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捨てられ王女と拾った魔王【web連載版】  作者: 桜 みゆき


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 ミリーナが立ち去るのを見送ったアルフェンは、ほどなくして自身の執務室に戻った。

 部屋にいた副官ロイズが、こちらの顔を見て目を瞬かせた。

「何かありました?」

「……何がだ?」

「浮かない顔をされているので」

 アルフェンは、自分の顔をぺたりと押さえて眉根を寄せる。

「ミリーナが国に戻る……かもしれない」

「お引き留めなさったんですか?」

「……何故」

 仏頂面で問うと、ロイズはやれやれという顔で肩を竦めた。

「申し訳ありません、そんなことを言えてたら、そんな顔なさってませんよね」

 そんな顔とはどんな顔だと思いながら、ロイズを睨むが彼はどこ吹く風だ。幼少期からの付き合いのため、たまにこうして、良く言えば気安いというか、無礼というかな言動をこの男はする。

 それを本気で咎めようと思ったことはないが、今日は胸に渦巻くもやもやと相まっていつもより癇に障った。

「何が言いたい? 彼女はもうかなり魔力も安定しはじめているし、帰るというのを止めることはできないだろう。それに、彼女が帰国するのは、こちらにとっても悪い話ではないはずだ」

「……まあ、たしかにそうなんですがね」

 ロイズがまだ何か言いたげなのを察し、アルフェンはそれを促す。

「言いたいことは、はっきり言ってくれ」

「貴方ご自身はそれで良いのですか?」

 アルフェンは口を噤んだ。

「ミリーナ様と過ごす貴方は、これまで見たことがないほど楽しそうです」

 アルフェンは、ロイズの言葉に何も言葉が浮かばなくなる。

 ミリーナと過ごす日々は楽しかった。いつしか、この日々がずっと続くのだと錯覚するほどに。だが――

「……国に戻れば殺されると嘆いていた彼女に、帰国の目処がたった。それは、喜ぶべき……だろう?」

「…………貴方がそう仰るなら」

 そう言いながらも、ミリーナがここに留まることを願わずにはいられなかった。

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