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親父の仕事

作者: 佐藤

彼の仕事は私にとって実に興味深い物だった。

彼は

どこの町にも必ず有る仕事をし

どこの町でも大抵は一人で過ごし

どこの町でも必要とされていた。


始めて行くと必ず寄る町の仕事。

私も例に漏れず彼の仕事の世話になった。


そんな彼に別れの挨拶をする際に仕事について聞いてみた。


「親父さんにとって仕事って何ですか?」


「私の仕事かい?そうだねぇ。…私は今日も、いつもと変わらない朝を迎える。


いつもと変わらない朝

いつもと変わらない準備。


今日も沢山の客がウチに来る。


私がこの仕事に就くために最初に学んだ事。

それは

外科療法。

次に薬学。

食事による健康管理。


気が付けばそれらを習得するのに二十年の月日を費やした。


医療の知識が有れば成れる職業?

いや、それだけでは足りない。


衣類の修復。

加工物の修繕。

そこまで習得して始めて半人前だ。


そこからやっと、この仕事の基礎とも呼べる最後の技術を学べる。

そう、私たちの仕事に必須の技術だ。


それは、接客&経営。


ここまで来るのに、早くて五十代に差し掛かる…大半の者は脱落するがね。


私の仕事かい?

良いさ、勿体ぶる程の物でもないよ。

私の仕事は…



…誰かを癒すそれだけだよ」



そう言った彼の背中は正にプロフェッショナルと呼ぶに相応しい物だった。


一晩で冒険者の怪我。

精神的、肉体的疲労の回復。

人前に出ても恥ずかしくないよう、冒険者の身なりまでをも整える。


彼は最後に私にこう言った。

「五ゴールドになります」


…仕事は、金が全てでは無い。

彼の笑顔が、私にそう教えてくれた気がする。

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