Pre-Z-11:君がための青い目の剣士(10)
君がための青い目の剣士
☆前回までのハコニワ☆
激戦。
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飛び交うナイフと一本の剣。
鈍い金属音が辺りに響く。
目の前の激闘にかむいはどうすることも出来なかった。
赤瞳からはさっきの余裕も消え、その表情を見るに苦戦しているようである。一方、青瞳は顔色ひとつ変えず丁寧に攻撃防御を続けている。
いつも覗いていたかむいは知っていた。
この男は自分よりもずっと強いということを。
──あ、月が満ち始めた。月食が終わろうとしている。
「いぎゃぎゃぎぎぎぎゃぎゃががががあはがははあぁあっ!」
赤瞳が苦しみ出した。七つのナイフが怪しく光る。
「ぎぃっっ!」
声とともに再びナイフが放射される。
青瞳は瞬時にいくつか弾いたが、ひとつだけ逃してしまった。
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「え?」
ナイフが飛んできます。一直線に、ここに。
慌てる間もなく飛んできます。
私は怖くて、動けなくなって、目をつむりました。
そして思ったんです。これは罰だと。
自分の我が儘で沢山の人を巻き込み傷つけた罰なんだ、と。
バタンっ──人の倒れる音。
「あれ?刺さってない?」
目を開けると目の前にかむいさんが倒れています。
「かむいさんっ!?」
「はは……かっこつかねぇな、ホント……よかった、無事で……ゴメンな……」
息が荒く苦しそう。脇腹にナイフが刺さっています。
「そん、な……どうして?」
どうしてこんな結果に?嫌です。こんなの、嫌です。
助けてよ、Aさん……!
「うぎいいいいいいあひい……はは……ははははははっっ!」
赤い瞳の人が倒れたかむいさんを見て弱々しく笑っています。
彼もまた限界なのでしょう。
そして──
「やああああっ!」
青い瞳の人が声とともに一突き。赤い瞳の人の喉元に刺さり、そのまま彼は倒れました。
「え……?」
どういうこと……?
倒れた赤い瞳の人が赤く光ったかと思うと、そのまま形を変え、姿がナイフに変わりました。
青い瞳の人が何も言わずそれを回収しています。
いつの間にか、月は元の満月に戻っていました。
「君!怪我はないかい?」青い瞳の人が駆け寄ってきました。
「かむいさんが……かむいさんがっ!」
「これはひどいな……くそ、あの人は何をやってるんだ!──君、デバフ魔法は使えるかい?速度低下の種類の。少年にかけてやってくれ」
「え、でも……」
「速度低下魔法はその人の時間を少しだけゆっくりにする魔法。低級とはいえ、無いよりましだ。出血量を抑えられる」
私はすぐに魔法をかけだしました。
「よし、良い子だ。それからナイフはとるなよ。ちょうど栓の役割をしている。抜いたら更に血が出て厄介だ。そのまま俺に少年を預けてくれ」
彼はかむいさんを背負い、私を片手で持ち上げて言いました。
「取り敢えず俺の家に運ぶからな。俺の名は“バージ・フローラ”。“B”って読んでくれ!」
「わかりました、バージさん」
バージさんは一瞬ガクッとなりましたが、そのあとは安定して私たちを抱えたまま軽々と夜の町を進みました。
きっと赤色を見すぎたせいでしょう。
月が緑に見えました。
こんにちは。ななるです。
秋は何とかの~て言いながら全然投稿できてないです……ごめんなさい……。
秋だから、て言うまた変な理由で短編を書いてたらそっちの方にドはまりしてしまって、今に至る感じです。
うーん、やる気を起こす飲み物がほしい!
遅めの五月病にかかったななるでした。
次回があれば、またお会いしましょう!