第四十九話 姉妹の共闘
「……」
やがてその存在が消失したことを理解する。
目の端に捕らえていた残像は消え失せ、周りに残るのは優しい姉と、恐るべき闇の魔獣。
「オレはもういいから、展開式を変更しな」
……………………。
……………………。
「とりあえず、バリアは休憩なの」
姉に笑い、能力の稼働を停止する。
同時に彼女の目に薄く柔らかい色が戻った。
「無理はしないでいいからな」
「だいじょぶなの」
暑い空洞内での呼吸音。
汗が体の至る所から少しずつ流れ、地に落ちると蒸発して行く。
高所から滴る液体の中に魔獣の涎まで混じり、その垂れる音といえばなんとも気味が悪い。
「――ッッッッ!」
三度目の遠吠え。
強靭な鋭角部を武器とした攻撃が白翼目掛けて飛来してきた。
魔法使いの戦いの基本として、躱せる攻撃は能力を使用せずに避ける。無駄な魔力の消耗は、以後の戦闘に後遺症を引き起こすからだ。
今回は、上手く腕の動きが見切れたので自分から見て左手に跳躍する。
地を蹴り、宙に浮く感覚。ふわりと跳ね上がる身体を丁寧に動かして次なる攻撃にも備える。
既に魔犬の一撃目は地面を抉っており、その腕を回すには胴体が大きすぎる。相手は高が低脳動物、少なくとも二撃目は反対の手か口で攻めてくるだろう。
「――――ッッ!」
四度目の奇声。
痛む耳を我慢して攻撃を意識する。
次の攻撃は三つ首の内の中央部からだった。
鋭く光る牙が周囲のほの赤い光で更に煌く。その犬歯を白翼の薄い体目掛けて突き付ける。
顎を全開にし、噛み砕かずに飲み込みそうな口を見せつける。その汚い顔が白翼の間近に迫り、その牙を突き立てんと鼻息荒くしている。
跳躍の力のみで体を宙に留めていた白翼は寸前で両翼を開花させ、向かってくる口に風を送り込む気持ちで勢いよく翼をはためかせた。
白と黒の『カッコいい』翼で無い風を切り、口内に幽閉される既の所で身を返した。
「お姉ちゃん!」
姉を案じる妹の声。
こんな程度でやられるなど微塵も思っていないが、動き方にどうしても肝を冷やす。
もっと早々に避け、丁寧に戦えば安全なものを、彼女はギリギリまで引きつける。
何故そんなことをするかは、流石にわかる。
「大丈夫だ。それよりやっぱり、頭を一つずつ潰すしかなさそうだ」
「わかったの」
大声で叫び、きちんと声を届かせる。
バリアを展開している時からあの獅子は、嚙み殺しか斬殺以外狙ってこない。
背にはいくつもの意志が働く蛇がおり危険。
尾を狙っても、頑丈な竜の鱗は傷一つつけられない。そもそも尾だけを剥奪しても、行動できるので意味がない。
相手を倒すにはこの巨体を操る大脳の機能を全て停止させる、または四肢を捥ぎ取る以外に方法がない。
後者は敵の足元まで潜り込む必要があり非常に危険。それ以前に、衝撃を与えるだけで済む脳震盪と根こそぎ千切らなければいけない切断とでは難易度が異なる。
しかし……
「……どうやって叩き込んだもんか」
その戦法に頭を抱える。
作戦を編んでいては時間の無駄だ。相手が犬であることを鑑みれば、作戦を立てるというのは響くだろうが、人じゃないので待ってはくれない。
せめて咄嗟の思いつきを試す程度か……。
「当たって砕けろだな」
方針を口にすることで意思を固め、脱線しないようにする。その意気込みはあーちゃんにも伝播したらしく、力強く頷いて返してくれた。
「ッッ――――!」
何度目か忘れた雄叫びが共鳴する。
その振動にニヤッと悪戯小僧のような笑みを浮かべて、薄汚い魔獣に向けて指を突き出す。
「その汚ねぇ声、負け犬の遠吠えに変えてやる!」
若干上手いことを言ってそのまま突き出した右手をパーに広げる。
まだまだ鳴り響く叫びは白翼の手によって凶器に変換することができるのだ。
開いた掌をぐっと握り音波を操作する。
振動数、振幅、波長などの音の要素となる波を操って化け物を牽制する。
白翼が増幅させた音波は、魔獣の六つの耳元で爆音へと変わり、その鼓膜を爆発させる。
「――ッッッッ‼︎」
痛みに悶絶した猛獣が甲高い音を撒き散らして暴れ始める。音と同時に合計六つの耳から、濁った鮮血も飛散した。このように牽制することにより、相手の思考回路の一部に乱れを生じさせることができる。
隙ができた今、敵の目前まで接近して直接叩くことができる。
チャンスを前にした白翼は、迷うことなく魔獣に向かって猛進した。そのまま大きく跳躍し、一つの頭の前に躍り出る。
暴れる体に注意を払いながら、その喚く獰猛な魔犬の顔目掛けて拳を振るう。
彼女から見て最も右の頭に向かって放たれた拳は空中で停止しており、物理的なダメージは一切入っていない……。
だが、その勢いで発生した捻れる爆風、強力な風圧が一頭を襲う。
「ッッ!――」
「――――ッッッッ‼︎」
餌食となった一匹が今までにない声を上げて身を暴れさせる。それに連鎖するように他の二つまで叫び、白翼達と反対の方向を向いた。
痛みと襲撃から逃れるために彼女に背を向けたということだ。様子を伺ってみたが、どうやらこれでは火力が足りないらしい。更に追い討ちをかけて、せめてひとつの頭を失神させたい所だ。
「逃げんな!」
巨軀を器用に回して尾と背の蛇の大群を見せた魔獣に吠えて、回り込もうとする。
巨体のくせに身動きを取るのが早く、半回転を終えた頭はかなり離れた位置に移動していた。元々天井ギリギリの位置に頭を構える魔物、飛んで跨ぐことはできないため周りを回って行く必要がある。
…………?
「……天井……!」
「……っ!――お姉ちゃん‼︎」
自分の任務は無いかと只々観戦紛いの直立を続けていたあーちゃんが、不可解な行動を捕えて警告する。
「っっ! あぶっ――。……」
ドラゴンの鱗で覆われた硬質の尾が白翼目掛けて斜め上から叩きつけられ、爆発音が鳴り、火や土煙が舞い上がった。
あーちゃんの視点からは途中で白翼と尾が重なり、姉の状況が目視できなかった。故に、間に合ったと思いながらも心の底での心配が絶えない。
「お姉ちゃんっ!」
唯一の家族を案じ不意に叫ぶ。
「――ッッ!」
白翼の波動攻撃を浴びた頭が強く雄叫びを上げた。
その音が意味するものは、倒した喜びか、はたまた逃した悔みか……。
「……。――危なかった」
「――! お姉ちゃん……良かったの」
あーちゃんの真横に突如少女の姿が現れる。まるで今まで透明化していたかのように。
声すらも返ってこないことに募っていた不安は唐突の一言で吹き飛ばされた。
この能力の事象は姉妹ともにある程度理解しているので、互いに詳しく語ることはない。
「ギリギリ間に合ったんだ。それよりあーちゃん、あいつの頭を天井にぶつけようと思う」
激しく甲高い奇声を振り撒きながら攻撃として外れた尾を再度持ち上げる魔獣を指差す。
休憩のつもりなのか、攻撃手段を尻尾のみに変更してきた魔犬。その攻撃を2人同じ経路で回避しながら会話を続ける。
「天井と床の深さを測るから、5秒ずつ欲しい」
「わかったの」
方法ではなく、下準備の助力申請のようだ。互いにただ短くそうとだけ伝えた。
白翼の能力から、天井に衝突させることも、天井と床の高さ深さを計測することは容易いこと。それは姉妹として当然共有済みである。
そこにあーちゃんの能力の手助けも加えて戦う。
まさに姉妹の共闘となる。
2人並走してなんとかケルベロスの前足の側まで接近する。どんな攻撃方法も想定できるこの場で、白翼はサッと蹲み込んだ。
「んっ……」
「…………」
あーちゃんが目を光らせてバリアを展開。それと刹那の間もないほど早く、白翼がコツンと地を叩いた。
熱どころか微量の溶岩が稀に湧き出る岩。触れば熱い程度では済まない熱量だ。
いくら辛抱しても火傷しそうなその暑さを我慢して5秒。
「下はオッケーだ」
白翼の合図で能力を解除する。
5秒のうちにバリアは都合二度も殴られた。
一度は一つの頭からの噛み砕き。一度は右足による踏み潰し。どちらも軽減しようとかなり衝撃が響く一撃だった。
次は天井の上の高さの計測。
天井までの移動の間に数度にわたる追撃が襲ったが、華麗に舞うように回避し、なんとか行き着いた。
羽を広げ、宙で浮遊したまま姉妹は能力を展開する。
先と同じ容量で作業を終え……
「……上も問題ない」
結果報告すると、能力を解き切っていないあーちゃんを捕まえて地面に特急した。その勢いと衝撃に驚いてバリアは解除されたが、特に反動のような後遺症は見当たらず、良好な状況だった。
天井も床も、そして敵も味方も異常なし。
これで実行に移せる。
ケルベロスの正面10メートルほどの距離に佇み、ニヤッと笑う。まるで悪戯好きの小学生のような笑みだった。
一度軽く両手の握り拳をぶつけ合わせる。スピードを出すと痛いので、軽くちょこんとだけ。
「ッッッッ‼︎――‼︎」
「っしゃ! 歯ァ食いしばれや!」
目の前で挑発してくる餌に釣られた獰猛な魔獣が威嚇に近い遠吠えをして、暴力が振るえるように威勢よく飛び出して来た。
その無能な珍獣の首に叫び返してやる。
ガンッ、と右足を強く地面に叩きつける。
以前神本宅前でしたようなポーズをとり、あの時よりも強気で踏み込む。
高が少女1人の力ではその行動一つに大した意味はない。しかし、ここは異世界、彼女は能力者。
その衝撃波を巧みに操り爆発的な威力に増幅させると、足元が劇的なまでに爆ぜた。そんな事態にも怯まず魔獣は迫って来ており、白翼を喰らおうと飛び掛かる。
その巨体が自ずから軽く浮いた刹那――
「ッ――――。――――。…………」
突発的な地面の隆起現象にその体重が天井の土の板に押し付けられ、圧迫される。
その突然の事象に大声を出す暇もなかった。
三つ首が天井に埋まり、悶え、四足をかき回して暴れていた。その、哀れで無残な様子を眺める暇もどうやらないらしい。
「お姉ちゃん――」
「オレはいい、自分だけ守れ――」
いくら上手に頭を埋め込んでも、あの巨体はいずれ地上に落下し、それと同時に瓦礫が雪崩れてくる。その危機から姉を守ろうと足を動かしかけたが、当の姉に拒否された。
互いの逃れ方は、両方とも熟知している。軽く首肯すると、あーちゃんは自分の周囲に薄く見えない膜を展開し、白翼は一瞬にして姿を消す。
そこで、予期していた通り天井が崩落した。
「お姉ちゃん!」
もはや無意識とも思えるいつもの叫び。
「……」
崩壊が収まったことを確認して瓦礫の山に近寄ると、辺りをキョロキョロと見回す。
姉側から姿を見せなければ、決してあーちゃんが見つけることはできない。
すると、瓦礫が僅かに揺れてコロコロと小さな石が少女の足元に転がって来た。
ハッとして叫びが口をついて飛び出た。
「お姉ちゃん!」
「ッッッッ‼︎」
喜び、姉の下に駆け寄ろうと一歩踏み込んだ瞬間、悲痛で無情な唸りと共に魔獣が瓦礫を粉砕して飛び出して来た。初めから狙いをつけていたように、速攻で右腕をあーちゃんに向けて投函した。
突発的アクシデントの恐怖に反応できず、バリアの展開も間に合わなかった。故に、彼女が取れた行動は人間の反射という本能。両手を顔の前に構え、ぎゅっと目を瞑った。
「あーちゃん!」
「きゃっ!」
その声と共にあーちゃんは吹き飛ばされた。
そして、その後を追ってバンッ、という鈍い音が響く。
「ったた……。――! お姉ちゃん!」
意識がしっかりとした状態で、擦りむいたような痛みを感じる。斬撃の直撃は免れたようだ……しかし何故、と向けた視線の先に姉がいたのだ。
その姉は、振り下ろされた手を、爪に突き刺さらないように右の拳で受け止めていた。
「がぁっ……だい、じょぶだ」
右腕の骨が粉砕される暴力。その衝撃を全身を介して地面に流すと、地がバキバキと音を立ててひび割れていく。
最善の方法は、この際に衝撃波をそっくりそのまま相手の腕に返す事だが、それにはそれなりの集中力と魔力を必要とする。この場では地にエネルギーを流すしかできない。
もう一つの能力で避けようにも、固有魔法の二重展開は不可能。この波動操作の能力を解いた瞬間身体が粉々になる。
「ぐっ……ぁっ……!」
全ての衝撃のエネルギーは飛散したが、受け止め続けている腕の圧力がどんどん強くなる。このまま押し潰してしまう気だ。
「お姉ちゃん――!」
その衝突の最中、影の下にあーちゃんも潜り込んだ。
「――――」
そこで再びバリアを展開し、姉を守る。
「……悪い」
その助けに甘えて加えていた力と魔力のエネルギー循環の力の両方を緩める。体への負担が一気に軽くなり見違えるほど行動が楽になる。
「――!」
「ひゃっ!」
バリアを張ってくれているあーちゃんを抱えて即座に影の中から飛び抜けると、それなりの距離を取る。勢い余った魔獣の右腕は地面を殴り、砂埃と僅かな溶岩を散らした。
「はぁ……………はぁ……くそっ」
多大な負荷に息切れしている白翼。最後に悔しむような文句を投げて額の汗を、血が滲む右腕の袖で拭った。
無意識に利き手を使ったため、額が余計汚れたことに気が付いていない。
「あれでまだ生きて…………あれ?」
不安な目で姉の横顔を見つめた後、作戦の失敗に魔獣を見直すとそこで初めてある事に気がつく。
「ああ、あと一つだ」
そう、作戦は決して失敗ではなかったのだ。どちらかと言えば成功に近いだろう。
三つのうちの両脇の二つの頭は脳震盪により気絶。センターの一頭は無傷のように見えるが、相手の戦力は減らせた。
「でも……真ん中の奴は、他より、タフっぽい。さっきのじゃ、威力が、足りねえ」
切れ切れに紡がれる言葉。まだ呼吸が整っていないらしい。
この様子ではさっきと同じ強さの衝撃は与えられない。
「……」
一つ発想があるが、それを実行するか躊躇う。実行に移すには、まずあーちゃんが必要不可欠。彼女に無理を強いることだけはしたくない。それが姉というものである。
「――? お姉ちゃん、私はなんでも協力するの」
姉の憂いに曇った表情の真相を感覚で突き止め、自分の意気込みを曝け出す。
「……そうか、ありがとう」
一度笑う。
追撃を止めない暴れ犬は、ここでも腕を振り下ろし、牙を突き刺そうとしたりと実に荒々しい。
そんな攻撃を交わしながら次の作戦を提案する。
「あーちゃんのバリアで突進しよう」
「ええっ‼︎」
さっきの強気な一言の後にこの仰天ぶりである。
そこが可愛い妹なのだが……。
「でも私、そんな早く走れないし飛べないの」
不安要素はその点らしい。
確かに、皮膚が分厚そうな巨獣を気絶させられる威力の突進にはそれ相応のスピードが必須条件となる。そして、その俊足に程遠い自分には到底届かない光である。
「そこはオレがサポートするから安心しろ。それより、攻撃威力最高削減率でのバリアの展開直径と展開時間はどれくらいだ?」
方法については暴露せず、相手側には詳細を問う。
少し卑怯感があるが、あーちゃんは信頼のもとに迷うことなく頷いてこう答えた。
「100分の1に削減して直径2メートル、起動時間は5秒なの」
「十分だ。反射材は無しで頼む」
あーちゃんの不安ながらもハキハキとした物言いに、満足そうに二度三度首肯した。厚い信頼と親切心に大層感謝しながら、早速行動に移す。
「ッッッッ!」
聞き飽きた魔物の爆音。
その声を最後の音にするべく壁際にかける。
覚醒した一頭が全力で突進してくるのが見える。
「あーちゃん、そこの壁に突進だ。バリアは壁に激突する瞬間に展開してくれ」
数メートル先に見える壁を指差し、そう指示する。
「分かったの」
疑うことなく承諾すると、羽を広げて空を駆けながら壁に猛突進する。その勢いは大したものではなく、やはりそれだけではなんともならないスピードだった。
白翼の正面には壁に向かうあーちゃん、後方には首を狙うケルベロス。丁度一直線上に3人がいた。否、白翼がそう設計したのだ。
間もなくあーちゃんが壁に衝突する。
「ッラァっ!」
タイミングを見計らい、さっきと似た形で地を強く踏み込む。そこから波を起こして正面にある壁まで伝わせる。
全神経を集中させ、一点が隆起するように操作する。
但し、爆発するような勢いで隆起し、あーちゃんのバリアに勢いを持たせなければいけない。波を一点に凝縮する。
あーちゃんがバリアを展開した。
「――――」
瞬間、バリアを纏った銀髪の少女が、勢いよく打ち出された。
想定のスピードを遥かに超過した勢いに目で追う暇もない。刹那の間もなく魔獣ごと正反対の壁に激突した。
覚醒した一頭を襲った見事な大打撃。あまりの衝撃にケルベロスも白目を剥き、悶絶する間の意識も残らなかったようだ。
白翼の能力にしても出来過ぎだ。あーちゃんが上手にタイミングを合わせて方向転換してくれたのだろう。
崩れ掛けていた壁が砕け散り、辺りに飛散する。
急ぎ足で現場に駆けつけ、妹の容態確認をしようとする。
「やったの……」
砂煙の中から、影が差してくる。
その影は小さく笑いながら可愛らしいVサインを見せてくれた。そんな妹の姿が見える程砂埃が消え失せた時、背景には三つ全てが白目を剥いた負け犬の姿があった。
「はは…………、やったな」
互いに健闘と貢献にご満悦の様子。
「疲れるが、悠斗たちを追うぞ」
「うん」
せっかちにも疲労の蓄積した足をできるだけ早く回しながら通路に入る――直前。
一閃の光が姉妹の脇を通り過ぎる。
そして、その後巨大な爆発音が真横から鳴り響き、強烈な爆風に吹き飛ばされそうになる。
「きゃあっ‼︎」
「なぁっ!」
正確に起きた現象を確認することはできなかったが、横で轟々と燃える魔獣を見れば分かる。
そして、それを悟ると同時に2人にとって忌まわしき存在が反対の通路からコツコツと足音を立てて乱入してきた。
「ストップストップ――」
「――お前たちはここで――」
――――。
「「――俺[僕]たちによって処刑されるんだ[ですよ]」」
2人の試練は、今、幕を開けたのだ。




