表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
神の名のもとに〜異世界と現実の狭間に生きる〜  作者: 麒麟燐
第一章 人生開幕編
45/117

第四十五話 合鍵を作る


「あ、折角だから僕達の家の場所教えておくよ」

 司が校門まできたところで無用な気を回す。

「いや、別に行くことないし」

「一応そっちの方が都合がいいかもしれないでしょ?」

 悠斗が司の示した方角と真逆の道を向くと声量を上げて強く引き留めた。

「……はいはい」

 無理やりにでも連れて行かれそうなので渋々案内される。

 そのまま会話が弾むこともなく5分ほど歩くととあるアパートに到着し二人が足を止めた。


 だが、アパート前では何も語らずに階段を上り始める。よく見る形の階段を使用して4階まで辿り着き、403号室前まで案内する。標札にはただ『宮園』とシンプルに記されていた。

 そこでも何も言わずに鍵を回すと、ガチャッと扉が開いた。

「入って」

「何で」

 予測していた催促に少し怒り気味に返す。未だに先の話し合いのしこりが流れ切っていないようだ。

「能力の話と渡すものがあるんだ」

「……」

 それを言い訳にされると弱る。

 頭を掻き毟ったあと強く床を踏み玄関にお邪魔した。

「邪魔するぞ」

 玄関で靴を脱ぐと一応丁寧に揃えたあと司に連れられリビングまで入る。とは言ってもそこまで広い家ではない。

 食卓用のテーブルともう一つ小さいテーブルがあったが適当にどこかの椅子かソファにかけるよう言われたので、重い腰をやっとの思いで下ろした。


 司は自分の部屋と思われる一室から何かの型を取り出してくると小さなテーブルの方の中央へ置いた。

「で、これは何だ?」

「僕の家の鍵の型だよ」

 そう、司が持ち出してきた謎の型とは鍵の型だ。いかにして作ったかは別としてそれが何の型かは一目瞭然だった。

「それは分かる。これがどうしたのかって話だ」

「悠斗くんたちにも合鍵を渡そうと思ってね」

 まあそれ以外にないだろう。だがその理由が分からない。

 何の所以があってその結論へと至ったのか皆目見当がつかなかった。


「何で」

「この先そっちの方が便利だからね。悠斗くんの家の鍵も貸して欲しいんだけどどうかな?」

 この先便利と言われても……、まるで何か起こる事を察知している様子。本当にこんな奴より俺は能力が高いのか?と前言撤回を求めるレベルな相手だ。

 そして鍵を借りたいという事は神本宅の鍵の複製か型をとるということだ。


「……お前ら二人にはまだ何とも言えんが、こいつらにはやってもいいぞ」

 宮園兄妹を顎でしゃくったあと取り巻きにいた居候たちを手で示す。悠斗もそろそろ合鍵製作の申請に出向こうとしていたところだ。勿論申請相手はこんな変人ではなく一般会社である。

「と、言っても型取られたら終わりか……。しゃーねーな、んじゃ取れば」

 制服ズボンの右ポケットから家の鍵を引っ張り出すと乱暴に机に叩きつけた。

「ありがとう。少しかかるからそこら辺で待ってて」

 絨毯の敷いてある一帯を目と腕で示すと自室に一人で消えていった。唯から絶対に入るなと念を押されたので適当にスマホでも弄って時間を潰していた。


 待ち時間、風が窓を叩く音がよく響いた。


 15分ほど経つとやがて司が出てきて大量の鉄でできた鍵を机に並べる。

「はい、これが悠斗くんの家で、こっちが僕の家。見た目が違うから間違えないよね」

「じゃあ帰っていいか」

 一目確認し兄妹を一瞥すると勢いよく立ち上がる。

 提出された鍵を全てまとめて握り締めると胸の内ポケットに思いっきり突っ込んだ。

「せっかちだね。まあいいんだけど」

 司が呆れ顔を隠すように笑った。唯はずっとツンツンとしていて気掛かりだったが特に指摘することもなく今回は帰宅した。

 


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ