~第一章~ 第6話 僕は初陣の戦場を探してみた
「さて、パーティーに入ってあげたんだからとりあえずこの高級な料理を頼むことね」
何で僕にはこういう奴が来るんだ?僕は呆れるしかない。異世界に来て何度目かのため息をついた。
僕たちもご飯を頼んで食べ終わっていた。大分待たされたファークはずいぶんとご立腹な様子だ。こいつ短気でもあるらしい。
しかしそのファークもこのエルフさんには嫌悪感を抱いていた。
「なぁ、やっぱり変えようぜ。俺こういう奴、嫌いなんだけど」
大きく同意したい。それな。と言いかけた時、エルフィーネがファークの頬をしばいた。
「それはどういう事かしら?私はこんなにも素晴らしく美人なのよ。ともに戦えること、有難く思いなさい」
「す、すんませんでした」
あっ、こいつ意外と気が弱い。全く使えない奴だ。
もうサッサと戦って皆から評価されてちやほやされたい。で、さ
「その依頼とやらはどこで受けるわけ?」
それがわからないと話にならないわけ。いまだ頬を抑えて痛そうにしているファークが答えた。
「あぁ…あそこに、この宿に隣接してる傭兵ギルドがあるからさぁ。なんかあそこに各地の情報が集まっているらしいぞ。何でも魔波式電報だとかなんだとからしいけど。ちなみにこの近くの人が直接来てたりもするぜ。それとそこの糞脳筋野郎、これからは痛いからやめろ」
「誰が脳筋ですって?私はエルフィーネ様よ!ちゃんと様付けを忘れないように!ところであんたたちの名前も教えなさいよね」
そう言いながらあいつはまたひっぱたいている。ファークは学習能力に欠落していることも分かった。
僕たちはそのあと各自の自己紹介をした。ファークはその中でもまたやらかし3度目となる頬叩きを食らっていた。
僕はあんなことにならないように気を付けないとな。そう思いながらファークに言われたところへと足を向けた。
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「ほうほう。ゾンビが発生していると。それでこの多分魔法力があふれる僕に何とかしてほしいと」
「いや、ワシとしては本当はもっと強い街の防壁近郊の森でゲリラ戦を展開している敵軍を何とかしてほしいんじゃけど」
この町の領主様らしいおっさんによると街の周辺にゾンビが沸いているそうだ。何でも悪魔の「半死者蘇生魔法」によって死者を無理やり蘇らせた奴ららしい。
色々な作品で見てきたシンプルモンスター「ゾンビ」だが、やはりこの世界でも弱いそうだ。
数だけは多いため集まられると厄介だそうだが、少しずつ戦えば初心者でも簡単に倒せるため、重宝されているらしい。
なんとも便利なモンスターなこった。この依頼は大量の人が参加しているので、このおじさんももっと別の者をやってほしいらしい。そのため報酬はかなり安い。弱いモンスターの報酬が安いのは異世界での鉄則なので許そう。
本当なら報酬高いのに挑戦してみて億万長者になりたいところ。が、仕方ない。
僕はこれが初陣なんだよ。万が一死んだらどうするんだ。最近はチートが全く無いラノベも多いからなぁ。これもそんなんだったらシャレにならないし。あくまで腕試しですので。
というかこれも夢なんじゃないかなぁ。異世界なんてところにそう簡単に転生できるものなのだろうか。
僕はいまだこの現状を納得できていない。いや、嬉しいんだけどね?
夢だったらもっと僕に一途に恋してくれるヒロインでもいてほしいもんだけど。あの女を見る限りそんなことはなさそうだからなぁ。やっぱり夢じゃないのかなぁ。
「とにかくこれにしますので」
「チッ」
おい、こいつ露骨に舌打ちしやがったぞ。ゾンビだってたくさんいたら困るだろうが!