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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。

夏祭り

作者: 髙島サヤ
掲載日:2017/07/27

 

 あの悲劇が起こったのは,、日葵が7歳だった8年前の夏。

その日は毎年恒例の大好きな晴斗と一緒に近所の神社の夏祭りに行く日だった。晴斗は5歳の時からの幼馴染で、家も隣同士だ。今日は一年に一度の夏祭り。7歳の頃の私もとてもワクワクしていた。

夏祭りは夕方から始まるというのに、私は理由もなく朝の5時に起きて親たちを困らせていたらしい。

「まま!この浴衣、はやく着せてよー!」

「まだ朝の5時じゃない。もう少し眠らなきゃ着せてあげないわよ」

 私にはお父さんがいない。私のお父さんは私が生まれる前に家を出て行ったみたい。だから私のお母さんはいわゆるシングルマザーで、毎日夜遅くまで働いている。幼いころの私は、そんなことなど教えてもらってなくてお母さんに甘えてばっかりだった。

「まま!そろそろ9時だよ!起きて!」

「はいはい、今行きます。ごはんはトーストでいいわね?」

「うん」

毎日平凡だった私の毎日。けれど、晴斗はそれを変えてくれた。晴斗と出会ってからの私のつまらなかった毎日は変わったんだ。まるで、白黒の世界に色がついたみたいに。晴斗は昔から体の弱くて、幼稚園でいじめられていた私を、全力でかばって必死に戦ってくれた。そのころから晴斗は私の英雄であり、勇敢な戦士のようだ。そんな晴斗のことが大好きだ。晴斗とは出会った年から毎年一緒に夏祭りへ行っている。去年まではお母さんもついてきていたけれど、今年からは晴斗と二人だけで行くことになった。

「ままー!そろそろ行かなきゃ!早く靴ちょーだい!」

「はいはい。ひまちゃんこの靴履くのとても楽しみにしていたものね。気を付けて行ってらっしゃい」

私があのころ買ってもらってとても喜んでいた靴は真っ白なお花のついたサンダルだった。

「行ってきます!」

 玄関から外へ出て晴斗の家を見てみるとドアの前で真っ赤な顔をした晴斗がいた。

「はるくん?!お熱でもあるの?!大丈夫?」

「ううん、ひまちゃんと今年も夏祭りへ行けて嬉しくて恥ずかしくて…」

あの頃はなんて可愛い恋愛をしていたのだろうか。子供のころのような恋愛がまたしたい、とたまに思ってしまう。

「お熱じゃなくてよかった。ひまりも今日の夏祭りのことすごく楽しみにしてたの!」

「えへへ、僕もだよ。今日は楽しもうね!じゃあ行こうか」

神社につくと会場はとてもにぎわっていた。人混みではぐれないように私たちは手をつないだ。子供のころは男の子と手をつなぐくらいどうってことなかったのだろう。

 私は神社に入ってすぐ右側にある射的屋さんに目を向けた。

「はるくん、突然だけど射的屋さん行こう!ひまり、欲しいものがあった!」

「いいよ」

 私があの時欲しかったのはペアのくまのキーホルダーだった。

「一回やらせてください。あのくまさんの二つ付いてるストラップが欲しいです!」

「おお、お嬢ちゃんと坊や。二人でここまで来たのかい?すごいなあ。おまけにすこし簡単にしてあげるよ」

と、言って屋台のおじちゃんは私が狙おうと思っていたストラップを少し奥に動かして、簡単に取れるようにしてくれた。

「よーし、取るぞ!」

そうは言ったものの、私の打った球は一発もストラップに当たらなかった。

「僕に貸してみて」

晴斗はそう言って、私から射的の銃を取り、私が狙っていたストラップを一発で当てて落として見せた。

「わあ!はるくんすごい!いいなぁ」

「ひまちゃんにあげるために取ったんだよ。はい、あげる」

「やったぁ!けどね、このストラップには二つくまさんが付いてて、離せるからはるくんに一つあげるよ。これでお揃いだね!」

そう言って、私は晴斗に二匹のくまさんのうちの一匹を渡した。

 そのあとも二人で神社の中を歩いて見て回り、夏祭りの楽しい時間も過ぎてしまった。

神社から出て、歩いて家に戻っているとき、晴斗はこう言ってくれた。

「来年も、そのまた次も、ずっと一緒に夏祭り行こうね!」

日葵は何回もうなずいてほほ笑んだ。

 その瞬間、私たちの目の前に車が突っ込んできた。そのことにいち早く気づいた晴斗は私を横に押し飛ばした。その衝撃で私は目を瞑った。私が飛ばされて地面に体がついた時、とても大きな音がした。目を開けると、車のフラッシュライトに照らされて、黒い何かが遠くへ飛んでゆくのが見えた。

 私は固まって、飛んで行った黒いモノが晴斗じゃないと信じていた。あの時の私の体は固まっていて、身動きができなくて、なぜか表情が変えられなかった。そして私の真っ白だった靴は赤黒く染まっていた。すると私の意識はだんだん遠くなっていた。

 次に目を開けた時には、いつの間にか病院のベッドの上に眠っていて、夏祭りの夜から一日が経過していた。そして私の左腕は動かなくなっていた。どうやら地面に当たった衝撃で骨折したようだ。

「まま、はるくんは?どこにいるの??大丈夫なの?!」

「大丈夫よ、けどね、もしかしたらもうはるくんとは会えないかもしれないの。はるくんは、夏祭りの日からながい眠りについてしまったの。あとね、ひまちゃんの左の手は少しの間お休みしているのよ」

 あの時の私はお母さんが何を言っているのか全く分からなかったけれど、今はちゃんと理解している。晴斗はあの時、居眠り運転していた車に私をかばってはねられたのだ。誰かが救急車を呼んでくれたおかげで晴斗は一命をとりとめたが、いまだに眠ったままだ。


ピピピ。ピピピ。

私は携帯のアラーム音で起きた。

「朝よ。起きなさーい!」

下の階からお母さんの声がした。

「はーい」

 私は昔の夢を見ていたのだ。今日はあの悲劇が起こった8年後の夏で、私はもう15歳になっていた。

「今日は夏祭りだけど、誰と行くの?」

私はつい晴斗と行きたいと、言いそうになった。

「はる…、友達と行くよ」

「そう。気をつけて帰ってくるのよ」

 そして午後になった今、私は待ち合わせをしていた神社の前で待っている。

けれどいくら待っても友達はやって来なかったので先に神社に入ったのかと思い、神社の中を歩き回ってみた。けれど進めば進むほど人の気配がどんどん消えていった。

 気づいた時には私以外、屋台はあるのに屋台の中にも、お祭りに来ている人たちも、誰も見当たらなくなっていた。私は怖くなって来た道を戻ることにした。少し焦っていた私は知らない人にぶつかってしまった。

「あ、ごめんなさい」

私はそう言って、また来た道を歩いていった。けれど、その人が私のことを引っ張って引き留めた。後ろに振り返ると、そこには見たことのない私と同年代くらいの男の子がいた。

「僕だよ。晴斗。忘れちゃった?」

私は全く意味が分からなかった。だって病院のベッドで眠っているはずの晴斗がここにいるとかおかしいことを言っているのだから。

「すみません、人違いだと思います」

「そっか、もう8年も経ってるもんね」

その言葉に私はピクッと動いた。

「あ、あの。晴斗って佐々木晴斗ですか?」

「そうだよ!思い出してくれたんだ。僕、病院で意識不明の重体じゃん?けど、今日は大切な日ってことが、眠っているはずの僕の頭にふと浮かんで、いきなり体が軽くなって、なぜか目が開くようになって立てるようになったんだ。それで病院から抜け出してきたの!」

 こんなことは普通ならありえない。馬鹿な豚でもわかるだろう。

けれど私はその時なぜか信じてしまって、嬉しくなっていた。しかも私の毎日は晴斗が意識不明になってからつまらない毎日同じことを繰り返す、無限ループのような毎日だった。この晴斗が嘘をついていて、誘拐されたとしても私はそれで別によかった。もうこんな人生終わらせたいと思っていたからだ。私には大切に思っている人なんて数えるほどしかいない。しかも結局友達は見つからなかったし試しにこう言ってみた。

「わかった、晴斗。今日は楽しもう?」

「うん!やっと信じてくれたぁ!もうだめかと思ったよぉ」

晴斗は興奮して跳ね上がった。

 私は晴斗の後ろを歩いた。晴斗が行く道を歩いてると、どんどん人が増えていった。

「ひまちゃん、まだそのストラップ付けてるんだね」

晴斗は私の持っていた小さなカバンを見て言った。

「うん。だって晴斗がくれたんだもん」

私がにっこりと笑うと晴斗は少し赤くなった。8年前と全く変わっていないと思ってプッと笑ってしまった。

 少し歩いていると、射的屋さんがみえてきた。それを見つけた晴斗は私にこう言った。

「懐かしいー!ひまちゃん、昔みたいに何か取ってあげるよ。どれがいい?」

「いいの?!やったぁ!じゃあね…。あのくまさんのお面が欲しい!」

私はくまさんのお面を指さしながら言った。

「よし、頑張るよ」

晴斗は気合いを入れて袖をまくった。まさか一発で倒すことはないと思いながら見ていると、狙ったお面は一発で倒れた。

「晴斗の腕はやっぱり鈍ってないね!さすが!」

 晴斗は真っ赤になりながら鼻を擦った。そして、目を合わせずに当たったものを私に手渡してくれた。

「ありがとう、ずっと大切にするよ!」

 それから私と晴斗は金魚すくいをしたり、綿あめを食べたり、8年前のような楽しい時間を過ごした。

「この楽しい時間が永遠に続けばいいのになぁ」

ふと私は思ったことを声に出してしまった。すると晴斗は

「だよね、ずっとこのままでいたい」

と、私に笑顔で返してくれた。

神社をたくさん回った後、私たちは少し疲れたので樹齢200年くらいの大きな木の前で少し休むことにした。私の家の門限の時間が迫っていたことを隠しながら、私は晴斗と今の話題のゲームのことや、食べ物のことをたくさん話した。だって晴斗とこのままずっと一緒にいたかったんだもん。けれど晴斗は私が何かを隠していることを勘付いていて、こう聞いてきた。

「ひまちゃん、何か言いたいことがあるの?」

「な、ないよ、そんなもの」

私はとっさに隠したが晴斗の表情は怖がる一方。なので私は仕方なく門限について話した。

「そっか。じゃあもうお別れだね」

「私は。私は全然門限とか気にしてないし、親だって私がいないことに気づかないだろうし、このまま晴斗と一緒にいても大丈夫だよ?」

「だめだよ。僕だってきっと病院に戻らなきゃいけない時が来るし、ひまちゃんのお母さんはひまちゃんのことを一番に思っている。僕はずっとひまちゃんのことを見ていたからわかるんだ。だって僕は…出会った時からひまちゃんのことが…す…」

晴斗は何かを言おうとしていたが、途中で話すのをやめてしまった。

「なに?晴斗、もう一回言ってくれる?」

「ううん、何にもない。これは僕がまた目覚めた時に言うことにするね。とにかく、ひまちゃんはもう帰らなきゃダメ」

「やだ。やだ。やだよ…」

すると晴斗はいきなり私の手を持って元気良く言ってきた

「甘えるな…!ひまちゃん、僕が今度目覚めたら君に最高に楽しい人生をあげるよ。ずっとそばにいるって約束するよ。だからその日が来ると信じて、待っていてくれない?」

「そんなの無理!もう待てない!」

「ごめん。ちょっとトイレ行ってくる」

晴斗は少し泣きそうな表情を隠して無理やり笑っていきなり私に言ってきた。私はそのあと、晴斗の帰りを何分も、何時間も待ち続けていた。けれど結局晴斗は帰ってこなかった。

 私は涙をこらえながら家まで戻ってきて、親にも会わずに自分の部屋へ行き、そのまま眠ってしまった。

 次の日の朝、私は浴衣を着て、手にお面を持ったまま寝ていたことに気づき、すぐに部屋着に着替えた。部屋着に着替えた私はいつものように家のポストを開いた。するとそこには可愛い向日葵柄の封筒に入った、私宛の手紙が届いていた。晴斗からだった。気になって仕方がなくてすぐさま手紙を開けた。


ひまちゃんへ

なつまつり、たのしかったね!もっとあそびたかったなぁ

あの時は、かってに帰っちゃってごめんなさい。

また来年もいっしょに行けたらいいな。

あとね、ぼくがまた目覚めてから言うつもりだったんだけど、もう言うね。

ぼくは、ひまちゃんに会った時からずっとずっと大すきだったよ。

かんじあんまり書けなくてごめんね。

晴斗より


私は手紙を読み終えた後、目から何粒かの涙がこぼれていることが分かって、なぜか心から叫びたくなった。

「私のほうがずっと前から大好きだし!!!!目を覚ましてよ、晴斗ぉ…」

すると突然後ろからお母さんの声がした。

「日葵!晴斗くんが、晴斗くんが…目を覚ましたわ!」

私は何が起こったのか全く分からなかったが、涙が止まらなくて視界がよく見えなかった。

 その後、私はお母さんに連れられて、晴斗が眠っている病院へ駆けつけた。そして私たちは晴斗の病室の308号室で足を止めた。私はノックをした後ゆっくりドアを開けた。

 するとそこには眠っていたはずの晴斗が、立ち上がって窓から空を見上げていた。晴斗が私のほうを振り返った時、自分のお母さんや晴斗のお母さんが見ているのにも関わらず一目散に晴斗に向かって走って抱き着いた。

「うお!もしかして、ひ、ひまちゃん…?」

「うん、私だよ」

私は涙がぼろぼろ流れてくる中、晴斗に抱き着きながら答えた。

「何年ぶりだろう。やっぱりひまちゃんは相変わらず可愛いな」

「え、昨日のこと忘れちゃったの?」

「しー、そのことは二人だけの秘密ね?」

良かった、晴斗の記憶からリセットされてるのかと思ったよ。

 それを見ていた私と晴斗のお母さんは、私たちに微笑んでいた。晴斗のお母さんは目が赤くなってしまっていて、手にはハンカチを握りしめていた。ハンカチは涙で濡れていて、淡い桜色のハンカチが水の中に落ちてしまったかのようだ。すっかり濡れているハンカチで今でもたまに流れ落ちてくる涙を吸い取っているみたい。

「僕ね、ついさっきひまちゃんが起きてって言ってるような気がして目が覚めたんだ」

「え、私が叫んだからかな。けどそんなのありえないよ…」

「昨日だって非現実的なことが起こったじゃん」

晴斗は私の耳にささやいた。耳から離れるとこんなことも起きるんだな、と思いププッと笑ってしまった。

「もう私のそばから離れないでね?約束!」

「うん、もう離れたくない」

そう言って晴斗は私のことをもっと強く抱きしめた。正直言うと少し痛かった。


15年後…

「和也、春香!夏祭りに行く準備はできた?」

「「できてる!!」」

「ほら、パパも早くしてよ」

彼を急かしたのは私の子供の和也だ。

「そうそう、子供たち待ってるんだから早くしてよ!晴斗ぉ」

 そう、私は晴斗が目覚めた年から6年後の秋、晴斗にプロポーズされて結婚することになったのだ。晴斗のプロポーズの言葉は本当におかしかった。その日は二人で東京スカイツリーに来ていた。晴斗は会った時から様子がおかしくて、もしかしたらプロポーズされるかもしれない、と私も少し期待しててどんな言葉を言われるのかと考えたりもした。よくある『あの地平線のようにどこまでも君を愛し続けます。』とかかしら。想像すればするほどワクワクしてしていたが結局東京スカイツリーから出て、帰り道が別れるところで晴斗は私を引き留めて言った。

「ちょ、ちょっと待って!あの…ずっと一緒にいるって約束したから…。その約束を破らないために結婚してください…。いや、本当は日葵とほかの男よりもっと一緒にいたいからです!」

 晴斗はいきなりそう言った。私が準備できてないよ…。

「ちょ、いきなりすぎるよ…。心の準備が…!っていうかなにそのプロポーズ!おかしすぎるよ。答えはイエスに決まってるけどね」

ほんと、あのあと二人で爆笑したな。まさかあの後いきなりキスされるとはね。本当、晴斗といると予想外のことが起こりすぎだよ。

そしてプロポーズから9年後の今、現在4歳の双子の兄妹が生まれてこれから神社の夏祭りへ行くところだ。

「はいはい、今行きます。日葵も静かにしないとキスするよ?」

私はその言葉に少しドキッとしてしまった。

「ちょっと!子供たちの前で何言ってるの!」

「わぁ、ぱぱとままラブラブ!」

春香はきらきらした目でそう言ってきた。

本当、晴斗といると予想外のことがたくさん起きてしまう。けどやっぱりこれからもずっと一緒にいたいな!

こんにちは。読んでくれてありがとうございます。

 この小説は、現在11歳の私の『小説家になろう!』の初投稿の小説です。

このサイトに小説の投稿を始めたきっかけは、あるアニメで、少しでも多くの人に私が趣味で書いている小説に評価をしてほしいと思いました。なので、面白かった点や、つまらなかった点、評価をしていただけると嬉しいです。もちろん、批判でも構いません!いろいろなコメントをいただけたら幸いです!

なお、小説を最後まで書き終えるという経験は数えるほどしかないので、もし間違っている点や、急な展開などがあったらすみません。暖かい目で見ていただければ嬉しいです。

これからどんどん腕を磨いて頑張っていくので今後ともどうぞよろしくお願いします!

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