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約束だよ?  作者: とあるシカ
第1章 出会い
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第2話

はたして彼らはラブコメでも始めるのか、それともーー?


 俺たちの一日は、朝の稽古から始まる。

 ん?稽古?そう稽古。

 俺は小さい頃柔道とか剣道とかいろいろ習っていたためどれもそこそこできるのだ。まあどれも長続きしなかったせいでそこそこだけど。

 それを知った彼女が教えて欲しいと言ってくるので渋々教えてる。


 剣道がお気に入りらしく、よく稽古をしているのだがなんかこの子うま過ぎて俺が教えることなんてなにもない気がしてる。

 だって竹刀でゾンビを一撃だったじゃん。


 彼女が竹刀振ると速すぎて見えないというのはあれだよね?俺の目が悪いだけだよね?

 俺、視力検査で視力二・〇なことが取り柄だったはずなんだけど。うーん、引きこもってたら目が悪くなったのかなぁ。


 そんな俺の心配など梅雨知らず稽古に励んでいた彼女が「あっ、」なんて声を漏らした直後、べきいなんて音を立ててマンションの庭の植木が倒された時はちょっと引いた。いや大分引いた。

 なんなのあの馬鹿力。見てくれは如何にも女子高生ですと言わんばかりの華奢な身体してるのに、どこにそんなゴリラみたいな力が秘められているのだろうか。

 飯もよく食うし、本当に体の中にゴリラでも飼ってるのではなかろうか。


 まあでも健康にも良いし、なにより気分がリフレッシュされるからそんなことはそこまで気にならない。

 こんな世界に居ると気持ちも鬱々としてくるし。

 やっぱり運動は良いね!


 次に朝食だが、これは基本的に彼女が作ってくれている。といっても世界がこんな状況じゃ、精々缶パンにハムかなんかをのっけて食べるだけだが。

 食料不足だもん。節約しなきゃね。

 最近の缶パンはいわゆる乾パンじゃなくて、缶入りのふわふわパンも多いのだ。最初食べた時はその美味しさに目を丸くしたものだが、さすがに最近は飽きてきた。

 正直、食事はただの作業と化していた。しかし、彼女がきてからはそんな食事も少し楽しみな時間となっている。

 改めて人は一人で生きていけないことを実感した。


 そうそう、今更だが彼女の名前は築島梓。

 あと四ヶ月ーー八月で十八歳になるという。そこは素直に十七歳だと言えよとも思うが彼女だってそういう年頃なのだろう。まあそれを指摘するほど俺は野暮じゃない。

 ……いや四ヶ月って。


 さらに彼女、いや梓はどうやら料理が得意らしく、こうやって毎日俺より早く起きて朝食を振舞ってくれる。

 俺は料理は当番制で良いと言ったのだが私が作る、せめてもの恩返しがしたい、と言って聞かなかったのだ。ああ見えて、意外と頑固な一面があるもんだ。

 いや、飛び降りようとしていた時点で割と意思は強い方なのかもしれない。


 思えば俺もあいつの後を追おうを考えた時があった。()()()だ。

 だが意気地なしの俺はあの手紙のこともあって結局実行に移せず、あいつへの償いなどとかこつけて結局だらだらと日々が過ぎていってしまった。それほどまでに、あの時あいつが……いや、辞めよう。

 せっかくあいつへの執着から脱したのだ。そう思い直し、飯を食う。

 うん、美味い。


 それから午前中はそれぞれ本読んだり二人でゲームしたり。

 テレビもラジオもほとんどがやってない。もちろん電波塔もだいたいが壊されたらしくスマホも圏外になっていてほとんど使えない。

 だからせっかく二人でいるんだしゲームでもしよう、そう言ったのは彼女だ。ところがそんな彼女はゲームがとてつもなく弱い。人生ゲームをすれば借金返済のために開拓地送りになるし、ババ抜きをやればポーカーフェイスをやる気がまったく無いようだし、マリ○カートをやればジュゲムさんに世話をかけまくってるし…。

 ここまで弱いと俺が虐めてるみたいになってきてあまり面白く無いのだが、彼女がわがまま言って何回もやり直すのだ。子どもかよ。

 ……ああ子どもか。


 昼食はだいたい俺が振る舞う。といっても昔からの常連で今も裏でひっそりと営業している食堂に連れてくくらいだが。

 それでもここ最近は梓も営業している飲食店など見なかったのかとても驚いていた。


 飯を食ったら買い物に行く。日差しの照りつける昼間は、ゾンビの動きが鈍くなるからだ。


 帰ってもやることがない俺たちは、俺の運転するバイクで観光に行ったりもする。

 グッシャッ!そう、ゾンビの血を飛び散らせながらーー。


 そして夕方。早めに帰路に着いて、家で毎日パーティーをする。

 昨日は干し肉パーティー。今日は漬物パーティー♪(?)。

 毎日がパーティーなんて俺たちは幸せ者だ。


「漬物ってこんなに種類あったんですね」


「ああ、普段そんなに食べないか?」


「ええ、てか最近のJKで漬物好きな渋い人なかなかいないと思いますけどねぇ」


「……なん、だと」


 今俺の後ろにはピシャーン!と雷が落ちたことだろう。


「美味しくて手軽、そして栄養もある漬物が……もう古いの?」


「うーん、だってなんか食感嫌だし臭いも独特で変に酸っぱいし……しかもなんかまあ、素朴って感じ?」


「……なん、だと!」


 今俺の頭の中では、出川○郎と明石家さ○まあたりの芸能人みんなでひっくり返ってることだろう。


「それが良いのにぃ。てか最後のひどくない?日本の伝統的な食文化をなめるんじゃないッ!」


「そんな頭の固いパパみたいなこと言わないでくださいよー」


「……パパ。パパか……はは」


「まあ今日は食べましょう。私は嫌いじゃないです。こーゆーの」


「パパ…」


 これがジェネレーションギャップかぁ。

 ……まだ二十代なんだけどなあ。いや俺が古いのかなあ。


 それきり、俺たちは黙々と飯を食う。まあ確かにもうちょっとまともなご飯も食べたいよなぁ。


 と、まあそんな感じで日々は過ぎてゆく。


 てかサバイバルかよと思った諸君!ゾンビがいるんだからそりゃあサバイバルみたくなるわな。


 それから夜は早く寝て次の日に備えるのが俺たちの鉄則だ。

 それからしっかり鍵を閉めるのを忘れないこと。じゃないとこわ〜いゾンビさんたちがでてきちゃうぞ☆。


 ……俺のキャラが崩れてきているのなんて気にしていられない。それがこの世界だ。


 そう、締めておく…。


僕のイチオシはしば漬けです。


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