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第三話

 昨日の投稿を読みなおして、我ながらあまりにも支離滅裂な文章であると頭を抱える。

 しかし、あれこそが、新の夜明けテンションである。

 故に修正はしないことにする。実のところ面倒くさい

 さてと。タイトルに『新入社員』とついているのに新入社員チックな描写が皆無であったことに気づき、少し会社の説明もしてみることにする。

 俺の会社は中規模の機械部品メーカーである。金属を打ち抜く機械を使って小さな金属部品を作っている。

 ちなみに今現在も研修期間。毎日ハンコを押す仕事をしている。ようやく左手の指に紙をめくる動作を覚えこませることに成功した。エーコは隣の部署で研修である。男性の先輩社員と楽しそうに談話している光景を、よく見る。俺は判子を押している。

 心の中で血の涙を流す。世界は理不尽だ。

 会社では確認のための判子押しが、判子押しのための判子押しに成り下がっているような気がしてならない。事務の人が部長の判子を持っていて、勝手に判子を押している。

 あまりにも無駄に思える。

 会社の製造管理システムも無駄だらけだ。

 管理システムから、エクセルで書類を作って、そのエクセルを印刷した紙を見ながら管理システムに入力しなおしている、なんてことがザラにあるのだ。

 日本とは本当に無駄の多い国だと心の底から思う。

 しかし俺は、それが悪いことだとは思っていない。

 俺は無駄こそが世界の本質であると考えている。

 人生とは死ぬまでの暇つぶし。究極的に考えるなら、どんな物事も全ては無駄だとすら考えられる。つまり、無駄なのだ。何もかも。

 こんなに不細工な俺が、何をしたところで全ては無駄。惨めに終わるに決まっている。

 無駄をそぎ落とすことが出来たなら、どんなに素晴らしいだろう。

 手始めにエラを削って鼻を高くするところから始めたい。

 想像してみる。カジキマグロになってしまった。美味しそうだ。


 つまるところ最近の仕事のほとんどは、判子押しや書類整理などのルーチンワーク。故に、思考の大部分を今後の展開の想像に充てられる。これは素晴らしきことだ。

 仮に今日。エーコの退社を待って話をする機会を得たとする。

 どんなことを話すのがいいだろうか。ぜひ、食事に誘いたい。

 ちなみにこの近場にはお洒落なレストランなど皆無。エーコはセンスに拘るタイプなのでほぼ確実に断られる。つか、うちで飯を食おうと誘った辺りから、かなり警戒されている。避けられている感すらある。顔を眺めていると怪訝な顔で視線を逸らされる。

 あの冷たい顔は最高だ。

 いつの間にか俺は特殊な性癖に目覚めてしまったのだろうか。

 少し話を戻そう。

 エーコを食事に誘う方法。その中で一番成功率が高い方法はなんだろうか。

 一。ストレートに想いを伝えて奇跡的に付き合うことになり、そのまま食事へ向かう。

俺:「愛してる。付き合ってくれとは言わない。そう言うの面倒くさいから結婚してくれ。子どもは二人がいい。新婚旅行はヨーロッパがいいな」

エーコ:「嬉しい。抱いて!」

 胃液がのた打ち回る。あまりにも非現実的すぎる。現実的な方向へ修正する。

俺:「愛してる。付き合ってくれ。結婚してくれ。お前が欲しい」

エーコ:「えっ。なにそれムリムリムリ」

 胃液が暴れ狂う。計り知れない悲しみが胸を包み、空っぽになった胸に得も言えぬ充足感がしっとりと拡がる。非常に現実的な結末だ。

 だが、この選択はない。その時のテンションによってはやりかねないのが怖いが、今は冷静なのでやめておくのが吉だと分かる。

 エーコは俺と付き合う気はない。だからこそ、どう誘っても相手にしてくれないのだろう。そういう仮定をすれば、どうやって誘うのが一番か、答えは見える。

「今晩、晩飯食いにいかないか? 俺、一人じゃ外食できない質だからさ。人助けだと思って一緒に来てよ」

「えっ……でも……ごめんね」

「なんでだよ。いいだろ。俺、色恋拒食症だから! エーコが気にするようなことには絶対にならないからさ。せめて普通の友だちとして接してよ」

 このプランはどうだろう。自らに牙はないと腹を上に向けて両手を上げる作戦だ。

 もちろん、本当に牙はない。恋愛拒食症だというのも本当だ。食べたくても吐いてしまうのはわかりきっている。絶食系男子の多くはこの病気を発症しているものと思う。

 しかも、エーコは例えるなら最高級ステーキニキロ、野菜ソテー付きだ。

 非常に重い。多くの男子が大好物であろうことはわかる。俺も一口は食べてみたいと思う。だけど、食べきれる自信はない。というか絶対に食えない。

 食えば途中で戻すと分かっているから口に含むことすら出来ない。エーコを食べる男子は、途中で捨ててもいいやと思っている奴か、本当に食いきれる奴か、見る目がない奴だろう。ちなみに、あの好青年ならば、食いきれる可能性がある。

 調理を繰り返すことで、エーコをさっぱり系スープにすることが出来れば、食べられるかもしれないが、そうなることはないだろう。きっとその前に誰かが食べる。


 結局、今日もエーコとの会話はないままに、アパートへと戻ってきてしまった。

 はぁ。

 俺に害意はありませんよアピールをして食事に誘うのが最善か。

 もう、それでもいいかなぁと思い始める。何でもいいからエーコと話したい。一緒にいたい。頼りにしていた読者オーディエンスも結局、何の反応も返してくれないし。

 アクセス解析で見てみたところ、今日の読者は二人。未だにコメントをくれた人はいない。いっそタイトルのフィクションを消してしまおうか、とすら思う。

 その名もズバリ『新入社員。』もはや何がなんだか。

 もうちょっとマシなタイトルを考えたほうが良かっただろうか。

 いや。それは重要な問題ではない。物語を進めるためにも、ほんと誰か助けて。

 ちなみに今日は先輩社員に飲みに誘われている。

 あと、三十分ほどで出発なのだが、ここもどうしようか考えている。

 いっそのこと相談に乗って貰ってしまうのも手じゃないか?

 痛い痛い痛い。胃が急激に痛み始めた。胃薬を飲む。

 実を言うと、先週のあの出来事から、社食以外の食事食べていない。胃が受け付けていない。

 社食も、先輩社員に心配されることを恐れて、胃薬を飲んでから、気合で申し訳程度に食べている。

 食材はそろそろ全滅してしまったころだろう。はぁ。

 そろそろ準備しないといけないので、一旦筆を置くことにする。七時九分。

 エーコかわいいかわいい。はぁ。虚しい。

 追記編集していると、七時十九分。事前に胃薬を呑むことにする。

現在、一日一話アップ予定、文章量は慣れるまで未定。

描写不十分なところなどは、連絡なく加筆修正する場合があります。

ご容赦下さい。

また、何かしらのコメントをいただけると泣いて喜びます。

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