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帰り道  作者: 倉木英知
6/8

求道(ぐどう)


どれだけ殴り続けたのだろう?

幽霊の顔は原型を留めない程に潰れていた。

幽霊はピクリともせずに地面に倒れている。


何だ…。殺せるじゃないか………。

心に満ちていく安らぎ。

心地良かった。気分が良かった。気持ち良かった。



「もう幽霊を見なくて良いんだ…。」


そう呟いて、僕は夜空を見上げた。


夜空に広がる景色は…。



死んだ女の顔。

蘭鋳らんちゅうの様な肉瘤にくこぶまみれの顔。



顔。

顔。

顔。


其れは幾重にも重なり此方を視ている。

紛れもなく自殺した女。紛れもなく僕が殺した女。



涎と血液を撒き散らしパクパクと唇が流動する。

何かを訴える様な動き。体温が数度下がった感覚に陥る。


厭だ。

何で?

何でだよ?


見たくない。

視たくないんだよ。


殺したはずだろ?

何で見えるんだよ…。

見たくない。

視たくない。

観たくない。



そうか…。眼があるから…。見えてしまうのか…。



ボクは、眼鏡を乱雑に地面に叩きつけー

左右の指を自らの眼球へ誘う。


【グチャ】


薄れゆく意識の中…。

自ら潰した眼ではなく…。

脳が記憶している【あの女】の映像が浮かび上がる。


魚の様な虚ろな眼。

金魚の様にパクパクと動く唇。

肉瘤にくこぶ塗れの顔。


僕を見てヘラヘラと嘲笑う。

あの女の【幽霊】を…。



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