~第一章~ 第7話 僕の初陣は大活躍!?
依頼を受け終わった僕は、つい先ほど出来上がったパーティーメンバーのいるテーブルに、戻って来ていた。
「なんでもっと報酬のいい奴にしないのよ。私はわざわざ傭兵になるために国から出てきたのよ?」
「死んだら元も子もないだろうが。僕の強さは未知数なんだよ。もちろんエルちゃんはそんなこと言うぐらいなんだからさぞかし強いんだろうな?」
「もちろん強いわよ。私は世界中の民の頂点に立つ存在なんだから!それとそのエルちゃんってやめなさいよ、糞不健!なんだか弱そうじゃない」
何だよ、折角親しみを込めてつけてやったあだ名なのに。大体お前の糞不健のほうが失礼だろ。反論したら叩かれそうなのでしないが。
「そうそう。俺は炎の使い手、ファーク様だ。ちゃんと様付けろよ」
「分かったわ。考えが暖かいファー君って呼んでおくわね」
「それ絶対やめろよ!?」
二人とも掴み掛って一瞬即発状態。ついには、宴会場全体の注目まで集めてしまう事態となっております。
「僕ハコノ人ノ関係者デハゴザイマセン」
思わず片言になってしまう。あぁ、恥ずかしい。思わず顔を手で隠した。
そういえば、戦うという事で一つ聞いておくことがあるんだった。
「この世界での戦い方ってどんなん?」
「お前それでよく傭兵になろうと思ったわね!?」
いや、僕はこのファークとかいう奴に無理やりならされたんです。
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僕の視界に広がりし大地を頼りなさそうに歩く皮膚が垂れた醜いゾンビの数は…5体か。これならやれるぞ。
僕は現在、依頼であるゾンビ狩りをしている。ちなみに、町の防壁の傍であるこの場所は、木もある程度はあるのだが大体はただの平原なので視界は良好。これは好都合だ。そう思いながら天才的魔法能力を発揮し…
「アイスシュート!」
僕がそう唱えると目の前に凍ったつららが5本出現。それからゾンビを追撃した。その瞬間ゾンビは打撃攻撃と一定時間体温低下を食らった。
ただしあまり攻撃力は高くないし、ゾンビは生命力は結構あるので殺しきれなかったが。
そこですかさず…
「スノー・タイフーン!」
今度は目の前に吹雪が舞い起こった。ただし効果範囲は結構小さいが。
でもゾンビ5体を葬ることはできたようで天に召されていった。薄くなって消えていったのでまぁそんな感じなんじゃねぇの?
この世界の戦い方…それは魔法を主軸とする戦い。魔法文明が発達しているこの世界では大体を魔法で片づける。剣に関しても魔法力で作られているらしい。
そのため戦闘力は魔法の出来がかなりかかわっているらしい。
ちなみになんと僕は潜在魔力…ゲームとかで言うMPにあたるポイントが結構高いらしい。
このポイントが高ければ高レベル魔法を簡単に扱えたり、魔法を使い続けても魔力が途切れにくいそうだ。
ほら!やっぱ僕ってば魔法の使い手だよね!あと僕は氷結系魔法を得意とする体質なのだそうだ。こういうことも魔法で分かるらしい。やっぱ魔法ってスゲー!!
あと魔法の覚え方だけど、もちろん僕は魔法なんて全く使えなかった。
でもちゃんと覚えることはできる。一つ目は頑張って勉強すること。だがこれは僕には時間がないし何より…僕、勉強嫌い!
それで今回の初級魔法だけど金で買った本に魔法陣を召喚して体内に吸収することで簡単に覚えられるそうだ。もちろん僕は異世界に来たばかりという事で一文無しなので正確にはあの二人にもらったものだが。
それと魔法陣の召喚方法だけど、本を開いて覚えたい術のページに魔力を受け与えれば勝手に召喚される。ちなみにこれもあの二人に教えてもらった。
これだけ聞くと二人にされてばっかりな気がするが僕もクズという訳でもない。
何せこの初心者の僕はかすり傷一つないというのに…
「お前らは何ゾンビ相手にやられてんだよ」
呆れながら言う僕の視線の先にはもみ重なって倒れこむ二人の姿があった。そして危うくゾンビに食べられそうになっていたので僕は助けた。やっぱ僕は異世界でヒーローになるのかな~
「何ニヤニヤしてんのよ。感謝する気持ちもなくなったわね」
だから何でエルちゃんは助けられた時でも上から目線なんだよ。