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神様の箱庭  作者: ななる
19/20

Pre-Z-18:レマイア・オラトリオ⑤



レマイア・オラトリオ


☆前回までのハコニワ☆



かむい「ここで神様らしく人間が悩んでるちっぽけな悩みを、パパっと解決することで……」


ゴーレム「ゴオオォォォオオオオオオオっっ」


かんな「……パパっと?」


かむい「……うるさい」



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



レマイアに突如現れた巨大なゴーレム。

その体躯はゆうに十メートルは超えています。瓦礫でできたちぐはぐな体ですが、そう簡単には崩せそうにありません。


「エクシティマ・ゴーレム?古代魔法?なんでそんなものがここに?」


「わからない。少なくとも並大抵のことではないな。……まさかAが保有している古代文献と同じものがあるわけでもあるまい」


かむいさんはそういうと、何か考えるように「うーん」とうなって俯きました。


ゴーレムは何を探しているのか周りをキョロキョロ。大きな体のわりに首周りの動きがとても速いです。不思議。


「かむいさんかむいさん。あのゴーレムなんだかキョロキョロしてますよ。……あ」


ゴーレムと目があいました。意外とつぶらなお目目。……じゃなくて!!


ゴーレムは私たちを捕捉したとたん、ものすごい速度で殴り掛かってきました。


「かむいさんかむいさん!ゴーレムっ、ゴーレムがぁっ!!」


「……まあ、いいか」


そう呟いた後、かむいさんが指をパチンと鳴らすと瓦礫のゴーレムは見る見るうちに崩れて元の瓦礫に戻りました。


あっさり。昨日食べたサラダチキンよりもあっさりです。


そう私が目を丸くしているとかむいさんはにやっと笑って、


「どうした?そんなに目を丸くして。あれぐらいよゆーよ」


とえっへんのポーズ。

私が素直に拍手を贈っていると、流石に照れたのでしょうか、かむいさんは少し顔を赤くして「ほら、さっさと行くぞ」。


……そういえば、かむいさん、よくAさんの部屋でこっそり古代文献を読み漁っていたような。もしかしてたまたま見ていたところが役立った、とか?


まあ、そんな余計なことは言いません。

黙ってかむいさんの後に続きます。


まっすぐ進んでたどり着いたのはレマイア名所の監獄、その入り口。

その壁、高さ十五メートルは優に超えています。エクシティマ・ゴーレムよりも高いです。頭おかしい。

おそらく壁の向こうは庭があり、さらに進んだところにもう一つ建物があるのでしょう。塔の先が少しここからでも見ることができます。


「無駄に分厚い扉だな。押したら開くのか?」


ぶつぶつ言いながら何の躊躇もなくかむいさんが扉に手をかけると、扉はギギギと言いながらゆっくりと開いてゆきました。


「うわあ……」


先に中をのぞいたかむいさんが顔をゆがめて声を漏らします。

私も続いて中をのぞくと「うわあ……」。


青い空、広い庭、というより運動場。そしてそこにはエクシティマ・ゴーレムがうじゃうじゃいっぱい。

100体はいるでしょう。所狭しと肩を寄せ合っています。


かむいさんがパチンと指を鳴らすとその七割くらいが一瞬のうちに瓦礫と化しました。

もう一度パチンと鳴らしさらに七割、またパチンとして残った七割……残り三体。


もう一度指を鳴らそうとしたところで、なぜかかむいさんは腕を下ろしました。


その瞳はなぜか涙ぐんでいます。


「もう俺いやだよぉ……なんかひどく残酷なことしてるみたいで……俺、悪くないよな?」


「は、はい……たぶん……確かに残酷ですが、悪くはないと思いますよ、ええ……たぶん」


なんと巧みな作戦でしょう。ここにきて精神攻撃で追い詰めてくるとは。侮りがたし。


これ以上かむいさんに攻撃させるわけにはいきません。ここは私がどうにかしないと。


残った三体をよく観察していると、さっきまでのゴーレムとはどこか形が違います。

かむいさんもそれに気がついたようで、よく目を凝らして三体を観察しています。


「あれは……エクシティマ・ゴーレムMk.2だな。エクシティマ・ゴーレムの破壊方法が一般的になったころに開発されたが体の丈夫さと引き換えに元の気性の激しさを失い人畜無害となったためその多くが廃棄となった……悲しきゴーレム」


なるほど。だからさっきから特に攻撃も何もしてこないのですね。


「あれは無視しても大丈夫だろう。さ、次いくぞ」


まるでさっきまでの事がなかったかのような様子でかむいさんがすたすたと進んでゆきます。

……考えるだけ無駄ですね。そのまま私もついて監獄建物内へと入ってゆきました。



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