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神の名のもとに〜異世界と現実の狭間に生きる〜  作者: 麒麟燐
第一章 人生開幕編
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第六十六話 得手不得手


 一方、健祉の部屋へと消えた2人。


 明るい室内に照明をつけ、念のためか健祉が部屋にある全ての窓とカーテンを閉めた。エリカが遅れて反応し、出入口もパタンと閉める。

 これにより密談のための密閉空間ができた。

 春なので暑くも寒くもなく丁度いい。

 エリカの部屋(仮)ほど散らかってはいないが、悠斗の部屋ほど整頓はされていない。その一室の中央より少しずれた位置に配置されている小さなテーブルの一帯に向かい合わせで座る。エリカは何故か正座して、健祉は胡座(あぐら)をかいていた。

 ドアに耳を合わせて聴こうと思えばそれは可能だが、健祉の能力的にできない。

 そんな空間の中、まず口を開いたのは――

「福田くん、聞きたい事は山ほどあるから順番に」

 落ち着いた様子のエリカだ。

「ああ、順番に答えられる範囲で答えよう」

 三つ巴の神の一人、ミカエルとしての秘密事項も当然の如く山ほどある。そのため、全てを包み隠さずとはいかないもの。エリカも理解しているため、軽く頷く。

「じゃあ、福田くんのことから」

 神様相手にも臆することなく順を追って質問していく。

「三人の神の能力は本で読んだし、何度か耳にしたことがあるけど……」

 そう前置きする。

 そこから推測するに、今から問い、問われる情報はミカエル含む神たちの固有魔法について。


「福田くんは、『肉体強化』と『時間停止』で間違いない?」

「ああ、その通りだ。流石情報通」


 と、エリカの真剣な確認に対し、茶化すような返答。

 ちなみにこれは余談だが、『肉体強化』にはアビリティプラス、『時間停止』にはクロックストップ、と言う異なった表現があるが、どちらも示すものは同じ固有魔法のことである。だが、この2つのように異名を使えば文字数が増えたり言い難くなったりする。そのため、人によって呼び方が違うのだ。勿論、こだわりで呼び方を変えるものもいる。


「知ってると思うがついでに加えるなら、ヴァラグは『肉体強化』と『時間循環』だ」

 補足としてもう一人の神の能力を隠すことなく暴露する。

 そして、悠斗の能力は言わずもがなだ。

「うん、『時間循環』って『巻き戻し』だよね? それなら知ってるよ」

 エリカは自分の知っている固有名詞に置き換えて確認する。健祉が頷くのであっているらしい。

 自分の知識内の神と現実の神に大した差異がないことを認識したエリカは、一先ず安堵の吐息を吐き胸を撫で下ろす。

 対面している健祉は何やら口角を上げて小さく喜びを表現していた。


「それで、他には?」

 健祉には大天使としての仕事が、エリカにも色々と事情があるため出来る限り時間は削減したい。だからこそ健祉も逸るような気持ちで催促する。

 胸部よりやや下の位置で止まっていた手を膝に戻して、エリカは「あ、うん」と若干焦る。

「えっと、2回目だけど……先代の三つ巴の神の中で……その……死んだのって……」

 昨日も尋ね、そして解答を拒否された質問だ。

 それがあの場だからなのか、それとも場所に関わらずエリカたちには言えないのか。それが気がかりだった。

 遠慮がちに視線を送り健祉の男心を無意識に擽ったエリカだが、それは身を結ばなかった。

「悪いな、それは何度聞かれても言えない」

 本心から申し訳なさそうに謝罪を口にする。

 その行為に慌てたエリカは体を大きく動かして自分の非をいくつも並べた。

 すると何故かクスッと笑われたので動きを一度止め、きょとんとした目と顔を向けた。が、健祉は何も言わず視線だけで次の質問を促した。


「じゃ、じゃあ……悠くん――じゃなくて、人界軍の幹部って、何人いて、今どこにいるの?」


 健祉は唸りながら考え込む。

 そう来たか、と。

 右手を顎に当て、正しく今悩み、考察しているように。

 このタイミングでの質問としては想定外だが、いつしか聞かれることだとは思っていた。故に、これも解答は決めていたが……今ではその解答は良い選択肢とは言えない。

 エリカは恐らく幹部の助力を期待しているのだろう。

 今はその期待には応えられないとだけ理解させれば満足だろう。

「うーん、ま、誰かは言えないし言ってもわからんだろ?」

「――? うん」

「――?」

 エリカの反応に健祉が顔を一瞬顰めた。真意が分からないまま言葉を待つ。

「幹部は元4人、現在悠斗に従うのは2人だ。これもで悪いが場所は言えないと知らないだ」

「そっか、2人もいるんだね」

「…………」

 情報を得られて満足そうにするエリカ。とても良い笑顔だった。

 が、健祉が予想していた会話の成り行きと異なる。

 エリカが想像以上に前向きで明るいのだ。

 そもそも、この話し合いの始まりから想定外だった。

 第一に彼女は悠斗の過去を聞いてくると予測していた。ところが、ものの見事に外れた挙句、第三の質問でもその話題が出ない。さらに加えてその三つ目の質問に対する態度までも健祉の計算の範囲外。

 計り知れない少女だと驚き警戒すると同時に、希望の芽が花へと成長を始める。現在は子葉が出来たと言ったところだ。

「私が幹部になれちゃったりね……なんて、ごめんね、冗談冗談……」

 そう笑って場を和ませようとする。

 虚勢でもないそれは確実に彼女の武器となる。

 暗い奴には明るい奴をぶつける。

 学校や会社などの社会的な生活においてはミスマッチだろう。根暗な奴は騒がしいだけの奴を嫌い、根明な奴は影の薄い気味悪い奴を嫌う。互いに避け合うという相互関係的なものが存在する。

 だが、悠斗の根暗とエリカの根明は世間一般(勝手な推測)のそれとは異なる。説明はできないし証明もできない、がいいコンビになる気がする。いや、既に半分ほどは関係性が成り立っていた。

 あとは互いに残りの4分の1歩ずつ歩み寄ればいい。

 但し、過不足厳禁のルールだ。


 この場において冗談をかませるなら、この少女の心配は無用だろう。

「ふっ……案外なれるかもな」

「えっ! ホントに⁉︎」

 嬉しさよりも驚きの色が濃い声音が響く。

 その拍子に無意識に机に手をついた際、勢いの強さから机がバンっと音を立てた。一つしかない出入り口のドアも鈍くカタッと揺れた。

 何度目か数え損ねた苦笑をもう一度漏らすと、健祉は「ああ、ああ」と頷く。

「幹部ってのは、それぞれの神が自由に決められるからな。悠斗がその気になれば幹部になれるかもな」

「へぇー、そっか……」

 不思議と感慨深そうに天井の照明を眺める。どんな感情に浸っているのかは察せないが、中々こっちの世界に戻って来ない。

 なんだか話が脱線している気がするが……いいのか?

「エリカちゃん……もういいのか?」

 不安そうに声をかけて復帰を促す。

 ハッと声を上げて我に帰ると、「えへへ、ごめんごめん」と照れるような仕草を見せながら謝罪した。

 健祉もそんな態度のエリカを見ながら恋愛とは違った魅力や可愛さを理解し始める。

 変な元王女様候補だが、とてもいい子だ。

 語彙が貧弱で、信憑性に欠けるかもしれないが、とてつもなくいい子なのだ。


「まぁ、取り敢えずはあと一つかな」


 最後と思われる質問。

 本人からも肯定するような言葉が紡がれ益々談話が終幕へと向かう……。


「悠くんの、過去について教えて」


 ――否、これこそが本題。これより在りし日の思い出を共有する、小さな漫談が開幕するのだ。


「やっとだな……。そのつもりだよ」

 前置きの疲れを払い落とすように肩を回し、空気をガラッと変える。

 部屋の中心から少しずれた位置。そこに配置されたテーブルを中核として異様なオーラが空間を包み込む。

 口を開く健祉のその眼を見て息を呑んだ。


悠斗(アイツ)はな…… 5年前から、ずっと独りぼっちなんだよ……」


 今まで、感情の変化を強く表に出さなかった健祉。その彼が、突然に表情を変える。

 懐かしむような細い目は、俯いているために影が差して見え難い。言葉の一つ一つが無駄に重く、その重圧に本人が押し潰されていそうだ。


「5年前……? あ、小学6年生か……」


 5年前と言われてもピンと来なかったので、悠斗の今の年齢から5年を引く計算を、指を曲げながら行った。

 その行動を見ていない健祉は、その言葉に首を縦に動かす。そして暗い影を落としたままため息をついた。

「えっと……じゃあ、悠くんの両親が亡くなったのが丁度その5年前? あ、でもこの前7年前って……」

 5年前から独り。この言い回しから、その時に孤立したと考えるのが当然。しかしそうとすれば、昨日の会話内での時期と異なる。至極当然の思考をしたエリカが健祉の暗い表情に戸惑いながら聞き返す。

「……不自然に思うのは当然だが、悠斗の両親は7年前にいなくなった」

 と、顔を上げながら答える。

 純粋な考えを否定する。

「……? えっと……じゃあ、どういう……」

「悠斗は立て続けに母、父の順で亡くして、神の関係上祖父母も悠斗が生まれる前に亡くなってる」

「……うん」

 健祉の憐れむ物言いに声量が小さくなる。

 互いに悠斗を中心に添えた負の渦の中に引き込まれていっているようだ。

 変わらないトーンで、健祉は続ける。


「それだけなら……悠斗も耐えられただろ」


 含みのある奇妙な言い回し。

 言葉の意味は数秒を使う事もなく理解できる。

 が、脳が理解を拒み、処理を終えるまでに時間がかかってしまった。

 健祉の陰湿で曇った目が、天井から注がれる光を反射している。時間が停止したような感覚から解放されるのを、2人は心待ちにした。


「福田くん……それってつまり――」

「ああ……悠斗(アイツ)は親族に加えて、友達を失くした」

「――っ!」


 理解していたのに詰まる声。

 分かっていた事でも、止められない衝動はある。

 押されると分かっていても押されれば体は揺らぐ、転ぶと分かっていても転べば痛い。そこはどう足掻いても変えられない。

 エリカも同じ。

 残酷な過去があったと、闇のような現実があったのだと一足先に理解しても――言葉を聞けば何度でも絶句してしまう。

 それに同情して、独り勝手に悲しんでみる。

 だがどれだけ親身になろうと心掛けても、どうやら悠斗の気持ちを――彼の持つ悲壮な心情や傷ついた感情は、自分のものにできないし、肩代わりする事もできないようだ。ただできるのは、彼の事を理解して、優しく包み込む事だけ。


「……じゃあ、その……友達がいなくなったのが、小学6年生の時、かな?」


 自分のことのように口を震わせ、顔を強張らせながら尋ねる。健祉がゆっくりと重い首を動かし縦に一度小さく振る。

 その健祉の顔に取り憑いている罪悪感と責任感は一体何なのか。あのエリカでさえ、畏怖して問おうにも問えない。

「そうだ、小6の時に、俺と悠斗が結構仲良くしてた友達が……他界した」

 何度聞いても胸が痛む。

 思い人を思うと胸が苦しい。

 本来は、恋愛感情の強さゆえの苦しみで起こる。だが、ここではそんな甘酸っぱくないし、生温くもない。

 正真正銘、少年の過酷な人生を追体験するような情報共有に心が締め付けられているのだ。

 可哀想だ、同情する。

 理不尽だ、憐れむ。

 よく耐え忍んだ、慰撫してあげたい。

 でも、まだその資格がない。


 悠斗に、疎すぎる。


 もっと「神本悠斗」を知る必要がある。

 そのために、今のこの場がある。


「原因は、交通事故」

 捕捉される死因。

 それは病死(寿命)などを除けば最も多い人の死因。普段はテレビなどの報道で見る以外に縁がないものだが、誰にでも起こり得る、極々普通の事故。

 周りの誰かや、自分自身に起きても不思議ではない事象。

 それが理由で心が病んでしまったのなら、もしやその事故の原因にこそ悠斗が関係していて……

「現場にいたのは被害者と容疑者……今は捕まって釈放された後だから少し違うが、まあ、合わせてその2人」

 どうやら悠斗は無関係らしい。

 悠斗の知らぬ場所で知らぬ間に起きた、事故。

 家族に合わせての友人の死ならば、心が病む理由としては充分だが……何となく腑に落ちない。

 分からない。

 分からないことだ。

 分からないことだから、聞くべきだ。

「その事件と今の悠くんの繋がりは?」

 本人に聞かない卑怯な戦法だが、悠斗が逃げる以上、捕まえられた健祉から収集することは当然だ。

「ああ、今から……」

 胡座を崩して右脚を立てる。

 一度深呼吸して心を宥めた後、意を決した表情で続けた。


「悠斗の周りの人が死ぬ度……アイツの周りから人が消えていった……」


「…………?」


 言っている意味が伝わらず、互いが見つめ合う。

 エリカは眉を潜めて無理解を示す。

 それに対して健祉は躊躇うようにバツの悪い顔をして視線を逸らす。

 再度脈動を安定させるために呼吸を整え、エリカを見つめ返す。


「つまり、だな……」

「うん」

「……悠斗の周りで人が死ぬ度に、悠斗が嫌われていったって……ことだ」


「――――は?」


 悪寒が背筋を走り抜けた。

 耳鳴りが両サイドから響いてくる。

 思考が白くなり、世界が黒く見え始める。

 健祉が痛烈な表情で唇を噛んでいる。それだけはよく見えた。

 だが、エリカの目の前を、今は闇が覆い尽くしている。


「……ぇ、っ、と……どう、して……」

 寒ささえ感じる中、震える唇で詳細を尋ねる。

 いや、声を出した後遅れて気がついた。震えているのは自分の体全体だった、と。


「アイツらはッ、悠斗の事を、疫病神だって突き放したんだっ……!」


 突然、涙と共に温厚そうな健祉が爆発した。


 怒りを抑えながらも大声で叫び、誰が悪いと特定することもなく涙を散らし始める。

 バンッ、という机を叩く音が何となく遅れて聞こえた。

 普段の様子や会話中の表情からは到底似合わない態度だった。

 悠斗が闇を抱える裏で、その悠斗を見守ってきた健祉でさえも幾分かの怒りを覚えるほどの非情さ。

 反吐が出る程のニンゲンたちの壊れた人間性。

 その受け入れがたかった現実を思い返し、涙と恨み、そして憤怒が腹の底から込み上げてくる。

 もし目の前に本人たちでも居ようものなら、躊躇なく殴り飛ばしていた自信さえある。


「……そ、れで……悠くんは……! 悠くんはどうしたの」


 痛烈な表情で憤慨する健祉に追い討ちをかける感覚を覚え、一瞬抵抗感がブレーキをかけたが、その言葉を口にした。

 恐れながらももっと鮮明な事実を知るために仕掛ける。

 そう決意してこの場所にいるのだ。


「…………っ! 俺はっ……俺は、アイツらに何度も言ってやったんだよ……」

 拳を固く握り、その右腕に血管が浮き出ていた。その拳に涙が滴るのを見つめながら健祉の言葉を……聞く。

「だけど……アイツがっ……悠斗が、それを止めたんだよ」

「――――」

 目を見開いた。

 驚きだ。

 だが、行動以上に自分自身が驚いていない。

 何となく……想像できてしまう。


「……悠くんが、自分の責任だと、認めたんだね……?」


 その結論で悠斗の行動理念のほぼ全てを理解した。

 誰彼構わず助ける無謀さ。

 友達さえ作らず、人から距離を置く非力さ。

 そのクセ、ジブンで何一つこなせない無能さ。


 「神本悠斗」という存在の根底にあるモノは恐らくこれらだ。

 自責の念に駆られ、自己嫌悪に陥る。その結果友人という友人を失くし、自分の存在意義を見失った。

 しかもそれだけに及ばず、以降も人との関係の多くを遮断して塞ぎ込む。

 挙句、人を恐れ人間不信になった。


 だから、突然に現れた光のような存在――エリカたちに戸惑い、精神崩壊に至る。

 やっとの思いで繋がった事象。

 だがそれは「数日でどうこうあった」と言う簡単なモノでなく、数年前から延々と引き延ばされ続ける地獄。

 出会って数日のエリカに……何かできようか?


「でもさ……」

「――?」


 歯軋りする健祉のテーブルを挟んで目前、エリカが立ち上がり光を灯した。


「でも、さ……福田くんと悠くんを見る限り、希望はいくらでもあるよね?」


 と、希望に満ち溢れた微笑みで切り返す。

 悠斗の絶望的な過去を知ったばかりの人間とは思えない開き直り方。

 その彼女が見て、見据えるモノは。

「福田くんが諦めてない」

 これがまず一つ。

「数日だけど、私は悠くんと暮らした」

 これが二つ目。

 そして、

「そして……」


「そ、そして……?」


「へへっ、私たちがいる」


 クスクスっ、といった雰囲気で笑い、宣言する。

 これが三つ目。

 とても清々しいやつだった。


「ふっ……それらは、どう言う意味だ……?」


 エリカの能天気に怒りが鎮静化した健祉が涙を隠しながらその心は?的な問いをした。


「一つ目はね、そのままの意味」

 立ち上がって窓の側へより、カーテンを小さく開けると光が差し込んできた。エリカは、その窓の外の彼方を眺める。

 そして、見つめている内に焦点が窓に映る自分へと変化した。その窓の奥には、不思議そうに苦笑する健祉の様子も薄っすらと映っている。

「ずっと側に居た福田くんが諦めてないって事は、まだどうにかなる見込みがあるんでしょ?」

「……ま、そうなるかもな」

 照れ臭そうに頰を掻き視線を落とす。

「うんうん、で、二つ目は悠くんが私たちを受け入れてくれたった事」

 悠斗が人を受け入れる。

 この行為は即ち、彼の心に誰かと仲良くしたいと言う欲求が生きている証拠。

 これはポジティブ発言に聞こえる、が、正式には粗探し。

 悠斗の汚染された感情に残る、汚し残し。それを探って拡大する目的がある。

 健祉も「そうか」と、納得の色が濃い。

「そして三つ目は――」

「んや、それは分かる」

 ラストの決めに入ろうとしたエリカを静止する。

 掌を押しつけるように突き出して健祉も硬直した。

「――?」

「俺には、もうアイツを復活させられない」

 諦めとは大層異なる力のある発言。

 自分の無力を理解したうえでの簡単な作業。

「だから――悠斗(あいつ)を頼む!」

 立ち上がった健祉が、深々と腰を折り頭を下げる。

 人を頼る単純な方法で、腐った部分を取り除く。


「悠斗を――‼︎」

「うん!」

「――――」

「私に任せて」


 可愛らしいVサインが、そう誓った。





 その後、密談はお開きとなり、エリカは宮園宅へと帰って行った。


「…………俺と違って……いい友達だな」


 自室の窓、エリカが半開きにしたカーテンを全開にしてエリカの姿が死角に入るまで見つめながら言った。

 自分は何をしているのかと自問し、何もしていないと自答する。


「……うっし……!」


 健祉にも決意するものがあった。

 その決意を固め、居間にいるハーフ姉妹の下へ降りて行った。




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