〜崩壊する世界の真ん中〜
「どうしてこうなったのだろう…」
僕はただその疑問だけが頭を支配していた。
目の前はビルを含め全てが崩壊し
あちらこちらで火が立ち込む。
警察も消防も今となっては機能をしていない。
傾いたビルの周りには更地と化した荒野が広がり、森も山も焼け落ち今となっては砂山と化している。
「一体なにがどうなってるんだ」
そう叫んでも目の前に広がるのは
ただただ崩れゆく世界の姿
周りに人はもうほとんどいない。
全員死んだ。
焼けて溶けた人
押しつぶされた人
殺された人
自殺した人
…
今のこの世は地獄よりも地獄だ。
周りにあるのは死体の山と見る形もなくなった荒れ果てた場所。
〝一体なぜこんなことになったんだろう。
なにがいけなかったのか…〟
地球はその青さも緑の輝きも、光の色さえなくなって崩壊を始める。
地中からは怒りの声が鳴り響き、あたり一面を焼き払う。
海の水は干上がり虫も動物も死に絶える。
雨は二度と降ることはなく
日に日に上がる気温の中で、地面は熱を帯び始めていた。
世界のどこにも逃げ場はなく、ただ全ての命に終わりがある事を告げる。
「なぜこうなったのか
なぜこうならなくてはならなかったのか
…そう“あれ”だ
“あれ”さえ世に出さなければ
こうはならなかったはずだ
“あれ”さえなければ・・・」