表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
女子高生Y  作者: 山谷麻也


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

5/6

第5話 ピエロ


 §1 変調

 もともと生理不順だった。

 少しくらい遅れても気にかけていなかったが、今回だけは別だった。おりものが増えた。下腹部や乳房が張った。体がだるく、授業中に眠くなることも多くなった。


 Xと会うことにした。Xはなぜか「外で会おう」と言い張ったが、YはXの家に出かけた。

 部屋に入ると、Xはいきなり抱きついてきた。

「だめだ。会うとYちゃんが欲しくなる。こんなことは、これっきりにしよう。最近、ボクは罪の意識にさいなまれてしかたなかったんだ」

「今日は、私も大事な話があるの」

 それでも、Xは力を緩めようとしなかった。

 なんとかXの腕をほどき、目を見つめた。


「そんなことって…。やっぱり、ボクたちはいけないことをしたんだ」

 Xはベッドに腰かけ、放心状態だった。

「もう二か月が過ぎたわ」

 XはYのお腹に耳を当て、時々、鼻をすすっていた。


「今日、私、バイトあるから」

 ベッドから立ち上がろうとするYに、Xが、がむしゃらに挑んできた。Xはこれまでのようには達しなかった。


 §2 痕跡

「私、叔父さんの子を妊娠してしまったのです」

 女性の相談員は絶句したようだった。ややあって

「どういうことですか。詳しく話を聴かせてください」


 Yは叔父さんのモデルのアルバイトをしていること、同じ高校の男子生徒と付き合っていることなどを詳しく話した。


 いつものように叔父さんのアトリエに行き、全裸になって椅子に腰かけた。叔父さんはしばらく筆を動かしていたが、怪訝(けげん)そうな顔で近づいてきた。

「これ、どうしたの?」

 Yの肩を指さした。

 先週、Xと交わった際、Xが激しくキスした跡だった。Yとしては、うかつだった。


 §3 お清め

 叔父さんはYの手首を持ち、首の後ろをつかんでバスルームへ連れて行った。鏡の前に座らせるなり

「これは、誰が付けたの?」

 激しくYを揺さぶった。叔父さんはますます激高したが、Yは沈黙を通すしかなかった。


「言いたくないんだったら、言わなくていいよ。お前を天使のように想ってきた。オレはとんだピエロだったんだ」

 Yを押し倒し、叔父さんは自らの着ているものを脱ぎ捨てた。

 叔父さんはスポンジに液体せっけんを()み込ませ、Yの体を洗い始めた。

「こんなに(けが)れて…」

 一時間近く、何かに取り()かれたように、Yを洗った。

「よし。これできれいになった」

 叔父さんはYをバスタオルで包み、ベッドに抱いて行った。


 §4 決断

「あなた、男子生徒とも付き合っていたんでしょ。なんで、叔父さんの子だって言えるの?」

 女性相談員は詰問調になった。最後の生理日から計算して、男子生徒の子ではあり得なかった。


「どうするつもりなの。叔母さんやお母さんに本当のことは言えないでしょ。あなたは、大変なこと、してしまったのよ。()ろしなさい。悪いことは言わないから」

 もっと非難されても覚悟はしていた。

「考えてみます。長い間、話を聴いてくださって、ありがとうございました」

 相談員はまだ何かヒステリックに言っていたが、Yは電話を切った。


(誰だって、そう思うよね)

 Yは、鏡の向こうで歯磨きする自分に、話しかけた。

 アパートの駐車場に、クルマの停まる音がした。ママが帰った。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ