バカゲーみたいなノリの冒険
「よく来た勇者よ。」
ある日、国王によって呼び出された勇者は城を訪れていた。
「私が言わんとしていることはわかっておるな?」
玉座に腰かける壮年の王はひれ伏す勇者に聞く。
「はっ。銘柄はなんにいたしましょうか?」
勇者は顔を上げ、キリリとした顔で聞き返す。
「うん、わかってないね。てか、何言ってんの?」
「え?煙草買って来いって話じゃないんですか?」
勇者は意外そうな顔をした。
「いや、確かに煙草切らしてたけど・・・あれだよ。私がそなたに頼みたいのは魔王討伐!」
「あー、そっちか・・・」
王の指摘に勇者は顔に手を当て息を吐いた。
「では、頼んだぞ。」
「はっ!」
勇者はそう返事をし立ち上がると踵を返した。
「・・・あ、ついでに煙草買ってきましょうか?」
出口に向かおうとした勇者は思い出したように立ち止まり王に聞く。
「あ、じゃあ、マ〇ボロお願い。」
そして、城を出た勇者は城下街の道具屋で煙草を買いまた城に戻った後、街へ繰り出すのであった。
「国王から魔王討伐の命が出たんで、同行してくれる冒険者を集めて欲しいのですが。」
勇者は冒険者ギルドを訪れ、受付に国王より発行された書類を提示した。
「どういった方をお探しですか?」
「戦士と攻撃型魔導士と防御型魔導士を各一名ずつ・・・あ、報酬は国王に請求してください。」
「かしこまりました。」
ほどなくして希望のメンツが揃い、勇者達はその足で武器屋に向かった。
「十二ゲージのショットガン、オートローダー。」
なぜか無愛想に注文する勇者。
「異世界製だ。手動でも使えるよ。」
武器屋の親父は奥の棚からショットガンを取り出し、カウンターに置いてそう言った。
「四十五口径レーザーサイトピストル。」
「新製品だ。出たばかり。良い銃だよ。引き金にさわるとビームが出るから赤い点を目標に合わせて撃てば外れっこない。」
勇者にハンドガンを手渡し、親父は説明をする。
「他に何か?」
「魔剣エクスキャリバー。」
「生憎そいつは今ないんだ。」
無表情で注文する勇者に親父は苦笑いをした。
「九ミリ短機関銃をくれ。」
「銃に詳しいね。兄さん。」
短機関銃をショットガンの横に置いた親父が感心する。
「こりゃみんな冒険のお供には最高だ。・・・それで、どれにする?」
親父の質問と同時に装備品を満載したカートを戦士がカウンターにつける。
「全部だ。」
「今日はもう店じまいだな。支払いはどうする?」
上機嫌に親父は言う。
「国が支払います。」
素に戻った勇者はそう言って書類を提示した。
「ああ、そういうことね。わかったよ。」
そして、装備を整えた勇者一行は魔王城に向け出発した。
その後、勇者は旅の途中、立ち寄った国で様々な恩恵を得た。航空技術が優れている国では航空部隊による支援を、海洋国家では戦艦を骨幹とした艦隊を・・・
そして、勇者達は今、魔王城の目と鼻の先にいた。
「攻撃開始。」
勇者は戦艦の艦橋から艦隊と航空部隊に攻撃命令を下した。
一斉に始まる艦砲射撃。上空を通過していく爆撃機の大群。そして、魔王城を覆い隠す爆炎と黒煙。
攻撃は弾薬が尽きるまで行われ、魔王城は魔王もろとも更地と化した。
魔王討伐の任を完遂した勇者一行は国に戻るも、国は支援を行った国に対する報酬の支払いで経済破綻。そして、国の事実上の消滅を恐れた王は各国に対し宣戦布告をするのであった。