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願うだけです。叶わないと知っています。  作者: 奈良づくし
7歳
1/7

名前を知らない

【願い叶う騎士の心】


「ご覧あれ。これこそが王女を陥れる悪女の、王女の婚約者たる公子の愚考の数々を記したる書面である。陛下の威厳を示したる催しを稚拙な言い掛かりで汚し、王女を乏しめ、更には王命である婚約の破棄を画策するなど言語道断である。」


(悪い事?()()()をするのに、証拠を残すのはいただけないわね。)


「う、嘘だ。出鱈目だ。」


「そ、そうよ。そんな事、そんな指示をしていないわ。」


「ここに記された書面。その中には王女の暗殺を示唆する事も記載されている。指示とはその事か!?」


(この悪女?の動揺はいけないわね。言葉を選ぶことさえも間違えてしまうのだから。)


「騎士よ、それは真であるか?」


「は。陛下の護衛騎士にお渡しいたします。どうか、ご確認ください。公子の貴族印並びに悪女の貴族印もあります故。紋章官にもご確認して頂きたく思います。」


(酷い証拠ね。もう少し細工できないのかしら?貴族印なんて物的証拠、使用しちゃ駄目でしょうに。)


「ふむ、これは紛れも無く公子の印である。その者らを捕え、牢に移せ。」


「騎士マグダネルよ。感謝いたします。私は、何も出来ませんでした。」


(この物語で初めてが出たわね。名前……)


「いいえ、いいえ。私は王女を守らねばと、一人で急いてしまったのです。むしろ、陛下の生誕祭にまで引き延ばしてしまった事を、この身で王女の御心をお守り出来なかった事を、お詫びせねばなりません。処分は如何様にでも。」


「処分など出来ませぬ。陛下、どうか、騎士マグダネルには沙汰を下さいませぬよう、お願い申し上げます。彼は、私の……」


「なりませぬ。王女、どうかこれ以上の、博愛なる御心を痛めてはなりませぬ。私は貴女様の騎士としては失格なのです。貴女様の御心を守れなかったことに、責任を感じております故。」


(王女は騎士への横恋慕をする思想があったわね。騎士にも類似するものがあったわ。)


「双方、それまでに。騎士マグダネルよ。その方、よくぞ王女の汚名を晴らせたものだ。褒めて遣わす。」


「有難きお言葉、感謝いたします。」


「王女よ。確信するが、先程の戯言に心当たりは有るか?」


「ありませぬ。全ては彼らの陰謀に御座います。」


「あい、わかった。ここに明言する。王女に非なく、全て公子及び悪女の陰謀であると。公子及び悪女には取り調べを行い、罪に応じた罰を下すこととする。さて、騎士マグダネルよ、貴様にも沙汰を下そう。」


「如何様にも。」


「陛下。お止め下さい。どうか、どうかお慈悲を。」


(理解できない。何故、王女は助命を願うのか。主君の尊厳を守れなかった騎士に罰は必要なのに。)


「ならぬ。騎士マグダネル、貴様は王女の護衛の任を解く。騎士の何たるかを、底辺から叩き直せ。」


「は。寛大なる御心に感謝いたします。鍛錬に邁進し、一層の忠誠を陛下に掲げます。」


「陛下。騎士マグダネル。」


「は、ならぬ。貴様の忠誠は王女ただ一人に捧げよ。」


「な。それは、どのような。」


「理解できぬのなら、それでよい。来る暁には、良くしてやろう。励むがよい。」


「有難き幸せ。」


「陛下。」


「案ずるな、王女よ。そなたにも気苦労がある。今すぐに、新たなる婚約者を見繕うのは難しい故、暫し待て。良きものが現れるやもしれぬでな。」


「はい。陛下の恩情に、感謝の念が堪えませぬ。私も新たなる婚約者に恥じぬ様、一層励みます。」


「期待しておるぞ。さて、余興はこれにて。皆の者、王女の幸に、忠実なる騎士に。門出を。」


(父たる陛下には、王女への情がある。私には……。)


「王女。暫しの間、お待ちください。必ずや貴女様のお側に参ります。更なる高みを目指し、貴女様を御守りする事を誓います。」


「はい、お待ちしております。私も、更なる高みを目指し、励みます。護られるばかりでは、私の矜持が許しませんので。」


(更なる高みを目指す……。)





私は巻末まで読み、本を閉じる。

以降、騎士は励み、王女の婚約者になれるまで努力を惜しまなかった。

王女は、その価値が下がらぬ様、淑女の鏡として評価を得るまで、知識と教養を育み続けた。


この本の基幹は、身分差のある恋の成就。

決して、略奪愛などでは無いと思う。

物語としては、面白いというよりも興味深いといったものだった。


私が興味を持ったのは、陛下の親心。

登場した部分が少ないのに、王女の良き理解者であった事。

羨ましいと、少しだけ、妬いてしまう。

そしてもう一つ、気になった事が有った。


生憎と私はまだ幼く、知らない事の方が多すぎて困っている。

知らない事を訊ねる相手も少なく、本だけでは得られないのが実状。


今、私の部屋でベッドメイクをしている彼女に聞いてみよう。

多分、おそらく、知っていると思う。


「ねぇ。」


「はい?何ですか、お嬢様。」


「貴女は、私の名前……知ってるかしら?」


「…………はい?」

なんか寝つけないので、思いついての突拍子。

作成時間30分。明日も仕事なので寝ます。

普段は1時間くらいかけてるから誤字脱字多い筈。


少しだけ早く帰れました。仕事にゆとりが出てきました。マンモスうれぴー。

こんなこと書いてるとまた忙しくなりそう。

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