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復讐者
躰が重い。脳からの信号伝達が機能していないのか…。動きはしない。ピクリとは動いているのだろうが、ソレは意識とは関係が無い。痙攣しているだけなのだろう…。躰が冷えている。そんな感覚がある。意識が朦朧としているからか、確認する事は出来ない。此処が何処であるのかさえ解らない。浮遊している気もする…。平伏している気もする…。
きっと私は…。
生死の境にいるのだろう。この躰に巣食うのは記憶だ。記憶だけが残っている。惨劇の記憶だ。私は総てを失った。愛する家族も恋人も…。何もかもを…。
【恋人には悪魔が憑いている。】
そう云われた。
【悪魔祓いの儀式が必要だ。】
そうも告げられた。
そして…。
私の眼前で儀式が行われたのだ。視軸の先に拷問された恋人がいた。数々の拷問を受けた恋人は…。
死よりも先に気が触れた。