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神様の箱庭  作者: ななる
17/20

Pre-Z-16:レマイア・オラトリオ③



レマイア・オラトリオ


☆前回までのハコニワ☆



かむい「そしてまた年を明け……」


かんな「ええ。そうですね。……はい、もうしりません」


かむい「あ、あー……なんとかレマイアに入れたかんなだったが、まさかレマイアでは戦争が起こっていた!混乱する中、かむいと合流。さあ、どうなる……!?……はい、続き始まりまーす」



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



がれきの壁に身を潜め、かむいさんが外の様子を伺います。

かむいさんは「ふう、」と胸をなでおろすと私の方を向いて腕を組みました。


「……で、お前は何でこんなところにいるんだ?」


がれきの外ではまだ銃の音や悲鳴などが轟いています。

私はその音にかき消されないよう、努めて大きな声で説明しました。


「Aさんが糸コンニャ──」


ドーン。


「──べたいって言うので、糸コンの聖地と呼ば──」


ドドーン。


「──マイアに私がお使いをす──」


バキューン。


「──になって、道を間違えてしまったので──」


ドルギュンギャーン。


「──たがないので、壁から──」


ボッシュボッシュズドドーン。


「──というわけです」


「なるほど、わからん」


かむいさんははあ、と浅くため息をつくと、私のおでこに手をあて、私の前髪を上げました。そしてそのまま自身のおでこを私のに接近させて――


「え!?な、なに!?なんなんですか!?」


「うるさい、じっとしてろ」


ぴと、と接触。


おそらく時間にして五秒も経ってなかったと思いますが、私にとってはもう何時間も経ったかのように感じました。かむいさんは私から離れると「……なるほどな。Aめ、また厄介ごとを押しつけやがって」と舌打ち。私は顔があつくて、その場でへちゃ、と座り込んでしまいました。


「大体わかった。俺も似たようなもんだ。Aにそそのかされてここに来たんだよ」


「そそのかされた?」


「ああ。今日このレマイアでとある祭りがあるっていってな」


お祭り……

そう言われて外の様子を見るも、それは祭りとは遠く離れた地獄絵図。


少し落ち着いてきたので、立ち上がってかむいさんに聞きました。


「でも、今のこのレマイアは……一体何が起こっているんですか?」


「見た通りだ。……戦争だ。いや、正確に言うなら、内線、あるいは紛争か。闘っているのは獄官とレマイアの住民。今日で四日目になるな」


もう四日も……

町だったものを見て、言葉を失います。


「きっかけは住民側の反逆。レマイアという町は少し特殊でな、でっかい監獄があるのは知ってるだろ?あの監獄が行政もすべて行っているんだよ。中でも監獄長を代々務めるプリズン家がほとんど実権を持ってて、この町でプリズン家と言えば神にも等しい存在だった」


神……全身水色のAさんが頭をよぎりました。


「そうして生まれたのは神とは程遠い悪魔、グリーチャー・プリズンだ。奴が監獄長になった途端、町の治安は悪化し、その上税金も今までの十倍に跳ね上がる。何か文句を言えば、近くの獄官にひっ捕らえられ、監獄送り。あとは奴隷のように働かされる。こんな毎日が何年も続き、町では獄官が我が物顔でふんぞり返り、住民たちは身を粉にして働く。……で、もう耐えられるか、ってこうなったってわけだ」


不思議に思ったのが顔に出ていたのでしょう、かむいさんは怪訝な顔で「なんだ?」と聞きました。


「いえ、その……なんで住民さんたちは今更になって戦おうとしたのかなって、不思議に思って。何かきっかけとかなかったんですか?」


かむいさんの説明の最期の方がやけに雑だな、と思ったのですが、そういうときっとすねられてしまうのできゅっと口を結びました。私、えらいです。


かむいさんは私の質問に何か迷っていたようでしたが、やがて何かをあきらめたように、頭を掻きながら答えてくれました。


「まあ、どうせ後でわかる事だからな。かんな、お前、この町のとある信仰について知ってるか?」


「ええと、何かの神様を信じてる、っていうくらいですが……」


「そうだ。それでこの町では100年に一度、その神様を祭る神事が一週間にわたって行われる。それがこの四日前からなんだ」


四日前……たしかこの紛争が始まった日です。


「伝承ではその祭り中に神様もひょこっと町を訪れるとされ、きっと神様も味方に付いてくれるだろう、そう住民たちが願って始まったのが、この紛争だ」


なるほど、神様を味方に……


「で、その神様というのはいったい?」


かむいさんはよくぞ聞いてくれたとばかりに胸を張り、えっへんのポーズLx.3を繰り出しました。

そして、親指を立て自身の胸に向けて──


「それは他の誰でもなく、こ・の・おr──」


ドーーン。


「──だ!」


おっと、かむいさん、我神宣言を大砲に邪魔され見る見るうちに顔を赤らめてゆきます。

おいたわしい、おいたわしいですかむいさん。


ここは私が何かフォローをしなければ。


「……わー、そーなんですかー、すごーい」


「ぐふっ」


「あ、かむいさーんっ!」


かむいさんはその場に倒れて動かなくなりました。

しまった、フォロー失敗です。




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