嗚「コノ状況デモオレヲ止メラレルカ?」


春花「止める……止めてみせる!」


澪「春花!」


空「遅れてすいません!」


水花「な、なんかすごいのいるし」


素戔嗚「雑魚ガ何人集マッタトコロデ無駄ダ」


春花「………三人で首四本抑えられる?」


澪「そんなケチくさいこと言わないで六本任せな」


春花「………ありがとう」


澪「それじゃあ、行くよ!」


空・水花「了解!」


そう言うと三人は素戔嗚の元へ向かう。


素戔嗚「雑魚共ガ!」


素戔嗚が六本の首で向かった瞬間に残りの二本に飛びかかる。


春花「私を忘れているよ!」


素戔嗚「ッ!」


素戔嗚は首の一本を私にぶつける。


まるで鉄のような固さを持った首はそれだけで鈍器となって襲いかかる。


春花「神槌「ハンマー・ザ・ミョルニル」!」


すかさずミョルニルを出して雷を纏わせた後、首を殴り、ひしゃげさせる。


しかし、その瞬間、残った首が私に襲いかかる。


春花「やばっ!避けれない!」


その時、


?「春花!」


誰かが私を突き飛ばした。


その人は、私の代わりに蛇に喰われる。


春花「村長!」


村長「ゴボッ!」


村長は口から大量の血を吐きながら倒れ込む。


すでに左の腕と脚は無く、右腕もあらぬ方向に曲がっている。


さらに、蛇に含まれた毒が体を蝕む。


春花「村長!?どうして!?」


村長「…みんなを…守りたかった…から」


春花「くっ!治癒符「パーフェクトヒール」!」


私は治癒系のスペルカードを使用するが、村長の傷は治らない。


春花「なんで!?何で治らないの!?」


村長「多分…生命力の…強靱な…妖怪だったから…瀕死の…状態でも…回復…できたんだね…」


そこまで言うと、村長はまた血を吐き出し、


村長「だから…僕は…もう…死ぬと思う…」


そう言うと、村長は私に手を伸ばして、


村長「…春花…村を…よろしく頼む」


それだけを言い残すと、村長は力尽きた。


春花「村長!!」


初めて仲間を目の前で失った衝撃で、視界が真っ赤に染まる。


春花「素戔嗚……絶対に許さない」



私は、白刀を手に持って戦闘へと戻った。


――――side澪――――


澪「悪いけど、さっさと終わらせてもらうよ!」


あたしはそういい放つと、両手の温度を変える。


右手はマグマのごとき高温。


左手は永久凍土のごとき低温。


空は周りに酸素を集め、妖力を放ちながら爆発を起こす。


水花も後ろから妖力弾の弾幕を放つ。


あたしはその中に飛び込み、手前にあった首二つに両手を振り下ろす。


右手に触れた首は根元まで溶け落ち、


左手に触れた首は根元まで凍った後砕け散る。


同じ様にもう二つの首を落としたあたしは、残りの二つの内一つを空達が吹き飛ばすのを確認し、残りの一つに両手を叩きつける。

急速に熱せられ、また、急速に冷やされた空気が爆発を起こし、残りの一本の首を根元から吹き飛ばす。


その後春花に加勢しようとしたあたし達が見たのは、春花をかばって蛇に喰われた村長の姿だった。


空「…村長が…死んだ」


水花「…こんな事って…」


二人とも村長の突然の死に涙を流している。


その瞬間、今まで周りを包んでいた殺気がごっこ遊びに見えるほどの濃密な殺気と死の気配が満ちる。


そんな中、


春花「素戔嗚……絶対に許さない」


春花がそうつぶやいたのを微かに耳にした。





村長ーーーーー!!




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