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女子会!

「ちょっと、ここねちゃん。これからひかりのナイスバディについて話し合おうと思うの」


「了解ですゆいさん。ちょうどわたしも話したかったところなんです」


「いきなり何言ってんのかなー」


 駅の改札口でわたしたちは集合することにしていた。それにしても到着した瞬間にそれを話し始めるって悪意しかないでしょ。

 今日は休日。ゆいの『お買い物しに行こー』という一言でこうして集まったわけだ。

 もちろん杉本くんも誘ってみた。そういえば休日に遊んだことがなかったからだ。唯一買い物途中で巡り会ったことはあったけどあれ偶然だし。

 そしてこの一言。


『あ……ごめん無理』


 ゆいやここねんのことをちらっと見てから言ったから女子の中に入るのに気が引けたのだと思う。そう信じたい。いや、さすがにダルいからみたいな理由ではないでしょ。そうだったらわたしのメンタルというか彼女としてのプライドがぶち壊れる。

 と回想していたらゆいとここねんがグイグイと近づいてきた。


「ねえ、ひかりはどういう生活してたらそんなワガママボディになれるのかな?」


「そうですよ師匠。少しは教えてください。どうやったらそうやって大きくなれるのか」


 とか言われてもわたし自分でいい体してるとか思ったことないし何かを心がけたこともないんだけど。

 まあそれらしいことを言っておこう。


「……よく寝ること?」


「あー出た出たそれっぽいあるあるのやつ」


「それは嘘です! わたしいつも九時すぎには寝てるんですから!」


 盛大に叩かれた。うん、たしかにここねん泊まりに来た時も十時になる前には寝てたね。どちらかというと起きられないって感じだったけど。睡眠のことを言うのは悪手だったかも。


「私が聞きたいのはそんなんじゃなく。どうやったらそうボインになるのか、だよ」


「その通りです! それは背を伸ばす方法です!」


 ここねん早く寝て背は伸びてると思ってるんだ。

 と、いいますかね。わたし本当に何もしてないんですけどね。たしかに高一では出っ張ってる方だとは思うけどそれはたぶん成長期云々が早かっただけじゃないですかね。


「時が来るのを待つ?」


「それでボインになるなら世の中に貧乳はいねえ!」


 必死の形相でゆいに怒鳴られた。


「時……そうですよね、わたしにトランスフォームする瞬間はいつか来ますよね!」


 ここねんはよくわからないけどとにかくは納得してくれたらしい。

 そしてこの二人の声が大きいからかなり注目されてしまっている。目線が……恥ずかしい!


「そ、それは置いておいて早く買い物行かない?」


 わたしはその場から逃げるようにゆいとここねんを引きずっていった。


 しっかりと駅から距離を取ったショッピングモールに入ってからわたしはゆいに尋ねた。


「……でさ、今日は何を買いに行くの?」


 買い物行くぞーって言ってるんだから何かしら目的のものはあるはず。別にぶらぶらって歩くのもいいけどね。


「水着」


 季節感を完全無視できた。


「……冬突入してるんだけど」


「雪で遊ぶとき用だよ」


 あ、ということなら需要はあるか……?

 いやいや。


「これはツッコむべきところだよね。そんな格好で雪遊びしたら三秒で凍りつくよ」


「師匠。中に水着を着ていれば雪で濡れても大丈夫ということですよ」


 ここねんは自信満々に親指を立ててくる。


「いやそれでも意味わかんないんだけど」


 そもそもそこまで濡れないよ。コートとかでバッチリガードするよ。水着が役に立つほど濡れたらもう確定で風邪ひくよ。


「あっそう。じゃあ下着」


 ゆいは適当な調子で目的のものを変えた。


「ねえゆいはわざとなの? わざとだよね?」


「ついに師匠のサイズが明らかに……ゴクリ」


 ここねんは鬼気迫る表情で喉を鳴らした。


「そういう魂胆かい」


 わたしはため息をついた。この子たちはどうもそうまでして必死なんだ。


「じゃあ行く?」


 まあ二人が行きたいのなら止めるのもやぶさかだろう。わたしは下着売り場へと足を進めようとした。

 が、ゆいがわたしを引き止めた。


「いや、いいや……知ってしまったら心が折れる気がする……」


「なんやねん!」


 思わず関西人でもないのに関西弁みたいのが出てしまった。

 するとここねんがちょいちょいと体をつついてくる。


「あの……喉渇きました。お茶にしません?」


 それなんとなくお茶したまま時が過ぎてしまいそうな気がするよ。


「でもせっかく買い物に来たんだし何か見てから」


「そうだー、そうしよう」


 買い物の言い出しっぺが賛成した。


「……とことんぐだぐだ!」


 計画性なさすぎやしない!?


 とは言ったものの。

 来てみると来てみたで。


「落ち着く……」


 わたしは椅子に沈み込みそうになりながらストローを啜った。コーヒーの苦味とクリームの甘さが上手く溶け合っている。


「そういえばさー。買い物っていうのは建前で実は遊びたかっただけなんだよね」


 ゆいがいきなり大事なことをカミングアウトしてきた。


「それならそうと言ってくれれば……」


「だって、それだと杉本くん来ちゃう気がしたから」


「え……?」


「私はさ、女子だけで気兼ねなく遊びたかったわけよ。だから買い物っていえばたとえひかりが誘ったとしても大丈夫かなって。まあ、買い物の同行者全員女子だったら気が引けるよね。どこぞのハーレムだっつの」


 それに、とゆいは恥ずかしそうに顔を逸らした。


「……ひかりが杉本くんといたら、私たちの入る隙がないじゃん」


「ゆい……」


 そっか、ゆいだって寂しかったのか。今までずっと一緒にやってきたわたしが杉本くんと一緒になってしまって。


「ゆいー!」


 わたしはゆいをぎゅっと抱きしめた。


「そこまで思っててくれたなんて。わたしもゆいと遊びたかったよ。これからもずっと友達だよー!」


「ちょっ、ひかり! 近い近い!」


 結構本気で叩かれたのでわたしは腕を離した。

 ゆいは恥ずかしそうに赤くなって明後日の方向を向いていた。


「あのー……実はわたしもいるんですけど」


 ここねんが自分を指さして目をキラキラさせながら何かを待つようにこちらを向いていた。


「ここねんはいつになってもここねんだよ。よしよし」


「うー……期待してたのと違う……」


 撫でてもらいたいのかと思ったら不本意そうな顔をした。ここねんを前にすると撫でたい衝動が湧いてくる。同級生にこんな感情を抱くなんて初めてだ。……いや、ここねんの場合同級生(?)になるか。


「じゃあ、これからどこか行く?」


「違うんだよひかり。遊ぶといったって遊園地とかじゃないんだよ。この女子だけのメンバーでやることといえば」


 そこでゆいは自分の飲み物を飲んでから、


「女子会だよ」


 自信満々にそういった。


「女子会っていっても、女子だけで集まってる時点で女子会ってことにならない?」


「違いますよ師匠」


 わたしのもっともだと思う正論はここねんに反論された。


「たしかに女子で集まれば女子会です。ですけどそれは女子会じゃないんです。みんなでおしゃべりしてキャッキャウフフするのが女子会なんです!」


「その通り!」


 二人とも女子会に気合い入ってるなあ。熱がすごい熱が。


「というわけで動くのが面倒くさくなったのでここで女子会しましょう!」


 結構なこだわりがあるのかと思いきや動くのが面倒くさくなったのでって言っちゃってるじゃん。


「やっぱり出だしは恋愛ですよね。師匠、杉本くんとの進展はどうなんですか?」


「私も気になってた。あなたたち表に出さないけど実は結構進んでたりして」


 いきなり話を振られた。うーん、進展といった進展はあまりないんですけど……。


「手は繋いだよ。って、ゆいはなぜか知ってたんだっけ。それと……間接キス、した」


「へー。ハードル上げといてなんだけどてっきりひかりはあのあと全く進展がないとばかり思ってた」


 ぐっ、否定できない……。あれも運が良かったとしか言えないし。


「間接キスって、いつですか!?」


 いや、ここねんは居合わせたよね。本当にわかってなかったのか。


「たまたま、スプーンで……」


「え、ペットボトル的な軽いやつじゃなくてしっかりしたやつじゃん!」


 ゆいは顔を驚きで満たしていた。

 で、ここねんは。


「あ、それならわたしも師匠としましたよ、間接キス」


 話をややこしくしていた。


「本当に!? 何それ羨……どういうこと!?」


「普通によくしてますよ。ほら今だって」


 ちゅーと音がしてたと思ったらわたしの飲み物を飲まれていた。


「なに勝手に飲んでるの!?」


「いいじゃないですか。わたしのもあげますから」


「じゃあ私のもあげるからちょうだい!」


「ちょ、ちょっと!?」


 このあとめちゃくちゃ飲みあいっこして、大いに盛り上がった。

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