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「青いビーチ」
「青い空」
「ここは楽園パラダイス」
ビキニを着た女子が砂浜を走り出す。
ビキニ姿の虹コングが海の中で水をかけ合っている。
ビーチマットに寝転がり、日焼けをしてるねもちゃん。あやめちゃん。マトパカ・リン。
ビーチチェアに座ってジュースの中の氷をもてあそぶ鶴見。
バナナボートに乗ってはしゃいでるありさ。ジュナ。
ワニの浮き輪で競争をしている大和葵と山崎。
桐野と大塚。アイリーン蛭子がビーチボールではしゃいでる。
遂にキター。
私のMCがっ!
ゲスノートパワーだ。
「さあ、始まりました」と清水がマイクを手に叫んでる。
「虹コングの冠番組。虹色コングラチュレーション。夏のビーチで大はしゃぎ」
清水がピコピコハンマーを手に大声を上げる。
「さっそく競技に入りましょうか」
清水が叫ぶ。
「えええええええええええええー」とあかりん。
「まだ遊び足りなーい」とふくれっ面。
「そうよ。せっかくビーチに来たのに、なんでゲームなんかしないといけないのよ」
「私、日焼けNG」とあかりんがパラソルの下、梅酒を飲みながら声をあげる。
「だいたいなんで清水が司会なのよ」
鶴見が清水の肩にグーパンチ。
「はいはい。そこの暴力女。マイナス1点」
清水がジャッジ。
MC清水さまのお通りよ。
「番組MCは絶対」と清水。
「私、休む」と山崎がパラソルの下に逃げ込んだ。
「まったく協調性のかけらもないんだから」
「じゃあ、チーム分けしましょ」
「私、リーダー!絶対、ぜーったい、リーダーやるっ!」と鶴見が手をあげる。
「じゃあ……………………」と清水はみんなの顔を見る。
みんなが目をそらす。
何よ、みんな出たくないの?
「じゃあー、私が選ぼうかなあー」と鶴見がみんなの顔を見る。
アイリーンと目が合う。
「アイリーン、私のチームね」
「はい」とアイリーンが答える。
「じゃあ、決まりね」と清水。
「鶴見パイセンチームはチームAカップ」
「ええー……………………」とアイリーン。
「鶴見パイセンはマイナスAカップだけど……………………、私はもう少しはあるしぃー……………………」
「そんなこと言うなら、清水もうちのチームでしょ」と鶴見。
「えっ、私、MC」
「だめよ、うちのチームよ、清水は……………………」
鶴見が清水の腕を引っ張る。
「なんでそうなるのよ」
「じゃあ、私、司会がしたい」と山崎が手をあげる。
「無理でしょ」
「ええええー」
「私、司会したい」と日傘をさしたあかりん。
「エエエエー、あかりん先輩、Aチームに入ってくださいよ」
「無理。だってあかりんの方が清水より大きいしぃー」
「それはそうだけどぉー」
ゲスノートはどうなってるのよ。
まさか最初の挨拶で終わりなの。
清水は渋い顔。
「チーム貧乳さんなら相手チームは巨乳さんチームよね」
あかりんがあやめとねもちゃんを指差した。
「まあー、しょうがないわね」とねもちゃん。
「いくわよ、あやめ」
「はい」と二人は胸を突き出して歩き出す。
「私たち、チームパイナポー」と大きなハートマークをつくる。
「きゃあ、可愛い。私もやりたい」とあかりん。
「あかりん先輩はどう考えても貧乳チームでしょ」と清水が言うと、あかりんは頬をふくらかす。
「そんなこと言うと減点なんだからね。マイナス10万点」
「えええええええええええええー」と清水。
「十万点、逆転するわよ」と鶴見は屈伸を始める。
そして一人砂浜をダッシュ!
「どこ行くの、鶴見パイセン」と清水が叫ぶ。
「もちろん、明日に決まってるじゃん」と振り返りざま鶴見が腕立て伏せを始める。
「勝つわよ」と一人張り切っている。
「貧乳さんチームは決まったけどぉー」とあかりんはみんなの胸を見つめる。
「チームパイナポーにもう一人欲しいかな」
「はいはいはーい」とマトパカ・リンが手をあげる。
「やっぱ、チーム編成は3人だからぁー」とあかりんがみんなの顔を見つめる。
「はいはいはーい!はいはいはーい」とマトパカ・リンが手をあげ、ジャンプ。
「誰にしようかな」とあかりん。
みんな、目が合うと目をそらす。
「はいはいはーい」とマトパカ・リンが手をあげたままあかりんの目の前でジャンプを繰り返す。
「しょうがないなあー……………………」とあかりんは熊本を指差した。
「えっ?私」と熊本は腹筋をしながらあかりんを見る。
「もう、体、温まった?」
「まだまだ、ウォーミングアップ中」と熊本は一人で反復横跳びをしている。
「はいはいはーい」とマトパカ・リンがあかりんに体当たり。
よろけながら、あかりんは、
「じゃあ……………………」と言った。
マトパカ・リンがピコピコハンマーであかりんの頭を軽く叩く。
「何、リンちゃん」
「私、出ます」
「トイレなら森の中でお願いね」
「じゃなくて」とマトパカ・リンは悔しがる。
「うんちくんは穴を掘ってね」
「うん、分かった!って、おい!」とマトパカ・リンがつっこんだ。
「それじゃあ、あかりんが出ようかな」とあかりん。
「おい、おーい!」とマトパカ・リンはあかりんの耳たぶを摘まむ。
そして耳を引っ張って、「モォー!どこに目をつけてんの」と言う。
「でもあかりんはグルグルバットしかやりたくないなあー」と口を尖らす。
「おい!」とマトパカ・リンがつっこむ。
「私のこの豊満な胸が目に入らないの?」
マトパカ・リンが腕を組んで胸を持ち上げる。
じっとあかりんはマトパカ・リンの胸の谷間を見つめる。
「そんなに言うなら、しょうがないなあー」とあかりんは小首を傾げる。
「ふうー」とマトパカ・リンが大きく息を吐き出す。
「やっと気がついたあー」
マトパカ・リンは精一杯のセクシーポーズ。
「あはあーん」とため息。
「やっぱり私かな」とあかりん。
「ずこっ!」とマトパカ・リンがずっこける。
「昭和のギャグ」とあかりんは笑い出す。
「リンちゃん、面白い。10万点」
「ヤッター」とマトパカ・リンはガッツポーズ。
「じゃあさ、リンちゃん、貧乳さんチームに入ってよ」と清水。
「無理」とマトパカ・リンは胸を突き出す。
神々しい光りを放つマトパカ・リンの胸。
「まぶしい」と清水が目を手で隠す。
「リンちゃん、チームパイナポー、決定」とあかりんが叫ぶ。
「ヤッター」とマトパカ・リンは飛び上がる。
ジャンプ、ジャンプ、ジャンプで大喜び。
「私たちも可愛いチーム名をつけましょ」と鶴見。
「チームぬりかべ」とあかりんが言った。
「いやあ、そこは一反木綿でしょ」と鶴見。
「真っ平らとか」
「全然可愛くない」とアイリーン蛭子。
「チームアマチュア無線」とアイリーンが言った。
「センス無いわあー」と清水。
「もう、チームAでいいんじゃない」と鶴見。
「そうね、面倒くさいし」と清水。
「えええええええええ」とアイリーン。
「私はあるもん」
「じゃあ、チーム無い物ねだりでいいんじゃない」
「いいですね、鶴見パイセン」
「分かった。それでいい」とアイリーンは渋い顔。
「じゃあ、私たちは遊んでいいのね」と他の虹コングメンバーがみんな塵じりになる。
そしてビーチボールやバナナボートで大はしゃぎを始める。
「なんでそうなるわけ」と清水。
「せっかくのバカンスなのに、ゲームって仕事みたい」と大和葵。
「じゃあ、私、あっちの島まで泳いでくる」
そう言って、熊本が海にダイブ。
そのままクロールで泳ぎ出す。
「ねえ、あの島まで何キロくらいあるの?」
「10キロくらいじゃない」
「一人でトライアスロンでもする気?」
「それより逆ナン、逆ナン。ビーチと言えば男でしょ」と桐野。
「って男、いなくねえー」と大塚。
「ああ、男日照り。やる気失せるわぁー」と桐野。
「日焼けするし、パラソルで休まない」と大塚。
「しょうがないかあー」
「このビーチ、男子禁制なの?」
「て言うか、私たちしかいなくねえ」
「ほんと、プライベートビーチ」
「まっさかあー。そんなお金があるわけ無いし……………………」
「あるじゃない、喪服チャン」
「まさか、これって喪服チャンからのプレゼントとか?」
「そんな太っ腹なあ」
「4億あるのよ。あるんじゃねえ」
「あるかな」
「あるよ」
「いやいやあー、ないない」と二人はビーチチェアに腰掛ける。
二人はギラギラデザインのサングラスをして、フルーツがいっぱいのったカクテルを飲んでいる。
「もしかしてこれって、虹色コングラチュレーションの夏休みスペシャルじゃない」
「て言うか、休み、そんなにとったら、フェスに出れないじゃん」
「そうね、夏は稼ぎ時だもんね」
「アイドルフェスが目白押し」
「武道館という箔もつくしね」
「ああ、武道館かあー、アイドルの夢よね」
「夢が叶うのね」
「トリが増えるんじゃ無い」
「いきなりトリはないでしょ」
「何言ってんの。昔はトリが当たり前だったのよ」
「なんだかんだで老舗だしね」
「オレンジステージでトリやりたいね」
「いけんじゃねえ」
「パねえ」
「こんなことしてる場合」と桐野は急にまともになる。
「そうよ、レッスンしないと」と大塚もオロナミンCを飲み干した。
「て言うか、みんなだらけてる」
「サマーバケーション」
「もしかして、夏合宿じゃねえ」
「あり得る」
「喪服チャンが突然現れて、強化合宿とかあー」
「砂浜をウサギ跳び」
「竹刀を手にビシバシしごかれるの?」
「やだー、そんなの、昭和だし」
「て言うか、撮影スタッフいなくねえー」と大塚が辺りを見渡す。
「ほんとだ」
「ユーチューブにもあげないのかな」
「さあー」
「ドッキリとか」
「カメラ隠してるのかな」
なんなのよ、ゲスノート。
私、全然主役じゃ無いし……………………。
清水はイラついていた。
「じゃあそろそろゲームをはじめよう」とあかりん。
「はーい」と清水が嫌々返事をする。
「おい、清水!声が死んでる」とあかりん。
「マイナス100点」
「ええええー」
て言うか、もうどうでもいいや。
カメラも無さそうだし、こんな企画で頑張ったら、張り切り損じゃ無い。
労働に見合った対価が欲しいわ。
「清水!元気が無いぞ。マイナス1000点」
「はーい」と暗い声。
「ネジ巻いてあげて」とあかりんが言うと、アイリーン蛭子が清水の背中のチャックをおろす。
すると背中にネジがついている。
アイリーン蛭子がネジをまわすと、清水の目に精気が戻り始める。
そしてアイリーン蛭子がネジを巻き終えると、
「パオーン!」と清水の鼻から煙が吹き出した。
「やるわよ」と清水が急に元気になった。
そしてタピオカミルクティーをアイリーン蛭子が手渡すと、鼻の穴にストローをつっこんだ。
「タピオカ爆弾」と言って、アイリーン蛭子に向かってタピオカ爆弾を発射する。
「きゃー」とアイリーン蛭子。
「もう、きたないー」とアイリーン蛭子。
「なんか清水の張り切りがから回ってるね」と大塚がサングラスを外す。
「ねえ、私たち、こんなんでいいのかな」
「いいんじゃねえ」
「武道館に出るんだよね」
「出るみたい」
「出たらモテるかな」
「モテモテじゃん」
「モテモテかあ」
「ハーレムよ」
「でもオタクしかいないんだよね」
「いないじゃねえー」
「なんかテンションあがんないね」と桐野はため息。
「ぽっ、ぽっ、ポー」と清水機関車が走ってる。
「シュッシュポッポ」と鼻からタピオカを発射しながら、アイリーン蛭子を追いかけている。
「じゃあさ、ほんとになんのためのゲームなの?」
「さあー」
「アニメなんかじゃイケメン男子とかが一人いてさあ、みんなで取り合うみたいな場面じゃん」
「そうよ。そうよ。イケメンいないしさ」
「ビーチバレー。男子の温泉覗き。アニメの定番じゃ無いの」
「何一つそろってないわ」
「これのどこがバカンスよ」と大塚が叫んだ。