表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

児童文学

ペットボトルロケット

作者: 広越 遼




 あしたの朝はお父さんがペットボトルロケットをとばしてくれる。

 ペットボトルロケットは、ペットボトルで作ったロケットで、とても高くとぶらしい。

 あしたはようちえんがおやすみで、お父さんのおしごともおやすみの日。

 そういう日はいつも楽しみだったけど、あしたはもっと楽しみだった。

 どんなロケットができるんだろう。どのくらい高くとぶんだろう。ねぼうしたくないから、よる8時にはねむってしまった。


 ペットボトルロケットができあがった。

「らお、入ってごらん」

 お父さんに言われて、ペットボトルロケットにのりこんだ。

 ペットボトルロケットは、中に入って歩きまわれるくらい大きかった。とうめいなペットボトルだから、外もよく見える。

 お父さんはロケットの外でにこにこしている。ペットボトルロケットがうまくできたから、うれしそうだ。お母さんもにこにこ手をふっている。

「いってらっしゃい」

「いってきます」

  お母さんに手をふりかえすと、ペットボトルロケットはとびはじめた。

 らおはとてもどきどきしてきた。これからペットボトルロケットで、だいぼうけんがはじまるんだ。

 ペットボトルロケットは、ぐんぐん高くとんでいって、でんしんばしらもすぐおいこした。

 お父さんが下のほうで大きく手をふっている。口をあけてなにか言っているけど、らおはもう聞こえないくらい高くにいた。

 らおはお父さんのうれしそうな顔に、元気に手をふりかえした。お父さんがもっとうれしそうにするのが見えた。

 お父さんが見えなくなるくらい高くとんでいくと、鳥さんがぱたぱたとんでいた。くちばしの大きな鳥さんだ。青いつばさを広げると、らおよりも大きい。

「おはよう」

「おはよう」

 らおはちゃんとあいさつをしたから、鳥さんとはすぐ友だちになれた。

「お空はどう? 気持ちいいでしょう」

 鳥さんは楽しそうに言った。

 すると、つよい風がふいて、ペットボトルロケットがゆれた。

 まるでじしんみたいに大きくゆれるから、らおはしりもちをついた。

 鳥さんは風がふいてくるほうにまわって、ペットボトルロケットをまもってくれた。鳥さんの大きなつばさは、つよい風にもしっかりしていた。

「ありがとう」

「どういたしまして」

 鳥さんはすまして言った。

 富士山よりも高くなると、鳥さんとさようならをした。それより上には飛べないからって。

 それからペットボトルロケットはくもの上までとんでいった。

 くもの上では、てんしさんがこっちを見ていた。びっくりした目だ。てんしさんは、らおよりも小さくて、金色のかみがふわふわしていた。

 らおはもっと上までとんでいって、てんしさんは白いつばさでついてくる。

「こんにちは」

「こんにちは。すごい高くまでとんでいるのね」

 ちゃんとあいさつをしたから、てんしさんともすぐなかよしになれた。

 てんしさんは、らおのようちえんのことをいろいろ聞いてきた。

「いいな。わたしも行ってみたいな」

 てんしさんはうらやましそうだった。

 てんしさんといっしょに行けたら、ようちえんがもっと楽しいのにな。

 らおもそんなふうに思った。

 それからペットボトルロケットは空の上までとんでいった。

「宇宙まではとんでいけないわ」

 てんしさんとはそこでさよならをした。

「帰りにまた来てね」

 てんしさんはえがおで言った。

 宇宙はよるだったけど、お星さまがかがやいていたから、こわくなかった。

 らおはお星さまをちかくで見たのははじめてだった。とおくで見るより、もっときらきらできれいだった。

「こんばんは」

「こんばんは」

 お星さまにもちゃんとあいさつをしたから、お星さまはもっときらきらしてくれた。

「お星さまは、いつもらおくんを見ていたよ」

 お星さまは空の上から、ずっとらおのことをみまもってくれていたらしい。

「らおくんはお父さんとお母さんが、すごい好きなんだね」

 お星さまはらおのことをよくしっていた。お星さまはとてもやさしくわらっていた。

 お星さまのかおを見ていたら、心がぽかぽかして、やわらかくなってきた。それで、らおはうとうとねむたくなった。

「おやすみ、らおくん」

「おやすみなさい」

 らおはお星さまにおやすみなさいをした。それからすぐ、ペットボトルロケットの中でねむってしまった。


「らお、川に行くぞ」

 つぎの日の朝、らおはお父さんのこえで目がさめた。

 らおは楽しいゆめを思いだしてふわふわしたきもちになった。


 それからお父さんとお母さんとらおで川に行った。ペットボトルロケットはふつうのペットボトルの大きさだった。

 だけどやっぱり、らおはペットボトルロケットが楽しみだった。

 ひゅー。

 ペットボトルロケットは家のやねより高くとんだ。

 らおは空を高く見上げた。

 そこに、ゆめの中で会ったのとそっくりな鳥さんがとんできた。

 青くて大きなはねで、ペットボトルロケットのまわりをぐるりととんだ。そしてらおのほうをちらりと見ると、そのままどこかにとんでいってしまった。

 らおがおっこちてきたペットボトルロケットをひろいに行くと、ペットボトルロケットの中には、きらきらひかる白いはねが入っていた。

 らおは空を高く見上げた。

お読みいただきありがとうございました。


ずいぶん前に、私が一番最初に書いた童話です。


子供向けって小さくなればなるほどむずかしいなと思います。


心に残るような作品ではなかったかと思いますが、祖父に唯一読んでもらえたお話なので、投稿させていただきました。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
href="http://narou.dip.jp/rank/index_rank_in.php">小説家になろう 勝手にランキング
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ