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第四話:早朝

 明日、食事に誘ってやんぜエーコ! 首を洗って待ってな!

 的なことを考えて昨晩布団に入ったわけだが、まあ、もちろん当然の如く眠れない。

 その間に、明日の会話の流れと行動をシミュレートしていた。

 問題はデートに誘うのタイミング。退社時間を狙って、帰り際に誘うべきか、行きしなに誘うべきか。実を言うと、俺とエーコは一緒に自転車で会社に通っている。

 アパートが傍なので、毎朝待ち合わせているのだ。

 初日からずっと一緒に行っているので、それが決まりになっている。

 つまり、朝の挨拶の瞬間であれば、少しだけエーコと話すことが出来る。

 でだ。

 ここ最近、朝のエーコのテンションは無茶苦茶低い。

 話しかけるのが怖くなるくらい渋い表情をしている。

 ものすごく疲れているみたいに見えるのだが、夕方には回復している。

 なぜだろう。新型鬱だろうか。心の支えになってあげたい。

 脱線してしまったが、ここはこのまま道を外れ続けて見よう。

 このまま朝のエーコの考察へ映る。

「どうしたの? なんか辛そうだけど大丈夫?」

 実は昨日こんな風に話しかけたのである。帰ってきた答えはこうだ。

「……朝日が眩しいから。靴ずれしてるからかも」

 つまるところ、本人にも原因が分かっていないと考えるのが妥当だろうか。

 靴ずれが出てくるとは思っていなかった。テンパりながらも、

「あー。靴ずれは痛いもんな。踵に貼るやつ買わないといけないな」

 みたいなことを言った。会話はすぐに終了した。

 思い返してみるなら俺の会話スキルが絶望的に低いのも問題だ。

 想定外のことに話が飛んだ時には対処できない。

 疲れているエーコ可愛い。常に思考の五割をエーコ可愛いが占めているのだから、まともな思考なんて出来るわけない。

 ああ、エーコ可愛い。

 恋は盲目というが、目を瞑って歩く地平も、それはそれで素晴らしいのではないだろうか。手をとって歩みを支えてくれる人がいれば尚いいのだが。

 また胃が痛くなってきた。本格的に病気なのかもしれない。

 毎日薬は飲んでいるのに、症状は悪化を辿る一方だ。

 あと、文章を打つのがかなり遅くなっているのも問題。

 朝の三時から書き始めているのに、未だにようやく一ページ。

 執筆を始めた頃の没頭がない。

 食事のことで頭がいっぱいすぎてもうどうしようもない。

 寂しい。エーコ可愛い。ハグしたい。

 落ち着け俺。寂しいからと言って恋人を作ろうだなんて愚の骨頂。

 そんなことなんて思っても口に出しちゃいけない。

 俺は今、とても寂しい。寂しさを紛らわせるためにこの文章を書いている。

 故にエーコへの恋愛感情は自分でもよく分かっていない。

 寂しさが払拭されたなら、エーコのことを好きではなくなってしまうのだろうか。

 それはそれでとてもさみしい。

 そもそも俺は、恋愛とは共依存だと思っている。

 病的なまでの共依存は問題だが、お互いがお互いを意識して心の支えにしあうような関係は素晴らしい。辛いことがあったとき、悲しいことがあったとき、そんなときにそばに居てくれる存在が恋人なのだろう。

 まあ、言ってしまえば元も子もないが俺はエーコに依存したいのだ。

 多分そういうことなのだろう。

 反吐が出る。

 そう。俺は自分が他人に依存すると思うと、吐き気がしてしまうのだ。

 これが恋愛拒食症たる所以。

 なぜかはわからない。

 今までの人生で、女子とはろくなことがなかったからかも知れない。

 高校の頃は毎日バカにされていた気がする。昔を思い出して死にたくなってきた。

 エーコとの明るい未来を想像し、辛さを中和。

 ふと現実を意識する。虚無感がバックドラフト。

 いい。大丈夫。落ち着け。何ふり構わなければ飯には誘える。

 大丈夫大丈夫大丈夫。

 問題はその後。

 どんなことを話せばいいのかわからない。

 ネットでいろいろ調べてみるも時間だけが過ぎていく。恋指南の文章を読んでもほとんどが、有料の恋アドバイス冊子販売サイトに飛んでしまう。

 そろそろ会社に行く準備をしなければ。

 よし。誘う。誘う。とりあえず誘ってみよう。断られても失うものは何もない。

 では報告を楽しみにしていてほしい。応援して!


 現在、一日一話アップ予定、文章量は慣れるまで未定。ついつい書いたら書いただけアップしてしまうので不定期更新。

描写不十分なところなどは、連絡なく加筆修正する場合があります。

ご容赦下さい。

また、何かしらのコメントをいただけると泣いて喜びます。

 誰かエーコを口説くアドバイスを下さい。切実。

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