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【完結】夜の装飾品店へようこそ~魔法を使わない「ものづくり」は時代遅れですか?~  作者: スズシロ
3章

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コミュニティデビュー

 蜃気楼通信(ミラージュ)第三の機能、それはコミュニティシステムである。ブランドや個人が作ったコミュニティに入る事によって発信される情報を取得したりすることが出来るシステムで、趣味の集まりや連絡手段として使われることも多い。


 ブランドなどが使用しているコミュニティ管理者のみ投稿できる形式の他、誰でも自由に投稿できる参加型のコミュニティも多い。鍵をかけることが出来るので特定のメンバーのみでのやりとりも可能だ。


 コハルは「黒き星(エトワール・ノワール)」のコミュニティを立ち上げてそこでお品書きを流して宣伝をする手法を取っており、今や個人ブランドから有名ブランドまで様々なコミュニティが乱立している状態だ。


「まずは『夜の装飾品店』のコミュニティを作成して……」


 宝石商に教えて貰いながら自分のコミュニティを作成する。蜃気楼通信(ミラージュ)の画面は普段は本人にしか見えないが、教えて貰うために「公開」設定にして宝石商にも通信画面が見えるようにした。


 今回は宣伝目的なので管理者のみ投稿可能で鍵は付けずに誰でも閲覧可能で自動申請で入れるようにした。作っただけだと誰も入ってきてくれないので「タグ」と呼ばれる検索キーワードを設定する。客が好みのコミュニティを探すために検索した際に引っかかりやすくするためだ。


「あとは手仕事物が好きな人達の参加型コミュニティに入って宣伝してみてはいかがでしょうか」


 コミュニティの設定が終わったら今度はコミュニティの宣伝だ。「手仕事」というワードで検索をするといくつか参加型のコミュニティが出て来たので一番人数が多そうな「手仕事好きの集い」というコミュニティに加入する。


「こんなに手仕事好きの方がいらっしゃるんですね」


 リッカはコミュニティの参加人数を見て驚いた。120人くらいだが、手仕事に興味を持っている人がこんなに居るとは思わなかった。


「まずは挨拶をしてください」

「は、はい!」


『はじめまして。本日から参加をさせて頂く【夜の装飾品店】と申します。これから宜しくお願い致します』


(こんな感じで良いのだろうか……)


 初めてのコミュニティ参加に初めてのコメント。心なしか緊張で手が震える。


「そんなに緊張しないで大丈夫ですよ。取って食われたりはしませんから」


 そんなリッカの様子を見て苦笑いをする宝石商を尻目にドキドキしながら投稿ボタンを押す。ぽん、と投稿画面にメッセージが表示される。どうやら無事に投稿出来たようだ。


「良かった……」


 ほっと一息ついているとポン!と音がしてメッセージが表示された。


『いらっしゃいませ』

『はじめまして!宜しくお願いします!』


 丁度コミュニティを覗いている人が居たのか返信が返って来たのだ。


『夜の装飾品店さんって、もしかして手仕事祭に出られてます?』


「えっ」

「どうやらリッカさんのことを知っている方がいらっしゃるみたいですね」


 まさかの返答にドキドキしながら返事を返す。


『はい。手仕事祭には毎回参加しています』

『やっぱり!以前見かけたことがあるなーと思って。蜃気楼通信(ミラージュ)されていたんですね』

『実は今日コミュニティを作ったばかりで……』

『そうなんですか!折角なのでコミュニティ教えて下さいよ』

『是非!』


 宝石商に教わりながら「夜の装飾品店」のコミュニティIDを送信すると、四角いアイコンと共にコミュニティに繋がるリンクがメッセージ画面に貼りだされた。


『まだ全然情報発信していないのですが、宜しければ遊びに来て頂けると嬉しいです』

『ありがとうございます!コミュニティ登録しておきますね!』


 宣伝をした効果か早速何人か「夜の装飾品店」のコミュニティに登録してくれたようだ。「手仕事好きの集い」は買い手だけではなく職人も参加しているようだったので定期的に覗いて情報交換すると良さそうだ。


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