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【完結】夜の装飾品店へようこそ~魔法を使わない「ものづくり」は時代遅れですか?~  作者: スズシロ
3章

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魔法の起源

「こんな世界があったとは……」


 魔法一つで共通の趣味を持った人や同じ仕事をしている仲間と繋がれる。自分が知らない所にこんな広い世界が広がっていたことにリッカは衝撃を受けていた。


 今まで宣伝と言えば店にポスターを掲示したり常連に手紙を送るだけだったが、蜃気楼通信(ミラージュ)を使えば画像一枚投稿するだけで同じ趣味や手仕事に興味ある人達に一瞬で商品の立体画像を届けるが出来る。有名ブランドや若者がこぞって取り入れる訳だ。


「離れた場所に居ても共通の趣味や仕事仲間と出会えるなんて私達が小さい頃には考えられないことでしたが、これからはこれが当たり前になって行くのでしょうね。転移港(ポート)の発展で人の移動だって距離を考慮しなくなっているのですから」

「なんか改めて考えると魔法って凄いですね」


 「魔法」の歴史は浅い。リッカが幼い頃はまだ「魔法」が無かったくらいだ。しかしそれが広まるのは本当にあっという間だった。嘘か真かは分からないが異国からやってきた「三女神」がこの国の衰退を嘆いてもたらしたと言われる「魔法」は今や生活に欠かせないものとなっている。


「『三女神』からもたらされた技術だと言われていますが、実のところ誰がどうやって発明したのかは良く分かっていないんですよね。私達に馴染みのある『造形魔法』だっていつ誰が生み出したのか知らないでしょう」

「……確かに、言われてみればそうですね」


 専門学校に通っていた頃に造形魔法関連で魔法の歴史を学ぶ授業があったが、いつ頃から使われるようになってどう発展してきたかを学んだだけで開発者の話は一言も出なかった。


「魔法が流通し始めてから三女神を讃える神殿が各地に出来て、表向きは『女神の加護や信仰の力によって魔法が使えるようになった』ということになっていますが、女神を信仰していない私にも使えている所を見ると信ぴょう性に欠けます。

 実情は『実態が良く分からない何か』を使っているといった所でしょうか。そう考えると少し怖い部分もありますが」


 「由来と実態が良く分からない」技術が日常生活に欠かせないものとなっている。ある日突然使えなくなったらと思うと確かに不安を感じる部分もある。魔法の由来についてあまり深く考えたことは無かったので改めて考えてみると分からない事だらけだ。


「そうですね。『魔力』を消費して魔法を使っているらしいですが、そもそも『魔力』が何なのかも良く分からないですし。でも造形魔法を使って作った物には作り手の『魔力』の残滓が残ってそれで個人判別できるらしいので、『魔力』が存在するのは確かですよね」

「人に宿った目に見えない未知のエネルギー……か何かなのでしょうね。何を燃料にしているのかは謎ですが」

「……使っていて寿命が縮んだりはしませんよね?」


 今更ながらちょっとだけ不安になる。


「魔法を使うようになってから結構経ちましたが早死にする人が増えた話は聞かないですし、多分ちょっとお腹が空くのが早くなるとかそんな程度だとは思いますよ」

「そ、そうですよね!」


 ほっとしたようなリッカの顔を見て宝石商はニコニコしている。


「ふふ、リッカさんって意外と怖がりなんですね。そういう所も可愛らしくて好きですよ」

「……えっ」


 「もう!」と言いながら赤くなるリッカの新たな一面を見つけ、ご満悦の宝石商だった。

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