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【完結】夜の装飾品店へようこそ~魔法を使わない「ものづくり」は時代遅れですか?~  作者: スズシロ
2章

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予算と相談

 飲食エリアにはフードワゴンや屋台がいくつか並んでおり、持ち込んだ食料の他そこで購入した物を食べることが出来る。今回は何も食べ物を持ち込んでいないのでここで購入して昼食をとることにした。


 出ているお店を一軒ずつ回って吟味する。タコライス、カレー、焼き鳥丼、ハンバーガー、唐揚げ……どれもお腹に溜まりそうなメニューばかりだ。長丁場のイベントにはスタミナが必要なので丁度いい。


(よし、決めた!)


 今回はスパイスカレーを注文することにした。「カレーに外れ無し」だ。注文してすぐに出てくるのも良い。カレー屋でスパイスカレーを頼みベンチに座ってもくもくと食べる。サラサラとしたスープ系のカレーで柔らかく煮込まれてほろほろと崩れる豚肉が美味しい。スパイスも多めに入っていて身体が温まって来たのが分かる。


(これは『当たり』だな)


 美味しいカレーに当たって満足のリッカは明日もここで違うメニューを食べようと決めたのだった。ささっと食事を済ませると宝石商に教えて貰った陶器屋のブースへ向かう。お昼を過ぎたこともあり人の流れも落ち着いてきてのんびりと店を回れる雰囲気だ。


 目的の陶器屋に到着すると既に何人か先客がおり、皆真剣な眼差しで作品を選んでいる。高めに組まれた木製の商品棚にルースを模した絵柄が描かれたカップや皿が展示されており、どれも可愛らしくて目移りしてしまう。


(パステルカラーで可愛い色使い。宝石の主線が金の釉薬で描かれているのも素敵。正直滅茶苦茶好みだわ)


 ティーカップはソーサー付きの物もあり白磁に小さな宝石が散りばめられているものやピンクや水色など淡い色味の地に白抜きで宝石が描かれている物など多種多様だ。皿もケーキ用の皿から大皿まで様々な大きさの皿が並んでいる。


(最近来客が多いから私も来客用のカップとお皿を揃えておこうかな)


 悩んだ挙句白磁のティーカップを二組、皿をいくつか購入した。


 買い物を済ませた後は開場前に見きれなかったブースを見て回る。鞄や服など服飾系の店も多く市販品にはない独創的で凝ったデザインの作品を見て回るのも楽しい。一点物や手作り品なので値は張るが職人の個性が拘りが詰まった珠玉の作品ばかりだ。


 ふと鞄職人のブース前で足が止まる。革で作られた鞄が大きな棚に沢山飾られており、その中でも小さめの四角いウエストポーチに目を引かれた。


 腰のベルトに通して使えるようになっており、店主に許可を得て触ってみるとしっかりした作りだがとても軽い。金具で留めるタイプの蓋を開けると中に着脱可能な布の巾着袋が入っており口を閉じられるようになっている。


 蓋の部分には真鍮の装飾がついており、使い込むと良い味が出そうな作りをしている。


(良いな、これ)


 イベントの時やちょっと出かける際に貴重品を入れるのに丁度良さそうだ。ちらっと値札を見ると「金貨」の文字が見え、一度作品を棚に戻して考える。


 今日は既に陶器を何点か買ってしまった。前回のイベントでは売上が振るわなかったのでちょっと厳しい。でも折角素敵なウエストポーチに出会えたのだ。うーんと悩み、結局ブース番号が書かれたショップカードを貰って帰った。二日間開催なので一度間を置いて考えようと思ったのだ。


 陶器を抱えて自分のブースへ戻ると丁度宝石商が客を見送った後だった。


「おかえりなさい。お、買ったんですか?」

「はい!教えて頂いた所でカップとお皿を。素敵なウエストポーチもあったんですけど予算が厳しくてとりあえずショップカードだけ貰って来ました」

「ほほう。ウエストポーチですか」

「貴重品を持ち歩くのに丁度良さそうだったので。今日一日考えます……」


 お金に関する決断をする時は一晩置くのも大事なのだ。その後もぽつぽつと作品が売れて初日は良いペースで終えることが出来た。

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